第2期予選時の、#11ちいさな命(黒木りえ)への投票です(5票)。
一月に三人もできるんじゃ今は一体何人いるのかとか、「わたし」は普段この子らとどんな生活を送っているのかとか、子がうまれるところは実際にはどんななのかとか、それを見た人はいないのかとか、ボイスチェンジャーで子の声を低く落とせば話ができるんじゃないかとか、想像が後から後から浮かんでくる。またしても千字だけで語るには勿体ないような題材を提示されてノックダウン気味ですよ。
「わたし」が自分を死神になぞらえながらもあまり悲観的でないのは、本人にとって死は喪失でなく再生だからか、などと推測し、そんな「わたし」のあり様もまたよいと思いました。
参照用リンク: #date20021005-023920
生命の誕生と死が、きわめてイージーかつスピーディーに展開していく主人公の世界は「無常」そのものであり、また誕生と死とに関連があって、とにかく仏教的な「はかなさ」を感じた。それでも子どもたちは、ぶきみなまでに、いたってキャッキャと陽気である。しかし、はかなさ以上に、気もちのわるい話だと思った。それはたぶん、私が男だからだろう。この物語の出産には、男の役割が見えない。
参照用リンク: #date20021004-065802
思い出したくない「イレイザーヘッド」を思い出した。
「優しさと怖さ」「気色悪さと可笑しさ」のような本来であれば反する感情が入り交じっているために、独特な読後感がある。
子供に対する情愛から、その子供の意味することへの恐怖がさらりと描かれるところが怖かった。
<久遠>
参照用リンク: #date20021004-004108
初読のときは何となく「個人的に好みの作品」とだけ思ったが、読み返してもう一つ二つ。
最初の「記憶をなくしているあいだに子供を作ってしまう」という入り方が自然である。ごく現実的な状況を想定させておいて、スッとずらしていく構成の妙。
主人公は普通のOLかと思っていたが、たぶんそれでいいのだろうが、「仕事」「取引先」という詞を眺めているうち何か象徴的な意味が空想されて来るようでもあった。この主人公が死神であれば、取引先の偉いさんとは何者であるか。
とにかく、貫禄アリとしか言いようがない。
参照用リンク: #date20021001-192026
死神はやりすぎ。かくし味の塩はほんのひとつまみでよい。しるこが辛くなり過ぎた。しかし、【たたた‥‥と軽い足音が〜「こら、いたずらしない」】の間の表現は秀逸で、ちっこいヤツのかわいらしさを動画として感じられた。表現力◎で次席。
参照用リンク: #date20020923-093744