第19期決勝時の、#7父の年賀状(江口庸)への投票です(4票)。
今期はちょっと質という点で残念な期でした。あまり面白くなかった。
推薦作については、作品の出来と言うよりも、作者さんへの票、という感じになります。この方の作品は実に特異であるなあ、と思う。前期も投票させて頂いた、気になる作者です。クオリティは今回あまり高くは無かったけれど、設計思想で他の作品を圧倒している、と判断し、投票させて頂きます。
参照用リンク: #date20040322-174333
父の年賀状
作者: 江口庸
おもしろいなあ。というのが、感想。今時のTVドラマなんかよりもドラマがあってはらはらする。
前半、要約じみた簡素で荒削りな表現がだんだん小説として体裁がとれていき、最後には、情感まで漂わせている。
ストーリーの力というものを感じさせてくれた。
怪獣になって空を飛ぶことについて
作者: 蟹
ほとんど詩だといっていい。青春の喪失感が、実は主人公ではない色鉛筆のところで表現されて、これがあるから、最後が生きた。
不思議なことだが、自分について語るときよりも、他人について語る方が読者の心に訴えかける力が強い。それが小説という仮構の語り手においても、たいてい当てはまる。
この作品では、赤つ色鉛筆になることを曲げなかった意思の強さと、使われて消えていく悲しみと、消えることを承知の上で決断した山下君がもっとも印象的だ。
逆に、前半の両親が出てくるところは、冗長だと感じた。
どちらにするか迷ったが、全体にあきさせない「父の年賀状」にした。
その他、予選は通らなかったが
ふーとらるーの冒険
作者: 朝野十字
東京ど真ん中
作者: るるるぶ☆どっぐちゃん
も印像に残りました。
参照用リンク: #date20040322-102147
四作品の中で優勝作品を選べと言われたら「腐れ名月」なんですが、どれが好みかと聞かれたら「父の年賀状」。
毎回好みで選んでるようなところもあるので、申し訳ないんですがこちらに一票。
「父の年賀状」が一番文字を追うのが楽しかった。
参照用リンク: #date20040321-213755