第17期決勝時の、#12十二月、九龍尖沙咀にて((あ))への投票です(6票)。
この作品の良さは、なかなか微妙なもので、どこがいいかを語ろうとして、いろいろ取り上げてみても、どことなく的外れな感覚を逃れられないような気がする。部分的に、とてもいいところがある、と同時に、ほんやりとしていてよくわからない部分もある。セリフもいいセリフもあるし、そうでないものもある。
ひとつひとつ部分的に取り上げてみると、強く印象に残る部分はない。では、全体ではどうか、というと、やはりなにか特別印象的というわけではない。
けれども、やはり、これは巧いだろう、と思う。あっさり書いているようにみえて、そうそう簡単に書けるものではないだろうと思う。
参照用リンク: #date20040122-174651
DRIVEも良かったけど最後の方の雰囲気が好きではなかった。
「十二月、九龍尖沙咀にて」全体的な雰囲気と香港の描写がいいと思った。
参照用リンク: #date20040122-035246
字義的な面白さはない。ワハハと笑ったり、物珍しがるような要素は何もない。しかしやはり私の好きな「シーン」を描いたものはこれしかなかった。心に優しみのようなものを残し、かつ「未来を語るのには幼すぎるのだろうか」というような、ある意味残酷な諦めを登場人物に強いた――それが奥行きになった。少年少女の淡い恋なのだろう。誰しもに覚えのあるインプリンティングされた思いにストーリーを漉しつつ、香港というカップに注いだ。衒いのなさが逆に光った。
参照用リンク: #date20040120-192516
予選では「二酸化マンガン」「夏の日」「DRIVE」入れました。
そうすると決勝では「DRIVE」で決まりではないかと思いきや。
読み直してみると。確かに「DRIVE」は面白い。面白いがでは
読んでどうすればいいんだという感触が残った。これ、映像の台本
っぽいんだな。実は。それ自体別に悪いことではないのだが小説的
というか小説ならではの魅力という点ではこれか。と。
タイトル読めないんだがね。何とはなしにこう拡張性というか読後に
こうぼんやりと取り巻くようなフレア部分というかなんというかそういう部分が大きいと思った。
いや予選では入れなかったがこの辺(「時には昔の話を」「ケンカ道場」「夏の日」)の作品たちは全て結構いいのではないかと思っている。
勝手ながら「十二月」はこれらの作品の代表的な感じでも読めてしまう。じゃあこの男女モノのどれが来てもいいのかというと、うん、そういう気もする。
この辺のジャンルがきちんと書けて各期に投稿されるようだと読む側としても楽しいのではないか。
で、別に「DRIVE」や「マンホール」に魅力がないかというとそうでもなくレトリック的というか技術的な部分ではむしろ「十二月」のような作品よりも高度なものが要求されるわけであり、結構「プロット対レトリック」の対立の構図をなしているように思う。ベースはプロットにあり(ってか内容ていうか1,000字と短いので実質は普通の日常の切り取りどころ)になりそれをズバッと大幅に超越できれば時々実験的な作品が優勝しちゃうというかそういう感じかなあ。
参照用リンク: #date20040113-012113