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第160期決勝時の、#8療養所(岩西 健治)への投票です(4票)。

2016年2月7日 13時39分5秒

 後半部分の話の流れがわかりにくい。まず「誰が先に眠るかは定かではなく記載もされてはいない」のところで―?―になるし、「青年の思い込み」のところでまた―??―になってしまう。つまり、どういう設定の話なのかが分からなくなるということだろう。意図的にやっているというのはなんとなく分かるのだが、そうであるなら、もう少し意図が伝わるような工夫が必要だと思う。
 良かったと思うのは、記憶について考える材料を提供してくれたという点。記憶は言葉と同じで、それ単体では意味がないし、おそらく存在し得ないものだろう。ならば一つの記憶は全ての記憶に繋がっているとも言えるわけだが、この作品に出てくる「黒縁」のように、漂流してしまう記憶もある。しかし、記憶の群れからはぐれて漂流してしまったら、それはもう記憶ではなく、夢や空想のようなものになってしまうのだろう。さらにそのことを逆に考えると、夢や空想というのは、記憶をいったん漂流させてから、再びその記憶を構成しなおすという作業のことではないかと思った。

参照用リンク: #date20160207-133905

2016年2月5日 1時22分32秒

『傘を取りに来ただけだから』
台形や素敵な言い回しなど一つ一つの切り取り方、見せ方はうまいけど全体を通してみると物足りない。冒頭とラストの「ひどい男」のニュアンスの差異がメインなら、途中が勿体なさすぎる。次を楽しみにしています。

『川辺の香り』
誰が書いたかは評価に入らない決まりだが、作者さんもこういうの書くんだ、と驚かされた。鮎香がリアリティに欠けるとか文章の細かい部分が気になるとか、色々理由を挙げてみても結局は好みではない、私には合わないんだろうなと。

『療養所』
今期はこちらに。掴みのよさ、題材、人物の配置の仕方に隙がない。記載と記憶についての言い回しがやや執拗に感じられたがそれも一つの要素として収まっている。久しぶりに没入し、いい意味で千字が長く重く感じられました。

参照用リンク: #date20160205-012232

2016年2月3日 19時52分12秒

傘を取りに来ただけだから
小説はだらだら書けてしまうので、読んでいるほうも自分に都合のいい所をつまんでなんとなくわかった気になってしまう。
短歌がわからない人のための掌編小説というものに需要はあるんだろうけど、1000字で書くなら別の書き方がいいと思う。このまま変えないなら1000字では短すぎる。

療養所
誰かが話し、それに対して誰かが話す。その誰かが誰であったか、記憶という不確かな情報を捨てて、証拠(記載)を得るために語り直す。証拠が全て出揃えば語り直す必要がなくなる。しかし言葉を文字としてしか扱えない者にとってそれは無だ。

川辺の香り
集中力の足らない真面目に考えられていない作品だった。

参照用リンク: #date20160203-195212

2016年2月2日 17時42分41秒

 記載と存在との関係。記憶を消す作業。心情と身体の動きとのずれ。
 一対一で対応していそうで、そこにあわいのある、そういうものが表現されているのかなと読みました。
 再読して、いちばん考えるところの多かった作品でした。

参照用リンク: #date20160202-174241


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