第158期決勝時の、#18生痕化石(Y.田中 崖)への投票です(2票)。
生痕化石
SF的な日常を余しながら描いているのが好みでした。いろいろと不親切なのだけれど、それがよかったです。
ただもう少しビジュアルを見せてほしい(イメージするのを促してくれる部分あれば)とも思います。
八朔溜まり
八朔溜まりのアイデアが秀逸でした。ただやはり他の方が言われているように終盤の部分が惜しいと思いました。
完成させる現場
1000字では不利な形の物だなと。悪くはないと思いますが、単純に尺が足りない気がします。
参照用リンク: #date20151206-212356
「生痕化石」
よくわからないけど好きなので一票いれます
感想を書かなければいけないとき、非リアリズム作品は、まとはずれな解釈を書いてしまったら恥ずかしくて気がひける
「私」が中性的な感性をしているのは好きなポイントのひとつですし、舞台や言葉づかいから立ちのぼるさみしい雰囲気も好きです
人物が類型的でないことを魅力に感じますが、この作品の要点はそこではないので、投票しているくせに何も言っていないと同然という
「八朔溜まり」
「八朔溜まり」のほうが「潮溜まり」(生痕化石の一行目)より色彩がぜんぜん明るいとおもいました
坂の多い町がやわらかい陽射しにつつまれているようで、果樹の葉の色彩もイメージされて、きれいでした
老人たちや小学生たちのおだやかな暮らしも読んでいて落ちつきます
最後の「八朔溜まりがある」をリフレインさせている部分は、小学生の自由研究をうけての記述ですが、その語りかけが人生論とかお説教みたいだとおもいました
「完成させる現場」
一人称。殺人を犯した「僕」内面描写が積み重なり、末尾で鑑識であると判明する。経験にもとづいた証拠隠滅の手法が語られ、「大丈夫だ」と心を落ちつかせる殺人犯の心理小説。
「僕」が殺人に及んだ動機が「よくあること」と語られるのみなので、ことさらこの人物に関心を抱きたいとおもいませんでした
場面展開や筋書が求められる小説は紙幅が厳しいなあと感じました。個人的にオチの迫力を感じられず。それは主人公から殺人者の悲痛がそれほど感じられなくて、アリバイ作りの余裕の根拠として、それをひとつの順調の展開をしめしたプロットとして捉えてしまったからです。
参照用リンク: #date20151205-225404