第137期予選時の、#17老人と海(こるく)への投票です(5票)。
海を抱えることはできない。海には雑多なものがあふれていて、シニフィアンでさえすべてを捉えることはできない。だからこそ、「波の音」「海鳥たちの鳴き声」が「海」の音だというのは一端に過ぎない。「海」とはそれだけ莫大な音の宝庫なのである。
ところが、それらの音だけで紛れもない「海」を思い描けた語り手と同じくして、読者である俺も「海」を思い描いたのだった。慣れ親しんだ記号的表現の先に広がる「海」が、物語をたしなむ際の原始の海だと思うと、ほっこりしたりもした。
ラストはオブライエン「墓を愛した少年」なんかを思い出したが、本作の潮騒も、墓というスピーカーを通すとより透徹な響きを聴かせてくれるだろう。生きているから素晴らしい、なんてばからしい。
(作者の没後、センセーショナルに売れ出す出版物などとは違う次元の話で)
死してからこそ煌めくものこそ美しい。ひときわ美しい。
(楡)
参照用リンク: #date20140228-132919
タイトルの大胆さに驚きました。何する気かと(多少否定的な気分で)身構えて読んだところで、内容が衒いもなくいい話でほっこりしました。
参照用リンク: #date20140228-062927
疑問点があったり文章的なところ(代名詞が少し多いかな)に引っかかりはあるんですが、話の流れはとてもいいと思いました。
参照用リンク: #date20140222-000051
「とっておきの細工」ということで。ギミックなのだろうなのだろうとおもいました。
大学病院では海の音がしていないのでコントロール可能なのだろう。でもしんだら微弱になってしまうのはふしぎだ。
体内から音が流れていたなら、家から音がすると感じるほどの音量流していたら、耳がすごいことになりそう…。
とは思うものの、老人の死後、小さな島まで墓参りをして墓石に耳をあてる青年がかわいいので一票。綺麗な風景はよいですね。
参照用リンク: #date20140217-012226