第137期決勝時の、#13三日月の夜の帰り道(西直)への投票です(5票)。
作りが丁寧だと思います。「孤独のグルメ」でウケを狙うくらいで、あとは読む側の心理を乱すことなく、一枚ずつ積み重ねるように描かれている。積み重なった情景の向こうに、じわりと染みるみたいに温かさが感じられました。
『女とコーヒー』と迷いました。意味のない会話を読むのは楽しいし、「意味は存在しないのかもしれなかった」と気づいてからの思考の流れも心地いい。もしかしたら私は意味よりも音で読んでいるのかも。オチはちょっと弱いかなと思いますが、好みでした。
参照用リンク: #date20140308-121938
矢張りこの作品がいいですね、予選でも選びましたが、神秘的な感じが。月に託したチョコへの思いは如何ばかりかと思いましたよ。直接言わずに迂回するかのような描写が秀逸かと
参照用リンク: #date20140307-151708
7 あそこのラーメン屋
個人的な話で家の近所にコインランドリーがあって、そこが昔はコンビニでさらにその昔はビデオ屋だったんですけど、そのことを誰に話しても覚えてない知らないって言われた時はいやいやいやそんなわけないだろとムキになったし、何となく主人公の執着する気持ちと言うのはわかるような気がしました。コメディ気質のお話だと思うんですけど、最後で親父に吹き飛ばされるのは素直にかわいそうだなと思ってちょっとそこで醒めてしまった。
12 女とコーヒー
淡々とした語り口が好きな作品です。一見ナンセンスにも見える言葉遊びから、女であれば何でも合うのだという主人公の結論はおもしろい。しかしながら、もう一つパンチというか印象に残る部分が欲しかった様にも思います。
13 三日月の夜の帰り道
ふんわりと気持ちの温かくなるとても良いお話だと思いました。夜の帰り道に、道端で三日月を売っている屋台があるなんて、想像するだけでとても素敵です。きっと、店主は一丁前に手ぬぐいなんかを頭に巻いて職人気質を演出しているのでしょう。ワクワクと帰り道を急ぐ主人公の頭上には、箱の中に納められているのと同じ三日月が浮かんでいると言うのも想像すると何とも心地の良い情景だと思います。今期で最も印象に残った作品なのでこちらに投票させていただきます。
17 老人と海
艦これ脳で書きました。
参照用リンク: #date20140307-144648
17 老人と海 こるく 5
胸に耳をあてるところとお墓に耳をあてるところが良かったなあと思った。ただ雰囲気があんまり好みじゃない。「試しにその友人の胸にも耳を当てれば何の音も聞こえない」とか、こんなにそんなにすんなりいかないだろうと思ったり、なんか人間が生々しくない感じがする。なんだか周りが妙に微温的。だいたい、死体に耳をあてるとかえ気持ち悪い、なのになんで周りが引かないのか、そういう人たちなのかな、と思った。他の人の感想を読んでみたら、あ最初の細工がなんか関係があったのか、と思った。そうかそうかと思ったけど、そうするとなんかもっと手を入れられそうな感じがする。
13 三日月の夜の帰り道 西直 4
こちらに投票。へええこんな風な小説もあるんだと思ったら、感想読むとタルホイズムって書いてあって稲垣足穂のことかと思って、なるほどこういうのは別に珍しくはないのか、でも私は初めて読むのに近いなと思ったこの手触り。「老人と海」とで迷ったのだけど、こちらのほうがお話の意味合いが分かる。「老人と海」は、あれこれどういうこと? という部分が多くて、別にあやふやなところがあってもいいんだけど、なんかないとしっくり来なかった。
冒頭のところ、『 月の出ている夜にしか、その屋台は見かけなかった。「屋台」なのに屋根はなく、月の光がそのまま台を照らしている。台の上には色とりどりのグラスやコップ、お猪口、小さな桶といった入れ物が無数に並べられ、その全てに水が張られている。丸い水に三日月が映る。風が吹くと水面が揺れ、その三日月がゆらりと泳いだ。
駅前から続く商店街には洋菓子店があり、わりと遅くまで開いていた。洋菓子店から十メートルほど離れた場所に屋台が出ていた。私は洋菓子店で買ったチョコレートケーキが入った箱を指に引っかけるように持ち、屋台の前で立ち止まった。』なんか私は読みにくかった。私自身があんまり風景描写に興味がないからかもしれないし、確かにたくさんセッティングしなくてはならないから難しいところだけど、書き方の段取りを変えた方がいいかもしれない。洋菓子屋でケーキを買った、洋菓子屋の側に三日月を売っている店がある、三日月を浮かべるためにその屋台には屋根がない、屋台にはグラスが並べられそこに三日月が浮かんでいる、という情報ならば、趣味にもよるけれど、私なら最初に「三日月ひとつください」をアタマに持ってくるかな。
7 あそこのラーメン屋 かんざしトイレ 2
うどんうどんうるさい小説だなと思った。アイスもなんなのか、一体。お父さんがなんでうどんに対してうるさいってなったのか分からない。ただ、フォローするわけでもないんだけど、こういう執着の感じられるお話自体は好きだ。
12 女とコーヒー qbc 2
自分の書いた小説。自分の書いた物を後から読み直して、あこういうことが言いたかったのかな、と思い直す作業が好きだ。小説は鏡なんだと思う。これを読み返したら、「そもそも感じたこと思ったことをそのまま言っただけで明瞭な意志内容がなく、それでも楽しく会話が進みゆくのであれば、これはこれで」と書いてあって、この小説で言いたいことってこれこの一文そのままじゃん、と思って返ってびっくりした、驚いた。書いちゃうのかよって思った。なんてまあ実際はちょっと違いそうだけど。
年取ったせいか、こういう環境音楽みたいなの書いちゃうのはなんか嫌だ。こってりが苦手になってるのかなと。
参照用リンク: #date20140307-115326