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第12期決勝時の、#15ベーカリー・ストロベリー(川島ケイ)への投票です(10票)。

2003年8月22日 23時55分41秒

 たいへん平易な言葉で書き綴られているのに、つまらないということは決してなく、呼吸が、物語の呼吸がつたわってくるかのような生き生きとした文章で、楽しく微笑ましく読ませていただきました。設定はありがちなものであろうと思いますし、いささかわざとらしい語りであるかも知れませんが、憎めない愛らしさを感じます。「真希ちゃん」が、どうして「そのままパンをぜんぶ食べた」のかについて、はっきりとはわからないようになっている構図がよかったと思います。ただ、欲をいうと、リアリティにやや欠けるような気はいたしました。というのは、登場人物たちの年令といったものが具体的につかみにくく、パンをつくれる、放課後に残って勉強をする、にしては、感情や行動がやや幼いような、そんなふうにも思われて少しちぐはぐな感じを受けましたので。あと、タイトルの意味するところが、よくわかりませんでした。
 『アスファルト』に、ついては、段落ごとにバラバラ、流れがスムーズではないような読みにくさを感じました。詩の部分などが、かなり唐突にでてきて、それで起伏があるように感じられるのも確かなのですが、しかし一方それ以外、説明とか描写の部分が平たんで退屈に読めてしまいました。単に無造作に切り貼りをされたような印象で、そこに趣を感じることができませんでした。
 『ふたりのり禁止』は、文章が単調に思えました。前半、レースの描写で飽きてしまって読むのがつらくなりました。また、途中での視点の転換も、とくに意味を見出せませんでした。書かれているものすべてに意味がないといけないと思っているわけではないのですが、こういった手法はやはりどうしても目立つので、説得力ある効果を求めたくなってしまい、それが私にはわからなかったということなのかも知れません。
 『高き場所より飛翔して』は、語り手の心情がこちらに伝わってきませんでした。高層マンションの新居、飛ぶ夢、バルコニーの柵のつけられ方、昔住んでいた一戸建ての家、父の思い出、といった具体的な説明についてゆくのにやや忙しく、現在の語り手の心情が見えてきませんでした。こういった、何かが起きそうで起きなかった、といった感じの話では、語られている言葉の裏側にあるものが感じられると、それが印象深い作品となるように思うのですが、それを読み取ることがうまく私にはできませんでした。「家族のことを考えると」といった一言で済んでしまったのが、物足りなかったのかも知れません。また、タイトルが、いささかキザのように感じました。
 『シンク』は、なんだかよくわからないといった感想が残りました。最初の蠅についてのやや長くくどい叙述が退屈に思われて、そのあとつらくなりました

参照用リンク: #date20030822-235541

2003年8月22日 23時26分36秒

初読でのインパクトは「ベーカリー・ストロベリー」が圧倒的でした。他の方の感想を見つつ改めて読み直してみると、「ふたりのり禁止」の方が自分の好みに近いような気もしたのですが、「足元でカシャンと小さな音がした」というのが、キーボックスが落ちたからだということに今ひとぴんとこなかった(それで初読時は見逃していた)というのがあったため、やはり「ベーカリー・ストロベリー」を推します。とは言えどちらも好きな作品です。

参照用リンク: #date20030822-232636

2003年8月22日 23時16分49秒

ベーカリーストロベリー-予選票のなかで同じことを言っている人がいたけど、この作者には別の作風のものを期待したい。ただ、それとは別に今回の作品はとてもよかった。

シンク-今回の決勝で推薦作と票を割りそうなのはこれだけど、前後の脈絡を曖昧にする手法があまり好きではない。すぱっと情景を切り取ったような作品は好きなんだけど。

参照用リンク: #date20030822-231649

2003年8月22日 22時51分42秒

よく出来ていてとても分かりやすい作品だけど、嫌みじゃないのがいい。冒頭の「たとえ世界からお米がなくなっても」→「パンは食べません」が好きです。
ただ、今回はどれが優勝してもおかしくないと思う。(赤珠)

参照用リンク: #date20030822-225142

2003年8月19日 1時35分20秒

 迷いなくこれだろうと、予選前から思っていたし、おそらく優勝するでしょう。
 僕の一票がなくても、優勝するだろうから、他にあげてもいいかな、という気持ちがあったので、他の作品も検討しましたが、やはりこれ以外ないと思いました。
 多くの人が、このラストをほめているし、僕もここでキューっとなった一人なのですが、この小説は冒頭もいいです。
「たとえ世界からお米がなくなっても」「パンは食べません」
 中野君、真希ちゃん、私。セリフ、行動から各個人の性格が浮かんでくる。少々類型的なのは、千字だから仕方ないし、逆に類型的ななかに個性があるのは、人物造形のうまさなのだろうな、と思う。(透明)
 

参照用リンク: #date20030819-013520

2003年8月15日 16時6分21秒

「アスファルト」アスファルトへの変身願望?の発想は興味深いが
難病の男女、売れない小説家、という設定は短絡的だ。
また、軽々しく「難病」を扱っているようにしか思えず、やや抵抗を覚える。

「ふたりのり」は内容より読み味がよくなかった。体言止めというか、名詞で終わらせる方法を多用していたが、目障りだった。作者は意図的にやったのだろうが、好ましくない。

「高き場所」は飛び降りへの衝動や切迫感あるいは恍惚への期待、のようなものがイマイチ伝わってこなかった。

「シンク」は、雰囲気はあるけどそれ以上は感じられない。一人称であるのに、主人公の感触や感覚、心のざわめきのようなものを何も感じられなかった。

「ストロベリー」は作者の書きたいものが一通り書けていることがわかって「おめでとう」と言いたい気持ち。意外と深読みしたくなる作品だった。

参照用リンク: #date20030815-160621

2003年8月13日 21時40分30秒

 クリエイティヴなことをする時、常に新しいことを目指さなくてはならない、そういう気がする。クリエイティヴな世界で活躍している人たちがインタヴュー等でこのように語っているのを見たり聞いたりしたことが幾度となくある。私はアマチュアなので偉そうだが、それは私の意見、心構えでもあり賛成である。
 川島さんのこれまでの作風は一度ここで完成していると私の目には映る。つまり予選票の時も書いたが、次回からはまったく違った匂いの作風に挑戦してほしい。
 そういった期待も込め、川島作品chapter1に一票。

参照用リンク: #date20030813-214030

2003年8月10日 22時57分27秒

川島さんの世界がフルに表現されていてとてもよかったです。
読後感も何ともいえないほろ苦い感じ。グッド。
逆に言うと、彼の「定番中の定番」という感じがして
ちょっと残念だなぁという感じがしなくもなかったのですが、
それに勝る作品が他にありませんでした。
川島氏に敬礼。

参照用リンク: #date20030810-225727

2003年8月10日 22時41分15秒

全く迷いなし。
この作品はアイデアも登場人物もその描き方も良かった。
作者の気持ちが細部まで行き渡っていると感じた。

参照用リンク: #date20030810-224115

2003年8月9日 15時27分26秒

「ふたりのり禁止」とどちらに投票しようかと思ったが、「ふたりのり禁止」は後半から速度が消える(キーボックスが落ちて、というのが小さい)ので、「ベーカリー・ストロベリー」の机のひんやり感に軍配。あと、「そんなことも知らないんだ」という一言に共感した。
あとの三作品は、ドラマがあるというよりか病気がある。

参照用リンク: #date20030809-152726


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