第112期決勝時の、#16秘密(euReka)への投票です(2票)。
今期は「礫」にするか「秘密」にするかで迷わされた。
「礫」は、たまらない文章センスがある。詩のように印象的な言葉を次々と選び出して敷き詰めており、読後にため息をつきたくなるほどだ。
一方「秘密」は、センスという点では「礫」に及ばない。だが再読三読してみると、実に丁寧で気を使った文章だということがわかる。両作品を音読してみたが、「礫」には引っかかる箇所がいくつかあるのに対し、「秘密」は文句のつけどころがない。
センスと丁寧さの対決で悩まされたが、ここは「秘密」に投票させてもらう。詩でもそうだが、やはり音読して惚れる文章はたまらない。もちろん「礫」も傑作で、このどちらが優勝であっても自分はまったく文句がない。
その次に来るのが「約束」で、幼い日の思い出という題材を上手にまとめている。技巧としては文句なしだが、綺麗にまとめすぎてかえって印象に残りにくくなっているかもしれない。
「ひとりぼっち無差別攻撃」はコメディだが、残念ながら自分の感性には合わず、さほど笑えなかった。きちんと出来ているとは思うのだが。
「自分の髪の毛で作られたクモの巣から動けなくなっても、情熱があれば苦境を乗り越えて」はなんだかよくわからない。勢いはあるが、それ以外のものが感じられなかったのが厳しい。
参照用リンク: #date20120204-033343