第11期予選時の、#5漂白(朽木花織)への投票です(4票)。
古典的な話といえばそのとおりなのですが、何故だかほんわかしていてそこが味になっているような気がします。
参照用リンク: #date20030708-232039
終わりの部分(ああ例え、以降)を読んでいて、くううっときました。題材はありふれたものかもしれませんが、こう料理されたら条件反射で一票投じてしまいます。
友人や同僚としてではなく、単なる同じ会社の人間(限りなく他人に近い)としてなら、浜田さんの身の上話を聞いてあげてもいいでしょうが、聞いたところで何にもならないんでしょう。そこから浜田さんの何となくの孤独を想像したのかなあと、自分は考えましたので、蛇足ながら書いておきます。(あ)
迷った作品について。
『雲のトアコ』は、もう完全に型ができていて、例えば連作の中の一つの作品ならばっちりだと思うのですが。ほめているかけなしているか、誤解を招く言い方ですが、あえて言うなら教科書的な感じで。
いいなあ、と読み終わった後思ったのですが、感想が書きにくくってそのため私は予選で選べなかったのかもしれません。
『後部座席劇場』は、『漂白』と同じように終わりの部分がポイントだと思うんですけど、途中、若干イメージが湧きにくく不親切な感じがしました。『あたし』の「…………」の見当がつかなかったので、そう感じたのかもしれません。でもこの投げやりはたまらないです。
『『チャタロー夫人の恋人』軍団』は、ありふれた題材を丁寧に書いてあって、うんうんと頷いてしまう好作ですが、読後に残るものがやや少なかったような気がします。それは、『私』の視点で話が展開していくわりに、『私』の存在が薄いせいかもしれません。
いつもの夕ご飯という感じで、外食メニューが並ぶ今期では印象の点で不利でした。
参照用リンク: #date20030708-021650
絶妙。すべてにおいてツボ。おそらくこれより出来の良い作品は他にもあるとは思いますが…、「漂白」はこの人にしか書けないようなもので(そう私は認識しています)、簡単に言えば個人的に好みということです。
参照用リンク: #date20030706-220921
単純に浜田さんが幽霊である、という方に持っていくばかりでなく、『気が早い』『万が一』と言葉を足してあったので、これは確信を持っていたはずのことがふと疑わしく思える瞬間の感覚の話なのかなあ、と思ったのです。で、一票。
参照用リンク: #date20030704-183702