第11期決勝時の、#22百万匹(林徳鎬)への投票です(7票)。
「静かな木」は世界観がいいが、語りがどうも足りず、「地下鉄」はところどころある表現が、全体の雰囲気を壊してる。
「百万匹」にも欠点はある。けれども、この作品を思い出すたびに、僕の口の中でうごめていてる百万匹のなんだかわからない生物を感じてしまう。
参照用リンク: #date20030722-001546
何が百万匹なのか、という疑問が最初と最後でまったく解明されず、それが金太郎飴的な魅力となった感があり。「アレですな?」「アレですよ」といういかがわしいやり取りを傍観しているような、何かは分からぬがどうやらそこにあるらしい日常の闇を垣間見た気がした。自らの内に気づかず存在している闇。それでいて軽めの語り口で飄々として、小気味良かった。
参照用リンク: #date20030721-230315
地下鉄…内容がない。はあ? だから? と思った。
静かな木…幼稚だと思った。
百万匹…おもしろい。楽しい。物語が成立している。テーマがある。
参照用リンク: #date20030721-073120
それじゃあ、予選で推した、百万匹で。
地下鉄は、どうもぼくの読書傾向が偏っているためか、不条理の味付けのアイテムがありきたりであるように感じた。静かな木は、SF的な雰囲気で始まって、SFでもなく、シュールと言うほどでもなく、詩的というには説明文が多く、寓話としては警句が凡庸。いや、ひとつひとつは水準以上だから予選を通過したのだろうが、ぼくにはどうにも中途半端に思えた。
参照用リンク: #date20030720-080000
『地下鉄』は残念ながら個人的にはさっぱりわからないので二択。
『静かな木』は上手いのだけど、「僕」の「消音」との関わりや心境といったところがもう少し書かれていたほうが、わざわざ出てきた甲斐があったのではないか、という点や、幻想的になりきれず非現実的な感じがしてしまって(これは感覚の問題だから良し悪しではないと思うけども)、ちょっとそれはどうかな、と考えなくてもよいのだけど考えてしまう、という点が気になった。そうやって気になることが悪いことだとは思わないし、むしろそれで投票することもあると思うけど、後述の通り今回は逆の理由で投票することにした。短さの効用というのは目立たなかったから、もう少し書いてもよかったのではないかと思う。
『百万匹』は、何度か読んだ限り気になるところは全く見当たらない。ただ感心。他の作品と比べて際立って愉快な状況でもなければ現実的でもないのだが、文章の巧さと合わせて、穴が無いように思わせる技術というのはなかなか得られないものだと最近痛感するので、ぜひ読後感そのままにすっきりと優勝してもらいたいところ。
参照用リンク: #date20030717-232917
地下鉄は地下鉄の空気が、静かな木には水分の多い重い空気が漂っていたが、百万匹の空気だけはあたたかく流れていたかな。
参照用リンク: #date20030717-055222
起承転結が整えられた形で存在しており、一番「ストーリー」として成り立っていた。「内容」が存在している。
とか、そんなことはどうでもよくて、とにかくおもしろい! 楽しい時間をありがとう!
参照用リンク: #date20030709-200047