第10期決勝時の、#23手術(シャクハッチ・マスカキコフ)への投票です(5票)。
この4作品のうちであればこの作品を選びます。
「フロントガラス」は悲しみが胸をうつ作品ですが、こんなに悲しい話を自分は読みたいのかと自問してみると、そうとは言えない気がします。「欅並木の芽吹く街にて」は正に海坂氏独特の世界であり、文句のつけどころはないのですが、これも自分が積極的に読みたい話ではないと感じました。
「ファミリーレストランで」と「手術」はどちらも楽しみました。「ファミリーレストランで」は前作よりさらに地味であり、むしろその地味さが好むところでありまた武器であるとさえ思うのですが、今回は「手術」のインパクトの方を選びました。独り、他とは全く違うベクトルに向かってとんがる様は、そこに存在するだけで価値あるものではないかと思います
参照用リンク: #date20030619-232120
笑わせる技術。最初から最後まで飽きさせない文章。内容が内容だけに、低く見られがちだと思うが、優れた作品だと思う。ここに、人生の悲哀のようなペーソスが加われば大傑作になったと思うし、それは、この作品ではほんの少しで到達できそうだと思う。
参照用リンク: #date20030619-031140
一本突き抜けた感じを受けるのはこの作品だったというのが単純な一つの理由。
もう一つは、短編で読みたいのはどんな作品かというのを考えてみた時に、他の三作品ももちろん読みたいが、今期はシリアスな作風なものが多かったように思われるし、これまでこのタイプの作品は票を集めて優勝していない、ということ。
作品単体からも、もうちょっと広い視点からも、この作品を推したい。
参照用リンク: #date20030616-140055
まさかこの作品が決勝に残るとは思いませんでした。おそらく誰も予想していなかった、と思います。書いた本人も含め。小難しいことは抜きにして、単純に面白いので読んでみればいい、と思います。そのあと、ちょっと深読みすればもっと面白くなる、と思います。
参照用リンク: #date20030615-103459
これである。これが決勝に残った以上これである。唯一の根無し草(デラシネ[(フランス) deracine])小説。他3作との決定的な違いを持つ。他、3作それぞれに面白く上手くもあるが残念ながら相互に比較可能な部分をもつ。それはまた同時に「読み手−作品間」の親和部分でもあったりする。人間である読み手が持つ「共感部分」を作品に取り込むことで何かを補う設計の小説という点で3作は同じ部分を持つ。読者の反応を事前に折込済みな感じがする。
「手術」は孤高である。読者への「頼り」部分がゼロである。ちゅうか俺こんな小説知らんし読まん。読まんがここまで残った命冥加なところを称えてこれである。要は面白かった。(瑕瑾)
参照用リンク: #date20030608-173610