第1期決勝時の、#13さらばドラゴン(紺詠志)への投票です(4票)。
初読、再読ぐらいのうちはインパクトが薄くてパッとしない印象で、予選の票も別の作品に入れたのですが(予選落ちしてしまいましたけど)、あらためてじっくり読み返してみて、その芸の細かさに感心しました。十円玉で腿のあたりをこすったり、アロハの金魚を撫でたりするドラゴンが生き生きとしていてよいです。
他、気になった作品は。
『盂蘭盆』
文章はとてもいいと思います。ただ、幽霊というアイデアはあまりにもありふれているから、好きではないのです。(僕もあまり人のことは言えませんが)
『ただいまお悩み中』
楽しいです。けど、終わり方が好きになれない。僕はツチダさんの他の作品を知らないから、あれが狙ったのかミスなのか判断できない(1000文字を超えると切られるというCGIの仕様だったりするかもしれない)し、たとえ狙ったにせよやはり気持ちよくはありません。
参照用リンク: #date20020916-170939
技巧がどうしたとか、仕掛けがこうしたとか。上手いとか下手だとか。
批評や採点をしているのでもないかぎり、そんなことはどうでもいい。要になるのは、読み手に向かって投げられた物語がどんな軌跡を描くのか、そして読み手がその物語をどう受けとめるのか。
「ここはこう書いたんだな」「なるほど、こう来たか」「おや、これは‥‥?」と知ったかぶりをしたがる書き手心をぽーんと蹴りあげてどこかへ追いだしてくれて、ただひたすら物語世界を堪能させてくれたこの作品だけが、今回の参戦作品のなかで「物語」だった。
参照用リンク: #date20020911-130150