仮掲示板

第58期感想

1 葬列 藤田揺転
一場面としては小説っぽさがよく出ていていいと思うんですが、ここだけ読まされてもちょっとなあ、という感じがしなくもありませんでした。小道具の選び方とか描写とかを通じて、全体としてはタイトルにふさわしい雰囲気が出ていると思います。
2 ねがいごと チョコボール2001
油揚げって紙袋に入れるものだったっけ……と読み始めたので余計にオチに感心してしまったのかもしれませんが、1000文字ぴったりで自然なバランスにすっきりまとまっていていいと思います。ただ、まあ、個人的には幽霊ネタはいかがなもんかと思うのですが。
3 枕の下にある枕 鏡 もち
僕はNASAの技術がアレな枕を使っているのですが、生産地は中国だったかもしれないなあ、英語とか中国語で文句を言われたら困っちゃうなあ、と思いました。実際契約するとしたらどんな条件にするべきか、難しいところです。
4 スペース・リビドー 灰人
リビドーは手元に残したままちんこを宇宙にぶん投げてしまうと、リビドーの行き場がなくなって大変なことになってしまわないかと心配ですが、去勢直後でリビドーが消えきっていないということなのかもしれないので今後も目が離せません。ところでエレベーターガールと言えばやはり帽子とスカーフが鍵というか本体だと思うのですがそこの描写がなかったので彼のリビドーは減衰しつつあるのではないかと思います。
5 贖罪 TM
石のような冷汗というのはどんなのかしらと思ったのですが、よく考えてみると冷汗自体記憶にないので、これも忘れてしまったのだろうかと不安です。これは日曜日に書いている感想なので、難しい深読みは断念します。
6 爪 仙棠青
いやでもあれすごく痛いんですよ。いやなこと思い出しちゃったなあ。
7 宝の部屋 鳩
一瞬ブルジョアの小僧に同情しかけた自分がはずかしい……じゃなくて、脱字と思われるところやよくわからない表現がいくつか見受けられまして、そこが残念でした。構成はおもしろいと思います。
8 4minutes silence 公文力
全体的に気怠いトーンになっているのがなんだか上手いなあ、と思いますが、一番気に入ったのは自閉症という言葉をおそらく確信犯的に漠然とした意味で平然と使っているところで、そういうことをやりやすい場だと思いますので自分もなんかいろいろと考えてみたいです。
9 とある日常 fengshuang
私にも、朝固定電話に電話がかかってきてびっくりしてその時の周囲の状況を妙に詳しく覚えているという経験があるので、fengshuangさんもこれは実際の経験に基づいた書き出しなのではないかと思いますが、いかがでしょうか。そういう日常のできごとをパーツあるいはきっかけとして話を作り始めるというのは私は常套的にやっております。
10 例えば千字で刹那を 黒田皐月
刹那はたしか仏教用語で、仏教的な時間単位は一通り具体的な数字が出ているはずでは……と検索してみたら七十五分の一秒くらいという説があるようですが、それだとあまりおもしろくないですね。興味の対象が速度ではなく実は時間の方だった、というのが、うんうん、なるほど、と楽しめるところだったので、そこを盛り上げるポイントに使うか、あるいは初めから時間の話として押し通すかした方がすっきりしたんじゃないかな、と思いました。
11 男たちのヤマト 大股 リード
作品や感想を読んでいて、どうもここに集ってくる人は自分よりもいくらか金を持っているようだな、と以前から気にはなっていたのですが、12000円を少々の金銭と書かれたことによるショックは想像以上のもので、要するにこの人はもうしばらく働かなくていいと思いました。
12 ジョー淀川 vs 峰よしお 頭をわしづかみされるハンニャ
ハンニャさんはいつも大変な目に遭っている。超人気作家といいながら、出版社の人が誰も最高だと思っていない感じがよかったです。あと、なんか男しかいないみたいだったので、僕だったらそんなところに行ってもテンションあがらないと思いました。
13 チュベローズ 宇加谷 研一郎
私は働くことにまったく喜びを感じないタイプの人間なので、働くことの意義というか良さというか、そういうことを語り出すところから段々と作品をファンタジーとしてとらえていくようになり、その結果実にスムーズに物語が展開していくように読めたのですが、それは読み方として正しくないような気がしました。でも小説の登場人物はすごくまともに働いているかありえない働き方をしているか極端な場合が多いと思うので、まじめに考えると奥の深い問題なのかもしれません。今日は日曜日なのでまじめに考えたりはしませんけども。
14 晴雨 白雪
全盲にしなくてもよかったんじゃないかな、と思ってしまうので、文字数もまだあることですし、盲者ならではの感覚的な描写があったらいいんじゃないかな、と思いました。
15 わくわく 野川アキラ
よくできたコピペみたいだ、と思ってしまったので、2ちゃんねるの読みすぎだと自分で自分を責めてあげたくなりました。
16 僕と猫 たけやん
小説を読んでいると随分と哲学的なイメージがついてくる猫ですが、最近youtubeでいろいろ猫動画を見るようになった結果そうでもないと思うようになり、実際飼ってみたらどうなんだろうと興味はあるのですが、猫って高いよねという話を書いてこの間きらら携帯メール小説大賞に出したら何ももらえなくてがっかりしました。自分に。
17 松の木のおじさん bear's Son
こういう徹底して他人事みたいな書き方は大好きです。センター前にもっていかれるフォークみたいな落ち加減もいいです。
18 きれいな円が描きたい 三浦
分量的に後ろの方がちょっと窮屈になっている印象を受けました。はじめの円を描くところの描写が細かいわりに、それ以降がちょっと淡白になっているような、そんな感じです。でも削れそうなところもないようで、それだけ書きたいことの多かった作品なのかなあ、と思います。もっと長い話にした方が、って感想、たまにありますもんね。
19 メフィストフェレス qbc
今期一番上手い作品は、と聞かれたらこの作品だと思います。思いますが、男性が書いた女性一人称もの特有のノリというかテンポというか、そういうのが強く感じとれたり、あと、『世に悪魔崇拝者は多かった。同僚たちはメフィストを招き、週末にたびたび黒ミサを開く。』のくだりはちょっとノリすぎじゃないかとか思ったりですね、小説を評価することのややこしさを感じさせられる作品でもあります。他の人がどう評価するかがすごく気になるところです。
20 Dreamer 群青
呑気でいいなあ、と思いました。もっといろいろなことを黙々とこなしていくとどんどん面白くなっていくんでしょうけど、それは1000字では難しいところでしょうか。
21 美空ひばり評 わたなべ かおる
自分と同世代かもう少し上の人間が美空ひばりを褒めるのを聞いた記憶がないので、私はそんなにすごいものなのかと懐疑的なんですが、この作品を読んでもその辺りは変わらなかったので、最後もあまり共感できませんでした。世代を超えなかったらすごくない、ってこともないんでしょうけど、若い人がそんなに感心するもんかな、っていう疑問があるのです。で、それは年長者一般に対しても感じていることなので、親に対する盲目的なリスペクトを真正面から書かれると何だか不思議な感じがします。
22 部活動生22 壱倉柊
最後には忘れてしまったようなので、まあそれでよかったんじゃないかと思いました。結局この人が高校生か大学生かはっきりしてないところがうまいですね。
23 くろぐろとうろこを るるるぶ☆どっぐちゃん
なるほど、そういえばるるるぶ☆どっぐちゃんの作品には感動っぽい要素はあまりなかったような気がします。これは氏の作品を読む上では結構重要なことかもしれません。そうでもないかもしれません。
24 線的虚構の解体(おためし版) 曠野反次郎
どっくちゃん、となっているのは意図的な回避なのか、曠野さんによくあるアレなのか。

運営: 短編 / 連絡先: webmaster@tanpen.jp