16 スナック
借る刊 さん
子供に酔っ払った様子を異常だと思われるということは、この父親は普段は酒を一滴も飲まない厳格なタイプだったんでしょうねえ。そういう想像が広がる物語というところがいいですね。
でもテーマのわりにあっさりとしすぎているのが個人的に物足りなかった。もっと路地裏の猥雑な匂いが漂うような方が好みです。
18 評
三毛猫 澪 さん
メタ物ですね。
自薦可のかわりに三票使い切りだと、実質は二票しか使えないのと同じじゃないのとか、さらに考えると現行制度で投票しない人は自作に投票しているのと同義になるのかとか、いろいろ考えがふくらんで面白いです。
ただその面白さは、小説の面白さと認めていいものか迷うところ。
19 天国 と 地獄
中崎 信幸 さん
正統派のショートショート、好きなジャンルです。台詞だけで構成しているあたりも、アイデア勝負ならば文句なし。
しかしそのアイデアがなんというか物足りない。見え見えのネタというわけではありませんが、オチを明かされても「そうきたか!」という意外性を感じませんでした。といってもどこが悪いのかをはっきり説明できないところが、アイデア勝負の難しいところですね。
20 未だだ。
交野幻 さん
スズメが肉片を運んでくるというさりげないガジェットが魅力的でしたが、文章にひっかかりを覚えるところが多くてどうにも話にのめりこめませんでした。
約束を切るなんて言い回しはあったか。拳銃を一丁ではなく一銚と数えることはあるか。「自然の必至」とはなにか。「俺すらとも」という表現はおかしくないか。
そこらへんが気になりました。
21 見えない線
(あ) さん
夢十夜の運慶の話を思い出しました。
熟練すると頭の中で半分くらい出来上がっちゃうものですよね。私も小説を書くときにそうなりたいもの。
絵を描く前に線が見えるというのはよくある話ですが、そこでデジタルの作画道具を持ってくるあたりが新鮮。でもその新鮮さが吉なのか凶なのかが、読者によって変わってきそうです。
22 夢
みうら さん
序盤までは当たり障りのない話だなあと思ってましたが、後半からの怒涛の展開に感嘆してしまいました。
この不条理さが不思議なことに実に自然で、「そうそう、夢ってこんな感じの終わり方するよね」と納得できるところが凄いと思います。
23 パターンB
qbc さん
感想が難しいです。この小説の技巧にぴんとこないのです。ネガティブな展開を続けてラストのパターンBのあっさりぶりを叩きつけるのが肝なんですが、そのあっさりさがどうも好きになれません。
ところどころ読んでいて引っかかる文、たとえば「二一歳の会社の派遣スタッフの女の子と一夜限り前提の行為を終えて」とかはどうかと思います。
24 繋恋橋
クマの子 さん
情景が大事なお話だと思いますが、その映像がなかなか思い浮かびにくいところが残念です。「両端が宙で途切れたままの橋」といってもすぐにはイメージできず(私などつり橋が浮いてる様子を想像してました)、後で出てくる「水の中に建てられた鳥居の様にも見えた」というところで、初めてわかる気がします。序盤でわかりやすい描写にした方がよかったんじゃないでしょうか。
あと文章に「〜た」で終わる文ばかりのため、ぶつ切りになってるような印象があります。
25 女がウサギになるまで
宇加谷 研一郎 さん
不思議な味わいです。会員制秘密倶楽部の話と思ってもいいのでしょうか。
最初に出来てきた男に、主人公の女は思慕のようなものを抱いたのか。そのあたりが見え隠れしつつもはっきりしないところなどが味わい深いです。
26 デジタルデバイド
黒田皐月 さん
「デジタル」と「極端」をイコールで結ぶテーマに納得が行かなかったので、全体的にすっきりしませんでした。
論文調の構成もどうもストレートすぎるなあという感じがします。個人的にはこれにキャラクターを付け加えた方が好みです。
27 ヒデとマサの話
鼻 さん
テーマとしては斬新というわけでもないですが、読んでいて予想を裏切られる心地よさが味わえたのは構成の上手さでしょうか。
中年男性同士の同性愛というある意味醜悪さを思わせるオチも、とてもよかったです。
28 日だまりの詩
euReka さん
詩的な表現が上手いなあと感心しました。千字を越えるボリューム感もあって、いいお話だと思います。
数式も雰囲気が出ててよかったです。セックスと光合成と詩と死が絡んだ事物は気持ちいいものであり、それは恋であり、神であり、空虚だという意味でしょうか?
29 削除されました。
謙悟 さん
これもメタなテーマ。タイトルを見た瞬間ぎょっとしたので、その意味ではこの作品は成功しています。
ただお話の内容がごく普通だったのが残念なところ。話ももっともメタメタしててもよかったんじゃないかなあと。
30 エンドレストラック
壱倉柊 さん
読者の共感というのはどんな小説にとっても大切なものですが、この作品はとくに共感が必要となる形式ではないかと思いました。
物語性やキャラクター性ではなくテーマで勝負している作品だと思うので、そのテーマに感じ入るものがなければ、何一つわからないんじゃないかあと。
短く言えば、悪い作品じゃないんだろうけど、どこがいいのかわからなかった。ごめんなさい。
31 ウェルドイット!
キリハラ さん
面白かった。彼女のキャラクター性が見事な具合に出来ており、読んでて心地よい。
気になる点といえば、彼女の名前の「真冬」が、最初の1回しか呼ばれておらず、その後はずっと「彼女」で通してるのが、真冬が名前だと認識しづらいのがもったいないかなあと。
あと、ジュラルミン板ではなくジュラルミン版となってるのも気になります。
以上です。