『キュウリ』に票が集中したことよりも、管理者から報告があった事項よりも、もっと由々しきことが第70期予選で起こったと私は考える。このことにより、投票結果に疑問を持った三度目となった。
なぜ『八月の光』と『イリュミナシヨン』に一票も投じられていないのか。
こう挙げておきながら、両作共に私は読めていないので、その魅力を論じることができず、非常に残念に思う。それでも思うところを言えば、以前に「これに比べれば他の作品は作文に過ぎない」というような感想があったが、この表現を借用すれば両作は文句なく作文の域を超越していると言えよう。表現したい心情を直接的にではなく読者が想像できる物事を用いて描くものが芸術ではなかっただろうか。そしてそれに文字を用いたものが文芸、小説ではなかっただろうか。私はどちらの作品からもそれをつかみきれていないが、それは私の読解力のせいであり、どちらの作品からも表現したいものがあることは私にも強く感じられた。それほどの作品が評価をされなかった理由がいったい何だったのだろうか、両作の本当の魅力と共に、是非教示いただきたいものである。
私自身も両作に投票していないのだが、その理由もあわせて述べておきたい。短く言えば、読めなかったこともあるが他の誰かが投票するだろうと甘い観測をしていたことが理由である。予選における私の投票行動は、多くの場合好きと思った作品を優先し、次に良作と思った作品を挙げている。そして、良作と思った作品の中では、誰も投票していない作品を優先している。この作品はもっと評価されるべきではなかったのかという主張のためだ。ただし、どうしてもこの作品を推したい、あるいは推すべきだというものがあればそれが最優先される。読めなかったために両作は最優先とはできず、結果として投票への優先順位が下がってしまい、投票しなかった次第である。詫びるようなことではないと思っているが、こうなってしまうとそういう気持ちも少し起こってしまい、こうして掲示板を汚してしまった。
こうして書いていると、意見を述べている私自身ですら、常連びいきではないかと思ってしまうのだが、第70期はそういう作品が出揃ったのだと私は信じている。是非他の方の意見も聞きたいものだ。まとまりが悪いが以上、短編終わった、と言われる前に一歩だけでも踏みとどまりたい。