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本文: 〉 〉21「1000字でわかる(ような気がする)日本の歴史」 〉 〉・納得できない点 〉 〉 残念ながら、よくわからなかった。これは……ヒップホップみたいなものなんですか? 〉 〉・参考にしたい点 〉 〉 これが一息で書かれたものだとしたら、なにかその混沌たるエネルギーに脱帽する。 〉 〉22「クリスマスカロル」 〉 〉・納得できない点 〉 〉 文章がぶつぎりで、綿々とつながっていかない。固有名詞にたよりすぎている感じがする。それとディケンズの「炉辺のこほろぎ」が、この作品とつながっているのかもしれないが(たしか妻の浮気を苦悶し、認めてしまう男がでてきた)、こういう下味が下味としてちゃんと生きていない。というのも、今期の「女装小説」につかわれた「マッチ売りの少女」くらいの創造が、ここでは行われていないからである。レトルト小説と言われかねない危険がある。 〉 〉・参考にしたい点 〉 〉 この俗っぽそうな男は鉄道が好きだ牛タンが好きだといいながら、本当はただ女に好きだといいたいのだろう、それにクリスマスなのに喫茶店に行って帰ってカレーをつくるだけ、という生活背景……この2点は悪くないのでは。 〉 〉 〉23「背中」 〉 〉(投票予定) 〉 〉・とりあえず一言 〉 〉「何故だかむしょうにでんぐり返しをしたくなった」この一文は今期の短篇で一番強烈な一文だ。ここから話が大きく膨らみ、作者の得意な観念がこの一文で光りだす。無限の可能性を感じる。 〉 〉24「家族会議」 〉 〉・納得できない点 〉 〉 結構面白いな、と思っていたところ 〉 〉「ボギーは3歳のメスなのだが、とにかく子沢山だ。家族が大切とか、男好きと言う感じは見受けられないが、単にエッチが好きなのかもしれない。両足を前に出し、その上に顔をのせて、舌を出している姿から反省の色は見られない。」 〉 〉とあって、なんだかなあ、なんだかなあ、と不満を覚えた。世の中にこれだけエッチな動画や写真が氾濫していると、エロで読み手の欲情を燃え立たせるにはよほどの腕がいる。笑いについてもそうだ。露骨な比喩で笑えたのは、ポルノが遠いものであった時代だ。女に性欲なんてあるの? と思えた時代のことだ。犬と女を連想して笑うほど、現代のエロスは安っぽくなく、男も女も眼が肥えている。 〉 〉・参考にしたい点 〉 〉エロな点はともかく、冒頭の家族の登場からして、その語り口が滑らかで、続きが読みたくなるような文章だった。「威厳のないオヤジ」「頭の悪い姉貴」「気品のあるオフクロ」と、さりげなく人物描写に味付けがしてあって、それがドラマをみているように想像できて、よかった。 〉 〉 〉25「古井戸で」 〉 〉・納得できない点 〉 〉 旧習に捉われた独裁者のはなし、として読むといい教訓になるけれども、なんというか、読後感がよくない。作者自身がどこかの昔話をかりて書いている気がする。この作品はこの作者によってかかれなければならない、という独自性がまったく感じられない。 〉 〉・参考にしたい点 〉 〉 1000字で昔話を書く様式が完成されている点は参考にしたい。破綻がまったくなかった。 〉 〉 〉26「ミソスープの香り」 〉 〉・納得できない点 〉 〉 今期、傑作ぞろいだったのが残念でならない。普通なら、私はこの作品に投票している。あえて、傑作の3作品と比較せざるをえないとするならば、味噌汁を重要視しすぎたことだろうか。もちろん、味噌汁にこだわる点が話のツボなのではあるけれども、こうタイトルから「ミソスープ」を連呼されると、せっかくの味噌の香りがなくなってしまう、それが惜しすぎる…… 〉 〉・参考にしたい点 〉 〉 しかしながら、何の集まりなのかわからないまま話がすすみ、味噌汁に異様な興奮を示しながら 〉「ご名答。サトウは味噌を持っていたんだ。世界で唯一の貴重品だぞ」 〉 〉と紹介されればすかさず、青年は<祖母からの直伝です、と微笑>む。このへんの文章の呼吸が絶妙。作者の空想世界に見事にひきこまれてしまう。 〉 〉「調査機関に全世界で照会してもらったけど、サトウが正真正銘の最後だった」 〉 〉などなど、その意味が明らかにされないままに話が続いていくそのスピード感もすばらしい。それにしても物語る文章そのものにキレがあるなあ。 〉 〉27「森の中のゾンビちゃん」 〉 〉・納得できない点 〉 〉 俗にいうエログロのグロを扱った作品。ゾンビが女を食べるけれども、そのゾンビは可愛らしいという設定。文章はスムーズで文句のつけようなどないけれども、これは好みの問題として、私はこの話がうけつけられなかった。しいてうけつけられない理由を挙げるとするならば、男が女を襲う、という設定が倫理的な点で同意できないのと、物語としてはその設定は新しくもなんともない、ということだからか。 〉 〉かりに、美貌の女性が、どうしようもない容貌の男性の血をみるのが好き、というかんじのグロであったならば、私好みだったろうと思う。 〉 〉・参考にしたい点 〉 〉 この物語の人物造型も状況も私は好きではないけれども、一般に悪者であるゾンビを「かわいく」つくり、好みはともかくとして、食欲しかなかったゾンビが女の太腿に性を感じた(のかな?)という展開の方向は参考になる。なにより、グロな内容に対してきれいな文章が、不思議な空気をつくりあげている。 〉 〉28「ファズ」 〉 〉・納得できない点 〉 〉 ひとつの歌として読んだときに、ここはかみあっていないなと思えるところがあった。ひとつは「五十年に一回必ず破綻する宗教。五十年に一回必ず起こる大戦争。それらの原因は要するに」という部分。哲学として読むには短絡的であるし、詩としては硬すぎる。あと、五感を制御するソフトウェアのところも目が千個というところも、繰り返しが、気持ちよくなれない。 〉 〉・参考にしたい点 〉 〉 時計工場の食堂兼休憩室で踊り狂う工員のイメージと、なぜか浴室につめこまれた家具の上のテレビを前にして正座をする「語り手」のイメージがよかった。
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