●掲示板
【第184期の感想/岩西 健治さん】
「神様とスパイ」耳
一種ふざけた感じ、アメリカンジョークやユーモアといったもので構成された作品であり、比べてしまったのは「森を統べる」である。非現実的な設定は所謂、創作小説といったもので、最後の一文で結を出す方法は「森を統べる」にはないが、やはり、共通の創作方法を感じる。
結局、最初に言っている。スパイだとばれないのがスパイなのだから、スパイのTシャツを着たスパイはスパイではないのだ。神様のTシャツを着た神様も同じで、人間に見つけられる前には存在しないと言っている。犬のTシャツを着ているのは人間であるかも知れないし、神様なのかも知れないが、犬(警察の犬かも知れないが)ではないようだ。存在の不確実性。あるいは名前を与えられた時点で物は存在を証明されるということ。不明瞭なカタチの中に鳥らしいカタチを見つける。すると、その不明瞭さには鳥と言う名前が与えられ、鳥だという証明を与えられる。少なくとも人間は存在を証明したがるものなのだ。
⇒確かに、アメリカのコメディみたいな感じはしますね。特に意識してそうしたわけではないのですが、シンプルな文章や構成で笑いを誘おうとするとそうなってしまうのかもしれません。
『森を統べる』との共通性については、ご指摘のように「非現実的な設定」が同じだと思います。現実的なものを初めから排除した空間で、現実とは別のルールで世界を作るという手法になるでしょう。
存在とその証明に関しては、そのことを書きたかったわけではなく、神様とスパイのやり取りをただ面白く書こうとしただけなのですが、なりゆきで〈存在とその証明〉の話になってしまったというところがあります。
存在を証明する行為は、その何かを所有したいという欲求が前提にあるものなのだと思います。直接の所有ということだけでなく、記憶の中に所有したいということも含めて、その何かを所有することによって、自分の世界を形作ろうとしているということではないでしょうか。だから「人間は存在を証明したがる」ということかもしれません。
●決勝
2018年2月7日 20時56分48秒
「神様とスパイ」は、マンネリ化したパターンにもとれるが、予選で入れた中では一番納得できる作品であった。
⇒最後のオチの持って生き方は、確かに最近よくやるパターンかもしれません。自分的にはオチが少し分かりにくかったかなという反省があります。