おどろくほど推敲前/推敲後のような内容だったので(もちろん黒田さんの作品が推敲前)、so farさんの作品と比べてどこがどうダメなのかダメ出ししてみました。
黒田版
『バイト先が同じであることを私が知ったのは、バイトを始めてから三ヶ月も経ってからだった』
→『バイト』という単語が文中で2回も出てきてかっこわるい
so far版
『バイト先が同じであることを知ったのは、働き始めて3ヶ月も経った頃だった』
→すっきり。無駄な主語である『私が』も省かれている。
黒田版
『駅ビルの婦人服売り場で、彼が接客、私は陳列だった』
→いくら接客と陳列と言えど、同じ店舗ではたらいていれば面識どころか名前を教えあうくらいの自己紹介はありそうだが。
so far版
『同じといってもテナント店が密集する駅ビル内のことだから、当然と言えばそうだが』
→主人公の売り場は鮮魚。佐藤伊織は婦人服だから、接点がなくて当然と言える。売り場自体、離れた場所にありそうだ。
黒田版
そもそも、主人公がどういうアレで佐藤伊織のことを知っているのか不明。
so far版
『佐藤伊織は同じクラスだが』
→納得しました。
黒田版
『そう言えば採用面接のとき、急に人手が必要になったと聞いた。こんな私でも簡単に採用してもらえたのは、きっとそういう事情があったのに違いない。』
→佐藤伊織の女装が評判となり、そのおかげで売り上げがあがった、という前提がなければ、『急に人手が必要になった』というのは何の意味もない情報である。『彼は常に若い女性に囲まれ』というのがもしかすると「佐藤伊織のおかげで女性客が増えた」という描写なのかもしれないが、だったらそう書けよと言いたい。『常に〜に囲まれ』という書き方はこれで二回目だということにも気づいておきたい。
so far版
『女子の多くが彼から、新作のマスカラやマニュキュア、流行のスカートまで目を輝かせながら情報収集したがる理由が分かった。彼を雇ったお店も冒険だったろうが、先見の明だ。売り上げは右肩上がりらしい。』
→読者が知るべき情報がすべて簡潔に書いてある。
佐藤伊織のキャラクターについて
黒田版
『常に派手な男女に囲まれている』男子(下心)にも女子(情報収集)にも人気。『黒のスーツとタイトスカートと、まだ暑いのにタイツ』婦人服売り場の接客が全身スーツ?フォーマル系の店なのか?『せっかく女の子なんだから』女の子に対する羨望?『メイクを直さないといけないから』暑いのにそんな格好してたら汗かくからね。『歩く姿には人柄が表れる』歩く姿はどこに描いてあるのか?
so far版
『大抵派手な雰囲気の女子に囲まれていた』女子に人気はあるが男子は近寄りがたい。『黒い長めのニットにミニスカート』カジュアル。『巻き髪を肩で揺らしながら』外見+動き。台詞から超然とした印象を受ける。メイクなんてなおさない。完璧。
また、全体的に黒田さんは湿って冗長な、qbじゃなかったso farさんは乾いて端的な文体でした。まあ、これは好みの問題といえばそうですが。
みんなもふたつの文章を比較して勉強しよう!