1 12時すぎのシンデレラ 志崎 洋 1000
もっさり感ひどい。かぎかっこのダイアログ、手紙、独白っていろいろ手法が違うけど、ぜんぶ説明のため。なぜそのダイアログが発生したのか、なぜ手紙を読み始めたのか、なぜ独白したのか、ぜんぶ作者が内容を説明するためだけじゃないか。操り人形じゃないですか登場人物が。
お金持ちが実は不幸せだ、っていうのは貧乏人のひがみだと思う。そもそも貧富と幸福は関係ないんじゃないのかなとか、多様性のあるテーマだと思うので、これがあくまで一意見だ、っていう読者への無用な混乱を避けるための防御策があってもいいんじゃないのだろうかねと。
2 まよなかのはなし 笑珈仁子 917
そんなに風船の比喩にこだわらなくてもいいんじゃないのかなと。なんかぎくしゃくした感じなんだけど、漢字と平仮名の割合って、あまり言及されてなかったけど、森さんが上手いと思ってた。 http://tanpen.jp/authors/59-2.html 副詞は平仮名、複合語の「思い上がる」とかは「思いあがる」とか。このあたりは訓練なのか学べないセンスなのか。
「僕には分かり兼ねないよ」は、分からない、という意味じゃなくて、分かってしまう可能性があるかもしれないよ、という意味になりますよ。分りかねる、だと分からないという意味。兼ねない、は、なになにするかもしれないという意味。
3 Good-bye 聖華 999
どうしてこんなになるか分からないんだけど、描写が多い。
「白い粉は風に乗り様々な方向へ広がっていき、そして消えていった。もう戻ってはこない。空っぽになった小瓶が明美の手のひらからすべり落ちた。」
なんて、「白い粉が風に消えた。明美は小瓶を落とした。」で済む。粉は風に舞ったら消えるし、戻ってこないのも普通。読者にとって論理的に分かることは、書かなくてもいいんじゃないかわざわざ。
小説ってどういう風に書くんですか? とか訊いちゃう人なんかは永遠に書けないんだろうなと思うのと同じで、こういうどこまで書いたら相手に物を伝えられるか、物事を客観的俯瞰的に見る感覚っていうのは学べない部分なのだろうかなと。
4 残暑 イエイツ 1000
気分が変わる、ってことだけでも書くのが難しいんだなと思う。実際、気分なんて天気とかなんでもないことで変わるんだろうけど、でも、なぜかフィクションだと事件が必要というかてっとりばやい。
なんかありふれた日常を描くことがすごい、それで気分がうつりかわってゆく様を描けるのがすごいって言う人がいるんだけど、それ病的偏向だと思う。数あるうちのただのひとつだと思う。なあんて自分の苦手なことには攻撃的なんて恥ずかしい。
5 「クイズ棟方の統領は提灯鼻」 5or6 843
本文と注釈っていう関係は漫才のぼけとつっこみに似ていて面白いんだけど1000文字ぜんぶ使ってやる必要はないんじゃないのかと思う。あと関係ないけど、私の漢字平仮名の使い方が独特とか言われるけど、すごい速さでタイピングしてて漢字変換するのがめんどいからって理由もありますよ。
1000文字では収まりきらない内容だって言う人も多いんだけど、これも意味が分かんない。じゃあ1000文字で書かなきゃいいし。こういうのほんと困るんだけど。あと長編の練習とか言ってる人。なんで1000文字書いてるの、練習になるの? 1000は1000。
6 雨 ほろほろ 802
動物好きだから良いと思いました。
それにしても、ポチって名前はお庭で飼ってる犬の印象があるんだなあと思った。この話のポチは「ペット可の部屋」ってことは室内飼いなんだろうけど、そうするとポチがなんか似合わないんだけど、そのミスマッチぐあいがいい。
7 肉の日 香椎むく 1000
こういうチープな内容を石川さん http://tanpen.jp/authors/76-9.html の文体で書くと面白いんだと思う。内容と文体のコントラストっていうのをもっと考えてくれたらなあと思う。
これも描写ばかりでもっさりしている。描写は「人差し指で鍵盤をたたいた」、説明は「ピアノを弾いた」、台詞は「ドー」みたいに、描写が現実よりも長く、説明は現実よりも短く、台詞は現実と同じくらい。
8 死の舞踏 三浦 1000
えー全然イメージが共有できない。言葉のつながりが分からない。
9 熱闘関ヶ原 さいたま わたる 1000
気分の移り変わり、ということを描くことだけで、これくらいのボリュームが必要なんだなと思った。
10 エルの終末 アンデッド 1000
これも描写が多い。もっさり。なんでなんだろうか。なにかの教育なのか。
11 錆 群青 999
最後なんかよくわからないところに飛ばしてしまったけど、こう、嘘を書いている人特有の、饒舌が出てて、ああやむにやまれず書いたんじゃなくて思いついたから書いたんだなって思った。思いつけたから書いた話しっていうのはつまらない。真面目すぎるんだよなあ。
12 まぐろ なゆら 536
あー面白い。
なんかこの前までの作品読んでて息が詰まったのは直線的だったからなんだと思った。
「ある人は唖然とし、ある人は腰を抜かし、ある人はよだれを垂らした。よだれはだらだらと真下に垂れて大きな水たまりを作った。少し気の早い一番星がゆらゆらと映った。」
なんて部分は、説明、描写、と来て、間接的に時間を表す描写で、この間接的な表現ができる余裕がいいんだろうなと思う。「初恋のマグロ」の話の跳び方も良かった。
あっちゃこっちゃ行って最後にまとめたけど、もっと読みたいなって部分でちょっと物足りなかった。
13 鼠 わら 1000
これも直線的だよなあと思いつつ、自分がこうも雑多ものを好むのもなんか偏向してるなあと思う。
こう、最後にその後のお話を書くとお伽話みたいになりますね。NHK教育テレビの午前中の番組みたいなの思いだした。おさまりが良いなあ。
14 玩具 彼岸堂 1000
こういう話は好きなんだけど、「カチリカチリカチリカチリ。」とかなにも考えてなさそうな書き方がもったいなかった。
15 『3年2組の河野君』 石川楡井 1000
思いついたから書いたんじゃなくてやむにやまれず書かれたような作品の特徴は唐突に始まるんだと思う。いわゆる、あなたたち読者は知らなかっただろうけどこの作品の中の世界はもうとっくに始まってたんだよって感じで始まるんだと思う。
設定があやふやなところもあるんだけど、なんで急にスーツ姿が出てこられるのとか、でも河童がでてくるところで、そういうのが曖昧でもまあいいかと思わせるところもなんか不思議。
あと、
「河野君はもっと尖った口でカァと啼いた。河野君は頭が良かった。」なんていう文脈の跳び方とか、「ふとゴールデンタイム後のニュースで」の「ゴールデンタイム」とか日常をこまかに出せるところが、上手いところ。
16 折合 エム✝ありす 1000
たまには連絡ください。
17 ツヨイ、ネガイ 謙悟 1000
これはこんな状態だったら、もっと人死んでるんじゃないのかなと。
18 夢の女 yasu 651
省略が多いのでなんか説話みたいだ。予定調和的というか。
19 横っ面 金武マーサムネマサ 263
「便利なフレーズ」っていうので、ふふ、ってなったから100点満点。
20 喜びはいつも君のそばに 葛野健次 335
なんだか短いわ。ほう、としか思えなかったよ。あんまり印象に残らない。
21 文化祭 クマの子 1000
なんだか話がとびとびで、たとえば「だけど近い将来、佐伯さんも同じことをされると思うと私は辛くなる。」てなんでそう分るの、て思ったんだけど、語り手がそういう人だっていうことなのかな。
22 小さなつめ 高橋唯 1000
むう。どうして直接的に書かずに間接的に書くのか。a,b,c,d,eという要素があって、その中のaが核心の要素だったら、a以外はみんな直接的に書いたらいいのに。じゃないと意味が分かんない。ぼかしすぎ。
23 エレベーターに乗る 石川順一 998
これは、散漫な印象だった。
「寿がきや(Sugakiya)」の字面はなんかきれいだった。
24 おかえり euReka 987
やめて、意味ありげな字面並べるの。
25 甘いか? レッスンは? おひるねX 1000
やめて、筋書きだけみたいのは。
26 株式会社ネコに好かれたい ハダシA 995
タイトルだけでこれ最初に読んじゃった。
動物がでてきたのでこれはこれで良いです。
27 最後の一葉を集めて えぬじぃ 1000
どういうことなの?