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 今期は改変をしたいと思う作品がなかなか思い浮かばなかったのですが、so far氏はさすがです。もっとも彼の作品は改変というよりも同じ題材で新たに書き起こしたものであり、どのあたりが『空はオールブルー』なのかわかりませんでした。
 以下、まずは感想です。作品に無関係のことばかり申してしまっております。

#1 八〇
 何ともわからなかったが、異形の話であれば『丘』が好き。

#2 移りぎ
 古文と言えば『とりかえばや物語』を読まなければいけないことを忘れていた。原文と現代語訳を並べた文庫本は買ってあったのだが。
 K氏の感想に同意するばかりである。いかにも古文の時代でないと誰にもわかる事象を古文の形式で描けば、面白いのだろうと思う。

#3 ミクの一番好きな匂い
 「ミク」とカタカナで書かれると……、と言う私は爛れているのだと思った。見たことはないのだが。
 こういう読み切り同人漫画のようなものは好き。

#4 気がかりなこと
 自殺から結婚に移行することが類型であるとされていることに、良い印象を持たなかった。老紳士の娘は自殺してしまったことから、自殺を止める者が現れることには何らかの条件があるものだと思われるが、それは何なのだろうか。まさか男性限定ではないだろうかと疑ってしまった私は歪んでいるのだと思った。

#5 空はオールブルー
 作品とは関係ないが、思ったままを書くことは珍しくもないことなので、わざわざ掲示板で言う必要はない。それをやるならば、悪感情を持たれる覚悟を決めた上でそれでも我を通す決意を固めるくらいのことは、最低限必要である。
 空想の翼とは、もっと高く飛翔できるはずのものだと思う。

#6 果実の子
 森氏はこの種の荒んだ感情を描くのが上手いのだと思う。変に救いを求めないところが良いのだと思う。

#7 ジャングルの夜
 ファンタジーとはそういうものとも言えるのだが、ファンタジーに託しただけに見える。
 ほぼ千文字の中に余計なものは見受けられないが、足りないように思う。最初は人間代表のことかと思ったが、それは間違いで、その彼を思う主人公の内心が足りないのではないだろうか。

#8 見えない壁
 題名で他人を批判できる者ではないはずなのだが、なぜこの題名なのかと思った。
 「俺にはまだ、希望があった」という心境は、希望が尚美を指しているものと思った上で、好きだと思った。しかし「心で売りまくっていた」の表現は「頭の中で」であるべきだと思う。

#9 ココロノツナギカタ
 恋愛漫画は苦手なはずなのだが、「誰かと、ココロヲツナギタイ。なのに、ココロはまだついていけないみたい」の心境をもっと知りたいと思う。その落差は主人公にどのような苦悩を与えているのかなどといったことが、必要だと思う。

#10 があは
 家庭を描いた作品のような気がするが、読み取れなかった。
 それにしても藤舟氏の作品を毎度読み取れないというのは、私の読解力に問題があるとしか思えない。

#11 猫
 まとまりが良いと思う。それは大風呂敷を広げないように注意した結果なのかもしれない。

#12 うどんだよ
 これは感想ではないと言うべきことなのだろうが、この境地は夢想すらできない。

#13 暖かな日の光
 見た感じ、『銀河鉄道の夜』。

#14 街灯
 わからないと思ったのは、私が「言葉の分からない街に入り〜ここでの見当識は街へ溶け込んでいく」の部分を読めなかったせいだろう。

#15 擬装☆少女 千字一時物語37
 先日申した忘れていることとは、これではない。それから、今やらなければいけないことは美しくない女装だとは思っていない。以前から言われていることではあるが、まだはるか遠いように思っている。

#16 鳥籠から見た自由
 人間の不自由を描いたものと言うよりも、鳥の馬鹿さ加減を描いたものに見える。

#17 影踏み
 K氏はこの種の知っているはずだが忘れてしまっている感情を描くのが上手いのだと思う。淡々と描いて最後に急加速しているのだが、何気なくそうしているように見えるこの構成は、業物だと思う。

#18 バイバイありがとう さっよオナラ〜♪
 シャ乱Qをすぐに思い出すことのなかった私は非常識だと思った。しかし、それとは何のつながりも感じられない。それ以前に、何の罪を問われているのかは必要ないのだろうか。

#19 血戦
 私が、これを、qbc氏に言うとは、という批判を覚悟で言えば、ご都合主義。
 パソコンは、ある程度の技術は必要なのだろうが、肝要なのはパソコンという道具で何をするのかということではないのだろうかと私は常々思っている。なので、その技量に畏敬されるという状況が良くわからないのだ。

#20 青い空
 ツルハシを振り上げている理由とは何なのかと問うて良いだろうか。

#21 水の線路
 改めて述べることはない。もしも誰よりも先に感想を出したとしても、わら氏以上のことはひとつも言えなかっただろう。

#22 キャンベルトマト スープ コーン
 いつもより短い印象を受けたのは、改行が少ないせいなのだろうか。

 今期改変に挑戦したのは、『ココロノツナギカタ』。感想では、その心境をもっと知りたい、と書いたのですが、改変はただ現状肯定を書き増すことしかできませんでした。言ってしまえば小道具を増やしただけで、それはしない方が良いのかもしれません。

―――

ココロノツナギカタ

 休日だというのに朝早く起きてしまった。
 七時十三分。せっかくの休日だからまだ眠っていたいのに、とベッドの中でぐずぐずしていたのだが、希望とは逆に目が冴えてきてしてしまい、二度寝などできそうにもなかった。いっそのこと起きてしまえ、とあたしは台所に立ち、コーヒーメーカーにコーヒーの粉と水を入れた。スイッチを入れてしばらく経つと、コーヒーメーカーはぽこぽこと音を立て始めた。お湯が沸いている。

 あたしは、ココロノツナギカタを忘れた。

 朝の静けさの中、お湯はこんなに沸いているのに、あたしのココロの中には何も沸いてこない。まっさらな休日なのに誰に会う気も何をする気も起きないのはどうしてだろう、とあたしは冷静に思った。どうやって人を愛していたのか、どうやって何かに執着していたのか、あたしは忘れてしまっていた。
 コーヒーを淹れて、あたしは脇の鏡を見た。料理をすることもおっくうになってインスタント食品ばかりで過ごすようになったのは、五ヶ月以上前だ。掃除もあまりやらなくなったし、メイク落としも雑にしかやらない日が多くなった。そのせいで肌はカサカサ、口の端も切れてしまっている。こんな顔では誰にも見てもらえないことなど、あたしにもわかっている。鏡の隣に掛けてあるカレンダーはまっさらなままだ。でも。

 誰かと、ココロヲツナギタイ。
 なのに、ココロはまだついていけない。

 ラメ飾りの携帯電話がテーブルの片隅に転がっている。ボタンを押しさえすれば誰かとつながることができるかもしれないそれを、今のあたしはアクセサリーくらいにしか思っていない。今あたしが手にしているのは、あたしだけのための安物のマグカップだ。カップの向こうを遠くする湯気とそれだけに浸れる香ばしい香りが、あたしを落ち着かせてくれる。とりあえず、この温かい飲み物でココロを温めよう。
 温かく香ばしいものが喉を通ってお腹に入り、ココロを温めてくれるのがわかる。大丈夫。今はまだ無理でも、いつかきっとまた誰かとココロをつなげられる。沸き立つような恋ができる。携帯電話のラメ飾りが朝日を反射して、鏡に映ったあたしに光を射した。香ばしいコーヒーは、濃すぎない深みのある苦さがおいしかった。あたしは今、確かに幸せだよ、と自然に顔が綻んだ。今日はおいしいコーヒーの粉と新しいコーヒーカップとコラーゲンを探しに出かけようと、あたしは入念なメイク落としから始めた。

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