それぞれの人がそれぞれのバックグラウンドに基づいて、
現代への考察をしているって感じですね。
鴻上さんは物語で、
養老さんは脳で、
岸田さんは幻想で、これは物語とも通じますけれど。
私から補足すると、
・養老さんの眠りの観点から言うと、
生き物がなぜ眠るかは、まだよく分かっていないらしく、
なので養老さんの話はすこし訝しい。
養老さんの専門じゃないけど、フロイトの夢は欲望の解放だ、
ってところに引きずられてるんじゃないのかな、と思いました。
ただ、だからと言って睡眠時間がどんどん減少している資料はあるわけで、
そこに現代文化を読み解く糸口を見出すのを否定しているわけじゃないですが。
あとネコとかも夢見ますね。ネコにもノンレム睡眠があって、
ノンレムの最中、生物は筋肉が弛緩するんですけど、
それを制御する神経を破壊させておくと、ノンレムの最中、歩き出すそうです。
こっから、眠り、と言うか夢を昼間のシュミレーションするための
活動と捉えるような考えもあるみたいです。
夢は、生き物としての機能じゃないのかなと。
また、建築史の面から言ってもいわゆる寝室ができたのは
ここ2-300年のことみたい。
そして現代の様に灯りを24時間点灯させるようになったのもここ最近。
いまだに、日本でも田舎はかなり暗い印象を感じます。
それ以前は太陽の昇り沈みで時間管理、生活管理を集団で行っていて、
工場でみんなで一斉に働こうぜ、みたいな出勤時間が生まれたのも産業革命以降。
だから、時間管理も現代的なんですよね。
灯りをつけるのにも、安価になるのを待たなければいけないようだったから。
都市に住む個人は、時間も自己管理しなければならない。
寝巻調査っていうのがあるんですが、そのまま外に出られるような
ユニクロみたいなのを着て寝る割合が増えているそうで、
このデータもそれを裏付けそうです。
・鴻上さんと岸田さんの、物語とか幻想の観点については、
両者とも、都市とか宗教とか、現代社会を形成する要素について
言及しているように思いました。
先の太陽の話にもつながりますが、現代は、
自然現象から遠ざかるようにして進んでいるようです。
それは、自然を説明するような神話をひとつひとつ潰していく
作業のようにも思えます。
要するに、脈絡と続いてきた文化を自分で崩壊させている。
信仰を、人間が集団を維持する為に存在するウィルスの様に考える
説もあるくらいですから、これは集団という観点から見て、
厄介なことかと思います。
ナラティブセラピーなんていうのも最近ありますしね。
ただ、いずれにしろ、人間はどうも様々なことを
言葉で説明しないといけないと思ってるような節があって、
ますます自然から離れる傾向にある現代、またまたそれを
言葉で埋め合わせようとしている。
だいたい言葉自体、人間が作ってきたものだし、
なんでそんな安定してないものばっかに頼ってるの? って印象です。
小説が好きで趣味で書いているのにひどい言い方ですが、
いわゆる文学者と、例えば音楽家、美術家の顔つきっていうのが、
写真で見る限りですが、全然違っていて、どうも文学者の顔は
苦痛にゆがんでいるように見えて仕方ない。
言葉によって構成された苦痛を、また言葉で治癒させようとして、
結局堂々巡りをしている顔。正直滑稽ですよね。
すべての小説家が、って訳でもないですけど。
写真なのでそれも意図的なのかもしれませんが。
で、もっと言えば、神話は自然発生的というよりも、
権力者側から生まれたものであって、
世界大戦もラジオというプロパガンダを広範囲に伝える
メディアがなければできなかったという発想を思い出すと、
目の前のよしなしごとすべてが陰謀論的に眺められてきてしまうのですが。
ただ、少数がすべてをコントロールできるか、というのは
観念的に言っても理解しにくく、社会とは、
そんな融通のきくもんでもないだろ、とも思うのですが。
ふっと周りの人に尋ねれば、考え過ぎと言われることもありますし。
でもでも、私が考えなくても誰かが考えていて、
私を出し抜いて生存してやろう、なんてことを企んでいるやもしれません。
気が抜けませんね。
だらだらと自分の書きたいこと書いてしまいました。
ちょうど、私が考えていたことと似ていたので。
きんさんと私の考えが決定的に違うのは、
人間の状態を、秩序と無秩序、みたいに切り分けてるところかなと思いました。
私は、この切り分け方であれば、人間は常に無秩序だと思ってます。
秩序は、言葉に担保してもらってる。
ソクラテスは、言葉による記録を残すこと、書物に対して否定的だったそうです。
理由は、知識があると思い上がるから、だったそうです。
確かにこの有史以来、人間は思い上がりっぱなしだったのかもしれませんね。
とはいえ、こんな風に神話だ言葉だなんて言ってますが、
去年の日本の自殺データ見ると、基本的に無職者が健康問題で自殺してるんですよね。
http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/H23jisatsunojokyo.pdf
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3 職業別(表3関係)
「無職者」が18,074人で全体の59.0%を占めて最も多く、次いで「被雇用者・勤め人」(8,207人、26.8%)、「自営業・家族従業者」(2,689
人、8.8%)、「学生・生徒等」(1,029人、3.4%)の順となっており、この順位は前年と同じである。
4 原因・動機別状況(表4関係)
原因・動機が明らかなもののうち、その原因・動機が「健康問題」にあるものが14,621人で最も多く、次いで「経済・生活問題」(6,406人)、
「家庭問題」(4,547人)、「勤務問題」(2,689人)の順となっており、この順位は前年と同じである。
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日本のデータだけだしこれが絶対でもないんですが、
人間は単純に、金がなくて病気だと死ぬんだろうなあ、って。
人間と社会性については、この本もちょっと面白かったです。
http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E7%97%B4%E5%91%86%E8%80%81%E4%BA%BA%E3%80%8D%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%82%92%E8%A6%8B%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%8B-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%A4%A7%E4%BA%95-%E7%8E%84/dp/410610248X
〉秩序、については、筑波大学に関する鴻上しょうじの話、で
〉筑波大学は自殺が多かった、
〉学生にスリーS、スタディ、スポーツ、セックスを与える
〉環境ならば学生ははむかわなくなった、と。
〉そしてSuicide が多かった、と。
〉人工的に作られた都市には物語がない、
〉人がそこに住むための条件、歴史、
〉川があるとか肥沃であるとか
〉秩序ある都市計画で作られたところ、綺麗な新興住宅街では
〉人は自ら死んで秩序を乱そうとする、 みたいな話でした。
〉養老猛司のエントロピーの話については
〉眠ることは、無秩序を脳内で解放している。
〉だから保たれる、と。
〉眠らないことの怖さはなるほどですね。
〉眠らない街。
〉ゴリラについては、岸田秀の話、
〉人間は本能が壊れて生まれる。
〉未熟児の哺乳類で生まれる。
〉本能が壊れてない哺乳類の状態は、毛におおわれて
〉生まれたらすぐに立てる、
〉本能が壊れているので文化か宗教を作って
〉集団を維持した。
〉例えば親孝行する、という概念があって
〉子育てという多大なエネルギーを費やせる。
〉親孝行という概念、幻想がなければ子殺しがふえ
〉集団は維持できない、
〉というような説。
〉発達障害とは、発達アンバランス症候群という
〉言葉がわかりやすいと思います。
〉人の顔色察することにエネルギー使いすぎて
〉他の部分に成長エネルギーを注げない、とか。
〉子供時代にすでに大人になる、
〉ということで実は成長をさせていない部分がある、とか。
〉死ぬ、という細胞分解が始まる(無秩序)
〉と寝ること。
〉意識活動(秩序)。
〉アディクション行為には自己破壊が潜んでいて
〉自我のバランスを保っている。