6 ケイ 986
言葉、小説の中にある言葉に対する興味が感じられなかった。
自分の心の声、記憶、現在の出来事とか、それだけしか文章のバリエーションがない。
これまで文章にしようと思われなかったものとか、面白い造語とか、言葉の響きとか、そういうのを感じられる文章だったらいいなと思う。
正直なところ、小説を書きましたと言っている人の小説は、人間の感情を描きだそうとしているもの、あるいは筋書のはっきりした物語にこだわったものが多くて、うんざりしている。言葉がとらえるものって、それだけじゃないだろうに。小説をさみしいものにしないでほしい。
7 nikki 982
嫌いなところが2点、好きなところが1点あった。
嫌いなのは、
・「あたしは今、何をしてるんだろう。」と迷っている人がでてくるところ。
なんで暗い人書くのか分からない。楽しくなかったから嫌い。
・「くもり」と人間の感情を自然に託したところ。
人間の自分勝手さを感じる。すごく冒涜を感じる。いかにも人間的すぎる。冒涜するなら、もっと冒涜してやればいいのに。
好きなのは、
・「肌年齢が上昇するのを感じる。」というところ。これって「上昇気流に乗る肌。 2008 SK-II エイジ デザイン」ってキャッチコピーを思い出させてくれて、いかにも広告の嘘っぽいフレーズでいい。SK-IIとは逆の意味で使っているけど。
こういう読者の個人的記憶をつっつかれると、偶然なのだろうけど、面白いよなあと思う。このまえ、、友達から、顔の良い小説家の書いた小説しか読まない人、死後50年経った人の書いた小説しか読まない人もいるって話を聞いて、納得した覚えがあるんだけど、読書ってほんと一人の作業で楽しいなあと思う。
8 ベイビィポータブルボム 948
ト書き。台詞と説明だけ。筋書だけを楽しんだ。
けれど戦争を軸にした「指揮官の顔になる」とか「高度の差と弾幕に劣勢」とかの表現が一貫されているので趣味はあるし、完成しているなあという印象。
それにしても少女と戦争は、80年代王道の趣味だ。
ただ、これは二次元でも三次元でも表現できないだろうかというのが疑問。そしてなんにも新しさを感じないところが嫌。「守破離」で言ったら、「破」に行ってもいい頃だと思う。
「守」は師匠からの教わった型を守ること。「破」は師匠から教わった型を破って違うやり方を試してみること。「離」は型から離れることってざっくりこんなことです。
9 ラストシーンはせつなくて 533
メタ。
これも8と一緒で完成されているなあという印象で、なんにも新しさを感じないところが嫌。
10 夏の続き 1000
よく言う話だけど、日本語は主語がなくても成立するってところ、「僕も同じように笑っていた。」でやっと主語が出た。なんでみんな主語が好きじゃないんだろう。
きれいな、神経質そうな文章なんだけど、「頭が真っ白になった」とか安易なフレーズはいくつか見える。
根本的な問題として、別にこういう暗い人を文章に書く必然性を感じない。見あきたから読みたくないもの。
11 確変男になりたいよう 1000
日常は小説になるのか、というテーマを掲げている人がいて、それに対してはなんでそんなこと考えているんだろうといつも疑問に思っていた。問題の本質は日常とかそういうことではない。
小説とは、例えば「昨日」と書き表すのを、「祖母が死んだ四日後」や、「一九六五年五月八日」と書き表すことだと考えている。小説は、一般的な事象を、個人的あるいは個性的な事象に置き換え、かつそこに世界にかつてなかった新しい何かを打ち出すことだ。新しい何かとは抽象的だけど、それが具体的になったら小説になるから言えない。
この作品の文章は個性的と言うより、単純に固有名詞を引用してきているだけで小説ではない。固有名詞に対して新しい何かを打ち出しているわけではないから。
12 エゴいスタア 630
意味分からん。やる気あんのか。気持悪い。
12 エゴいスタア 630
趣味が細い。
・台詞で構成する。
・「ナウなヤンガーやんげすと」などふざけた言い回しをする。
といった趣味を感じるのだけど、それらアイディアに新しさを感じられない。
「たっはあ〜」という冒頭も趣味が悪い。お目にかかりたくない言葉だ。「粋(わく)だねえ〜。わくわくするわい」というだじゃれもひどくないか。
13 夏の魔物。 964
これは楽しそうで良かった。書いている人はとにかく楽しんで書いたんじゃないか。
悪いとこを指摘するとしたら、
・文章作法とかのルールが守られていないから外野がうるさい、
・「夏休みは計画的に」というのがきれいにまとめすぎている、
の2点。
とにかく、楽しいことしか書かれていないのが良いなあと思う。
そういう気持ちが根っこにないと、なにをやってもダメなんだろう。
14 超宇宙戦機ボルティック・ドライオン 1000
きれいな型だ。
シンプルすぎる。人数を増やすとか、時間を延長するとか、いろいろ装飾は考えられたんじゃないだろうか。
15 ふえるワカメ 1000
「考察的」「考証的」「内省的」な文学の型を感じる。
こういった型は、だいたい
「ワカメが膨張するという事実はまあいいとして、それはおいとくとして、じゃあ膨張するまえのワカメはどこにあるのか」という部分で、
単に語調を整えるだけだめに「それはおいとくとして」などが置かれている。
この型ひとつでひとつの作品を押し通すのはシンプルすぎる。
16 コント「ブランコと僕」 1000
色々と盛り込もうとしている要素を感じるのだけれど、それがまとめ上がっていない印象があった。
ただ新しいものが浮かび上がりそうな予感はある。
構造的に読むと、コントから笑いを抜いてパロディすること、登場人物が多いことによる視点の多様さ、でいじめの痛々しい様子が際立っている。
問題なのは文章の趣味なのだと思う。
「げらげらと笑い転げる」「見下すような冷ややかな視線」「小枝をひゅんひゅんしならせて」などは陳腐な表現だ。どこかで見たような微妙に凝った言い回しをするくらいなら、簡素に表したほうがいいと思う。
この作品の面白さは「視点の多用さ」ではないか。板尾はじっと見つめる執着の目だとか、「僕」は第三者的だとか、松本は見下すような視線とか。浜田の行為を複数の視点が眺めているという状況が面白い。その視点に絞って文章をまとめ上げていくといいんじゃないか。
18 午後五時四十五分の悲鳴 1000
「心臓を知悉してしまった」なんていう良いフレーズがもったいなかった。どうして陳腐なラブストーリーにしてしまったのか。
例えば「会社の昼休み、「七秒七七できたら皆でキスしたげるから、失敗したらお昼ごちそうして」と女子社員が男達をからかっている。」という部分などは、前後の脈絡からは必然性がなく、そういう意味で、予定調和的な展開。この作品の中でなければ、唐突すぎる展開だ。これが読んでいてスムーズに通るのは、「知悉」や「兎の心臓」といったイメージの推進力によるものだと思う。
このイメージの力をどうして平凡な恋愛の顛末に使用してしまったのか。結局、風変わりな恋愛小説になってしまっただけだ。
19 恋心談議 1000
型。
「まぁ、……な」が面白かった。そんな勿体つけなくても。
20 『幻獣料亭』 1000
型。
食べ物はもっとおいしそうに書けるはずだ。
今月の「ふえるワカメ」のような考証的要素を盛り込んでもよかったのではないか。
21 イゾルデ 1000
型。
なにもせずに1000文字でケータイ小説の長いストーリーを書ききったほうが面白かったんじゃないだろうか。
22 箱庭 1000
ある話と、ある話の展開と決着を同期させるのも、ひとつの型。
それよりも問題なのは文章のほう。読みにくい。
「大学の友人が自分で作ったと云う箱庭を、彼の手から渡された。」という冒頭など、同一人物が「友人」「自分」「彼」と3パターンで書かれて特に分かりにくい。
って友達が言ってました。
23 夏の鐘 987
しゃれた会話。ある物と、無関係な物を結びつけたイメージ。という型。
イメージが推進力になって勝手に話が進む。これも新しいものが浮かび上がる予感はあるんだけど、ただひたすらに気持良い方向に行ってるので、これならこれでもういいのかね。
今月の8や18についても言えることだけれど、完成度は高い。けれど、完成度が高いと感じられること自体が、既存の面白さと同じ世界にあるってことじゃないだろうか。
24 飼育の関係 1000
文章が拙い。
例えば「元は白であろう毛は汚れて薄墨色」は、「汚れて」と入れなくても「薄墨色」で汚れているということは伝わる。
「死に絶えたが如く動きの一切を失った」といった文章も既視感がある。
また「天は忌まわしいシアンデリアのようだ」など、意味が分からない。忌まわしいシャンデリアってなんだ?
25 師の教え 1000
型。
冒頭、いきなり動きが始まってしまうので文脈が分からない。
26 その信仰は崩れない 1000
型。
もうちょっとテーマに踏み込んでも良かったのではないか。私は好きではないけれども、人間心理の描写は小説好きの方々には必要とされている。なぜ仮想世界に没頭してしまうのか。
また「虫の音」を場面の切り替えに使っていて、こういうところも小説好きの方々には必要とされるんだろうと思った。
〉21 イゾルデ 1000
〉型。
〉なにもせずに1000文字でケータイ小説の長いストーリーを書ききったほうが面白かったんじゃないだろうか。
と私もおもいました。
おもしろい小説はいくらねらったって私には書けませんが、
つまらない小説だったら私にもねらって書けるような気がしていて、
おもしろい小説らしいところのまるでないつまらない小説が書けたらいいな、とおもいました。
〉13 夏の魔物。 964
〉これは楽しそうで良かった。書いている人はとにかく楽しんで書いたんじゃないか。
〉悪いとこを指摘するとしたら、
〉・文章作法とかのルールが守られていないから外野がうるさい、
〉・「夏休みは計画的に」というのがきれいにまとめすぎている、
〉の2点。
〉とにかく、楽しいことしか書かれていないのが良いなあと思う。
〉そういう気持ちが根っこにないと、なにをやってもダメなんだろう。
正直、目茶苦茶楽しいです。文才はないですが毎回楽しくやっています。小説は好きだし、考えるのも好きなので、ただ文章作法は何も分からないです、改行は多分ですが携帯で打っているので、本来改行しているところとはまた別のところで切れているということもあったりします、まぁ普通に改行が無かったり、改行が変だったりというのが殆どではありますが。
文章作法は指摘されたことは、やろうとは考えてはいますが、なにぶん今までの癖等もあるので、全て一度に直すことは出来ないと思います。
感想有難うございました。
感想どうもです。
本来の形はqbcさんの仰るとおり、サディスティックなA(浜田)、なめるように見つめるC(板尾)、吊るされたD(松本)、僕という構成で、内容も状況だけを簡素に書いたものでした。
ですが、駆り立てられるままに暴力を振るうというのは、僕の趣味を突き付け過ぎていると思い直して、qbcさん指摘の表現を選択しました。
そこにB(東野)を加え、コントの仮面を被せて、まったく別なものを想像させようと企んだわけです。
qbcさんの感じた「新しいもの」とはどういったものですか?
〉16 コント「ブランコと僕」 1000
〉色々と盛り込もうとしている要素を感じるのだけれど、それがまとめ上がっていない印象があった。
〉ただ新しいものが浮かび上がりそうな予感はある。
〉構造的に読むと、コントから笑いを抜いてパロディすること、登場人物が多いことによる視点の多様さ、でいじめの痛々しい様子が際立っている。
〉問題なのは文章の趣味なのだと思う。
〉「げらげらと笑い転げる」「見下すような冷ややかな視線」「小枝をひゅんひゅんしならせて」などは陳腐な表現だ。どこかで見たような微妙に凝った言い回しをするくらいなら、簡素に表したほうがいいと思う。
〉この作品の面白さは「視点の多用さ」ではないか。板尾はじっと見つめる執着の目だとか、「僕」は第三者的だとか、松本は見下すような視線とか。浜田の行為を複数の視点が眺めているという状況が面白い。その視点に絞って文章をまとめ上げていくといいんじゃないか。
〉qbcさんの感じた「新しいもの」とはどういったものですか?
登場人物の複数の視線に注目することで、今までにない描写ができると思いました。
〉感想どうもです。
〉
〉本来の形はqbcさんの仰るとおり、サディスティックなA(浜田)、なめるように見つめるC(板尾)、吊るされたD(松本)、僕という構成で、内容も状況だけを簡素に書いたものでした。
〉ですが、駆り立てられるままに暴力を振るうというのは、僕の趣味を突き付け過ぎていると思い直して、qbcさん指摘の表現を選択しました。
〉そこにB(東野)を加え、コントの仮面を被せて、まったく別なものを想像させようと企んだわけです。
〉
〉qbcさんの感じた「新しいもの」とはどういったものですか?
〉
〉
〉〉16 コント「ブランコと僕」 1000
〉〉色々と盛り込もうとしている要素を感じるのだけれど、それがまとめ上がっていない印象があった。
〉〉ただ新しいものが浮かび上がりそうな予感はある。
〉〉構造的に読むと、コントから笑いを抜いてパロディすること、登場人物が多いことによる視点の多様さ、でいじめの痛々しい様子が際立っている。
〉〉問題なのは文章の趣味なのだと思う。
〉〉「げらげらと笑い転げる」「見下すような冷ややかな視線」「小枝をひゅんひゅんしならせて」などは陳腐な表現だ。どこかで見たような微妙に凝った言い回しをするくらいなら、簡素に表したほうがいいと思う。
〉〉この作品の面白さは「視点の多用さ」ではないか。板尾はじっと見つめる執着の目だとか、「僕」は第三者的だとか、松本は見下すような視線とか。浜田の行為を複数の視点が眺めているという状況が面白い。その視点に絞って文章をまとめ上げていくといいんじゃないか。
今更すぎで申し訳ないのですが、qbcさん、悪口ありがとうございます。
書き終わった直後「ネタ作品なのに装飾少ないなぁ」というのは私の中でもありましたが、いかんせん私の技量では上手く解消できませんでした。
こうやって指摘していただけると、「読者側は私以上にそれを鋭く感じ取っているんだなぁ」ということに気づけますね。実にありがたいです。
以下独り言。
明日から仮面ライダーW放送開始です。
〉14 超宇宙戦機ボルティック・ドライオン 1000
〉きれいな型だ。
〉シンプルすぎる。人数を増やすとか、時間を延長するとか、いろいろ装飾は考えられたんじゃないだろうか。
〉
「今までにない」かどうかは自信がありませんが、
・謎の物体Xを見つめる人物AとBがいるとして、人物の説明と、二人が物体から受ける印象を書くことで物体Xを描写する
というような書き方を想像しました。
〉登場人物の複数の視線に注目することで、今までにない描写ができると思いました。