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本文: 〉1傘を取りに来ただけだから 〉構成がうまかった。それから台形の発見。 〉日本語の醍醐味は、主語から述語までの距離がえんえんと長いところで、そこに助詞副詞がまざりあい、なんだか煙に巻かれているうちに、ああそうだね分かるよ、と何となく納得させられてしまう、手品めいたところだと思う。この作品にも、頭とお尻のひどい男の間に、えんえんと描写が積み重ねられる。で、ああひどい男なのねと。 〉けど2読してみると、この女こそきっとひどい女なんだろうなとも思えたり。 〉ちょっとくどさがなさすぎるか。それから台形の発見。 〉 〉2真実とは 〉「真実とは、周りの人間によって作られたもの」の発見。 〉宗教は民衆のアヘンなんて言うように、真実は甘いものだよなあと思うけれど、ちょっとシンプルに書きすぎたかなあという印象でした。 〉 〉3ここがどこか分からない 〉なんかもっと不思議なことが起きるのかな、と思ったらそのまま終わってしまった。 〉ふつうに迷子だったのね。 〉 〉4いいひと 〉説話みたいな。これもシンプルだったなあ。 〉 〉5ヒーロー 〉さすがにそんなにヒーローもばかじゃないし、気づくだろう。 〉 〉6生まれ変わり 〉言葉遊びなんだけど、「震えているのは脚ではない。強固な意志は胸に突き刺さったまま、僕の心を奮わせている。」のあたりが力強くて良かった。 〉 〉 〉7冬の日、昼休み 〉さみしい話だなあ。 〉 〉8療養所 〉なんだかトピックだけ満載で未消化な感じ。絞って書けばおもしろそうなんだけど。 〉 〉9合コン 〉ふつうだった。 〉 〉10ときどき雨 〉これも説話みたいだな。いつの間にか始まっててお説教が終わっていきなり終わる。 〉 〉11紅い花 〉嫌な悪夢。こういう大それた発想の話を書く時に描写がはしゃいでしまうと結構が崩れるけど、抑制された文体なので読み切れる。「明日、あらためて病院に行って、手術は断ることにする。」というラストが几帳面に感じられてより一層不気味。 〉 〉12銀座・仁坐・賀坐 〉エッセイ。社用族いいなあ。 〉 〉13俺たちがスーパーファミコンだ 〉俺たちがスーパーファミコンだ! 〉 〉14人間 〉なんだかさびしげな話。えぐみが薄かったように思う。もっとえぐみがあったらなと思いました。 〉 〉15川辺の香り 〉「抑毛ピル」の発見! 〉だけど、最後になんで泳いじゃうのかなと思った。変にファンタジーみたいになってしまった。「抑毛ピル」という小道具の上に、さらに1月に川で泳ぐ「鮎香」という不思議少女を入れるから、ちょっと焦点がぼけてしまった感じ。 〉ちん毛が生えたくらいのことでわざわざ「抑毛ピル」を作っちゃう面白さが良かったのに。「一月の川の水に濡れた毛のエロス」は、「鮎香」というキャラクターを立てなくても実現できたのでは? と。
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