7 宝の部屋 鳩 1000
私もよく昔、思い悩んでいたのだけれども、
例えば私はわりと「ひきこもり」がちだったし、
成人してからも無職で「ニート」っぽい時期も
あったし、実際いまでも「パラサイトシングル」
だし給料は「下流」だし、そういう社会の中に
ある自分を小説に描こうとして、でも、うまい
こと書けなかった時期がありました。
だいたいそういうことを書きたいのなら、
心理学や社会学の論文を書けば良いと、
いまでは思います。というか、小説で
読むよりも論文で読んだ方が面白い。
なぜ論文が面白いかと言えば、客観的だからで
あって、マスコミ的なラベルを貼られた人物を
分かりやすく解説してくれ、つまり好奇心を
満たしてくれるからだ。
もちろん小説だって客観的に書けるのだけれども、
論文には常に客観性が求められるゆえに、
面白くなる可能性が高い。
小説は制約を少なくしたものであるがゆえに、
主観にも客観にもブレるわけで、そのあたりの
制御が困難だ。
ということで、この小説は、どうも主観的に
寄っている印象で、それは具体性が低いから
そう感じるのだけれども、もっと客観性が
入ってくれれば、好奇心が満たされたのでは
ないのかな、と思う。
こういう世界観は、やっぱりとても興味があるし、
面白いので、もっと、どんどん、暴いていって
もらいたいと思いました。