#11 パッキン 壱倉柊
けっこうおもしろかったです。
できごとらしいできごとは起こらないし、
良い場面や文は僕は特になかったのですが、
最後にパッキンの裏の蜘蛛から、姉のことを
思い出すというのはなんか、きれいにつながっている
からなのか、わからないですけどなんか良かったです。
主人公はもしかしたら泣いてるのかも、ということなんでしょうか。
こっちに与えられる情報が良い感じに制限されて
いるのがうまいと思いました。
けっこうおもしろかったです。
#12 三軒先の如月さん 白雪
オチはびっくりしました。
オチを読んでからもう一度読み返したのですが、
２回目で良いと思えた部分がいくつかありました。
でも、１回目は別に普通でした。
オチまでにかなり計算されている匂いを
僕はまるで犬のように嗅ぎ取ったので、
どうせならもっと計算して、１回目の読みがおもしろくなるような
工夫をなにかやってほしかったと思います。
#13 バドミントン 灰人
"答える口は影を持たない。"が良いと思いました。
影がなんなのか特に予想せずに読んでいたのですが、
この一言で、話がわからなくても納得しました。
なにかを納得しました。
いくつか疑問が残ったまま終わりますが、
最後の一言で、もどかしい感じはなくなりました。
ざくろの赤が色のアクセントになっているところも
よかったです。
でも、この作品全体としてはちょっと物足りなかったです。
バドミントンの描写に魅力を感じられなかったからかもしれません。
あと、”やれやれ”というのは、僕はちょっとどうかな、と思いました。
目が肥えている人が見たら、「またかよ。」と思うんじゃないでしょうか。
けっこう良いけど、小説としては物足りなくて、”すごく良い”というところまで
はいかない、という感じです。
#14 暑寒 川野佑己
最初の仮説が僕はあまり興味を持てませんでした。
内容はそんなに難しくないのかもしれませんが、
正直、理解するのが難しかったです。
”すべての地名は日本語に含まれる。但し考慮すべきは、日本語とは何かという点だろうか。”
というくだりが特にわかりにくくて、理解できませんでした。
ところどころ違和感があって、素直に書いていない感じがしました。
”他言語との行き来があるように思える”という部分ですが、
行き来があるのはそりゃそうだろうに、
”思える”と、予想しているのはなんかへんだと思いました。
豆知識を知る楽しみ以上のおもしろさは僕は感じませんでした。
#15 ガラスの瞳 fengshuang
”額にキスをした彼女”に、”額にキスをした彼女”以上の説明が施されないところが
神秘的っていうか良かったです。でもそこはたまたまそうなっちゃったのかな、とも思います。
”私”が何者かっていうことを途中まで秘密にするのは、あまり意味を感じませんでした。
ラストは良いセリフだと思いますが、あんまりキマってないような気がしました。
一緒に遊んでいるときの情景はきれいですが、”私”と家族が関係するシーンが、
きれいなだけで、それ以上の解釈のしようがなかったので、
ラストが効いてこない感じでした。
最初のシーンが良かったです。全体的にはそんなでもなかったです。
#16 花の卵 朝野十字
サトシは花の卵がキーアイテムだということを知らない方が、
スリルが高まったと思います。なんかまずそれが一番に
思いました。
サトシはやられほうだいで見所がないので、
サトシのキャラもよくわからないし、
サトシの歯の食いしばりで終わられてもイマイチぴんときませんでした。
カッターナイフで一本ずつこらしめていく、という情景は良いと思いました。
それは印象に残りました。
高田先生と母親とで２人、なりすまし悪キャラがいるから、
どっちかずつ順番に、時間差で本性を表してくれたほうが、
確実に僕はドギマギしたと思います。
５回質問する、というのもかなりドギマギものなので、
もっとひっぱってほしかったです。
状況はおもしろかったけど、演出をもっとちょうだいという感じでした。
#17 彼と私の話法 わたなべ かおる
僕はちょっとうまく飲め込めませんでした。
愛ってそういうことなんすか……？
ちょっと僕は苦手な雰囲気の作品でした。
批判してるわけじゃないです。
#18 美術館でのすごしかた qbc
”俺”と”女”の距離が縮まらない感じは伝わってきました。
僕がよく知らない世界だからか、雰囲気づくりが
あんまり完成されてる気がしませんでした。
なんかそのまんますぎると思ってしまいました。
僕の好みじゃないだけかもしれません。
”露西亜人”と表記する良さがちょっとわからないです。
#19 水晶振動子 るるるぶ☆どっぐちゃん
短編は、８５％以上るるるぶ☆どっぐちゃんさんが
優勝していて良いと思うんですが、なんで６回しか
優勝してないのか全く理解できません。
助けてください。
実験がはじまるまでがめっちゃスムーズだと思いました。
普通はもっと余計なこと書こうとしちゃうと思います。
”みんな”っていうのが誰なのか書かないとことか良いです。
出だしの部分はなんだこれ、と思いましたが、
”「有難うウィキさん」”とか言って急にはずしてきてややウケました。
そこから「実験！ 実験！」までの流れが僕は一番おもしろかったです。
”実験しよう！ しようよみんな！”という言い方は、
パクらせてくれるなら金を払えます。
”好きなバンドはヤーヤーヤーズ”というのもウケました。
この作品はギャグとして読むのが一番おもしろいと思います。
というかギャグです。
あたしの身につけているアイテムの羅列がうまいと思いました。
一番好きな作品です。
#20 ドライブ たけやん
良い話だと思いました。
でもちょっとだけ、ひまわりを人間だと錯覚するための仕掛けが
足りないような気がしました。月は明るいし、
だって最初からひまわり直視してるもん。
喋りで誰かに聞かせたらつっこまれるような気がします。
僕がひまわり畑をうまく想像できていないからなんでしょうか。
”ひまわり畑だったんだ。”というセリフは良かったです。
これだけでなんかすごい良い話感がアップしました。
この言葉を思いついてから逆算して書いて行ったのでは？ と、
思ってしまうくらい良いです。たぶん違うと思います。
欲を出さずに必要なとこだけ語っているのがなんか良いのかもしれません。