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本文: 〉 〉懲りずに全感想を書いてみます。全体的な感想として、参加者(特に新規の方)が増えて嬉しいというのが一点、もう一点はたまたまでしょうが、全体に「物語の解釈は読者にお任せしますよ」的な作品が多かったように感じました。それ自体が悪いことではなく、わたしもそういう作品はむしろ好物なのですが、こうも多いとちょっと感想を書くのも一苦労だなという印象でした。以下、例によってわたしの完全な偏見と独断による感想ですので、あくまで参考としてご覧頂ければ幸いです。 〉 〉 〉1.答. 〉初っ端から問題作。 〉日置式ってなんだ?夕日ってなんのモチーフだ?そもそも何を巻き取る機械なんだ?読者は決して深く考えてはならない。読者の数だけ答えがある。そういう作品だし、それでよいのだと思う。あと離職率0%の会社って、言葉面はいい会社っぽいけど、なんか不気味な恐ろしさがあるなぁ。それって単に辞められず監禁されているだけでは……。 〉あと蛇足にはなるが、本作は同氏の第百八十九期作『問.』と非常に似たテーマを取り扱っている。お時間のある方はそちらと併せて読むと、より本作を楽しめるかもしれない。 〉 〉2.小山さん 〉主人公が小山さんについての云々をひたすら妄想するだけのストーリーだが、妄想が爆発している分だけ発想が伸び伸びとしているというか、何でもありな感じがして楽しめた。停止したエレベーターの中というシチュエーションも舞台装置としてなかなか上手く機能していたと思う。「なるほど小山さんはあたしの妄想の中では立派な彼氏なのだ。」という一文は主人公の勝手な思い込みでしかないのだが、妙な説得力があって可笑しかった。 〉ただ、最後の一文については作者なりの含みを持たせたものだと推測されるのだが、わたしの脳味噌では理解が及ばず、どう受け取ったらよいか分からなかった。 〉 〉3.終わりのある恋 〉マッチングアプリなるものを利用したことがないので、こういう話がリアルなのか否かは判断できなかった。 〉「“こどもが売られてるのに気づかないバカ親”」という一文はなにやら色々深読みできそうで、ぞっとした気分になったが、惜しいことに作者が最終的に何を言いたかったのかは謎だった。 〉 〉4.地球平面説 〉細かい指摘で申し訳ないが、公園なのに床という描写が出てきたりして状況がいまいち分からなかった。 〉地球平面説を通じて彼女の狂気を徐々に明らかにしていく過程はとても良いと思った。が、それならば「彼女は(略)確かに狂い始めている(略)」とストレートに描いてしまうのはちょっと勿体なく感じた。 〉しかし地球平面説という妄想によって、彼女を神格化していた主人公の目が覚める、等身大の彼女を受け入れるという描写は良いなと思った。天動説が地動説によって概念を丸ごとひっくり返されるみたいなダイナミックさがあって面白い。 〉 〉5. 割れ鍋に綴じ蓋 〉前回セロさんから助言を頂いたおかげで色々楽しめるようになった作品。一貫して男女のあれこれを描き続ける作者の姿勢はいさぎよく、執念すら感じる。本来はこの作品単体で評価すべきなのだろうけど、正直わたしには出来そうにないので感想は割愛する。 〉 〉6.図書館流刑 〉自作につき感想割愛。 〉みなさんは黒髪ロングの眼鏡っ子はお好きですか?わたしは大好きです。というお話(たぶん違うが) 〉 〉7. 名探偵朝野十字の事件簿:美貌の報酬 〉最初の方にストレオセットという小道具が登場したので、ははんさてはダビング録音を使った時間差トリックものだなと決めつけて読んだ。そしてものの見事に騙され、自分の推理力のなさを痛感した。こういうロジック詰めのミステリーは感動こそ薄いものの、読み物としてはよく出来ているなと感じた。 〉 〉8. Rain on a roof 〉雰囲気を味わうための作品なんだろうなと思った。挿入部分を除くと描写されているものは極めて少なく、傘をさす男の心境についても一切言及はない。ただ淡々と雨が傘を叩く音だけが響き、そこに英文の羅列が静かに重なっていく。映画のワンシーンを切り取ったような作品だなと思った。 〉途中やたら長い英文が出てくるが、作者にとって別に内容はなんでもよかったのだと思う。全く別の英文でも物語は成立するはず。わりと好きな世界観なので楽しく読めた。
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