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1 rocketttt

 語り手と「水城」がなにやら一人の人間みたいです。
 「まあ、あいつが明かりを持ってきてくれるだろうけど。」がかっこいいと思いました。

2 お支払いはカードで。

 「もう一回行くのは面倒だから、あれもこれも全部買ってあげよう。」
 ここが、語り手が陥っている状態を端的にあらわしていていいなと思います。

3 憩いのひととき

 前期の『パリの紅茶』と対になっているみたいに思いました。

4 真夜中の待ち合わせ

 語り手の気持ちや葛藤が正直にあらわれていて楽しく読みました。
 わたなべかおるさんの『彼と私の話法』に出てきた女性を思い出しました。

5 仰ぐ空と花言葉

 「アングレカム」なんていう歌があったとして、そのPVを見ているような気分になりました。
 それで赤いツバキと白いアングレカムが美しく映っている、コンピュータ処理で生きているみたいに動く、なんてわけです。

6 君の瞳

 これが、中学受験を控えた小学六年生の男の子が受験勉強の合間なんかに書き殴った小説を転載したものだと考えてみるとなんだかどきどきしますね。

7 拳銃の神様

 使うという発想のない拳銃の神様が、こうやって拳銃を使うことをためらう人の前にだけ現れてくれればいいですね。

8 関係性の科学

 私もこういうのをよく書いていますが、まずありきたりな事しか出てきません。
 次回はこの話を踏まえた、その先の話を読ませてもらえるのでしょうか。
 私はそういうふうに書いております。ぜんぜん進みませんけど。

9 The Little House

 「台詞」が蜷川幸雄調で聞こえてきました。
 そうするともっと舞台美術で表現するという事も出来そうですね。
 始めと終わりの部分を入れ替えてみるとほんの少しわかりやすくなった気がしました。

10 二人

 このあやふやな終わり方からすると、語り手はきっと何度も何度もここに書かれている事を考えてはその時その時をしのいでいるのでしょうね。

11 剥がれてしまったので

 人間社会にこっそり進出している妖怪変化をこっそり治療している医者が主人公の話、その導入部という感じでした。

12 数学と生活

 この連作をまったく追っかけていないのでいつも戸惑います。

13 無色

 紅色のカーテンが「僕」の部屋ですごく浮いていそう。

14 木蓮を踏む

 テレビドラマのようでおもしろかったです。

16 頃合

 全然違いますが『間宮兄弟』という映画がありましたね(小説は未読)。

17 沼蝦

 安定感。

18 擬装☆少女 千字一時物語19

 相変わらず語り手の友人は寛容な人ですよね。美少年だから?
 私も今年の初詣は一月四日に行きました。人が結構いて、甘酒を飲みました。

19 マスターよしえ

 ハンニャさんの野暮な描写にはわくわくさせられます。
 荒唐無稽な要素をまったくなくしたものを読んでみたいなと思います。


 以下は癖になってしまった悪戯です。



 口癖になってしまった。
 ああ……素晴らしい。
 どうして今まで気がつかなかったんだろう。
 これさえあればなんだって買える。
 世の中、金だ。
「お支払いは?」
「カードで」
 仕事も辞めて遊んで暮らすことにした。

 起床。
 今日もリムジンがお出迎えだ。
 そういえばママが宝石を欲しがってたな。プレゼントしてやるか。もちろん最高級品を。
 それにしても貧乏人はかわいそうだしバカだ。なんでカードを作らないんだろう。
 それにひきかえ俺は天才だ。冴えてる。
 リムジンが宝石店の前に停まった。もう一回来るのは面倒だからあれもこれもぜんぶ買っておこう。
 えらそうな店員が頭をさげてきた。
 店員が口を開いた。
「お客様のカードは使用できないようですが……」
 何言ってるんだ? でも俺にはまだまだたくさんカードがある。
「すべて使えません。お客様、使い過ぎではないですか? 残高がかなり不足しているようです」
 俺は怒った。貧乏人が何様のつもりだろう。俺に買えないものがある?
 店員の首を絞めた。白目をむいて動かなくなった。
 ママへの宝石をバッグにしまうと、俺は店を出た。

 そういえば元妻へのプレゼントは届いているのだろうか。まったく連絡が来ない。
 一緒に暮らしていた時もそうだったが、本当に失礼な女だ。
 あれも欲しいこれも欲しいと文句ばかり垂れていたくせに、いざプレゼントしてやれば礼のひとつもない。
 この俺の愛情が理解できないんだろう。あの女はそういう浅はかなところがあるんだ。
 まあいい。プレゼントは贈り続けてやろう。そのうちあのバカ女でも気がつくだろう。

 家に帰って高いワインを飲む。
 ひとりじゃつまらないから女でも呼ぼうか。
 と思ったら突然知らない男が入ってきた。
 拳銃を突きつけて凄んできた。
 なんだ、強盗か。
「金をだせ。死にたいか」
 俺は落ち着いてカードを差し出した。
「使えるか! 俺はカードで破産したんだ」
「カードで破産? するわけないだろ」
「したんだよ! 金持ちにはわからないだろ! 金だせ!」
「金なんかない。カードで」
「ふざけるな!」
 男は引き金を引いた。
 なんで?



 目には見えないけど電波は飛んでる。なのにチャンネルが合わないのはなんでか。受信機の故障? でもちゃんと動いてる受信機を見たことないから比べられない。電波が来てないの? 壁が厚いとか。でも部屋から出たことないから確かめられないし。

 ここに入る時に部屋のドアに「関係性の科学」って書かれたプレートが貼ってあったな。だからここは「関係性の科学」を考えたり実験したりするところなんだろう。まあわからないしする事もないのでチャンネルを合わせよう。この部屋にはとにかくなんもないからな。

 受信機から出てるノイズをずっと聞いてる。単調で何の意味もない感じのノイズ。こんなんでも外の情報だ。本当はもっとクリアな音なんだろうなと思ったら、このノイズだと物足りなくなってくるよな。

 電波が飛んでないのかも。だったらチャンネルが合うはずないし。ひょっとしてこれでチャンネルが合ってるとか。これかー。なんにもないなー。この部屋もそんな感じだ。スイッチ切ったら消えたりして。

 おれを見ている誰かがいるような気がする。誰かな。たまに受信機に風景みたいなものが映ってそこに人影みたいなのがひとつ見えることがある。誰かな。おれかな。ま、する事ないからチャンネル合わせは続けるけど。それが「関係性の科学」なのかな。

17

 ヤマトヌマエビが全滅し、水槽の底にころりと転がっている様が薄気味悪く、集めて新聞紙にくるみ手を合わせておいた。埋めるべきかと思ったが、厳冬期だから土に還らぬだろうと決めつけ、火曜のごみの日に清掃車の中へ放り込んだ。死なそうとしたわけでなし、手を合わせておけば許されるだろう。何度か脱皮を遂げて大きくなれば唐揚げにして食べてもよかったのだが、勝手に死んでしまった。この突然死は新月の頃に起き易い脱皮不全であるらしい。そういえば全滅したのは新月の夜だった。
 「正月」の「新月」とくれば「正に新たな月」というわけで縁起がよさそうだが、実際は満月の対にあたる。どうして月明かりのない夜に脱皮なんかするのか私にはわからないが、彼らが六十センチ水槽の水底で潮汐力の変動を察知しているらしいことはわかる。サカナは浮き袋を持つから浮揚するが、彼らは手脚の動きを止めたら(どれが手でどれが脚?)底に沈んでしまうし、底物だなんて呼ばれているし、なんだか浮揚する飛行船とそれを見上げる人間という絵が浮かんで来てしまう。手脚を動かしても私にはちっとも空は飛べないが(ここから先は金子みすゞへどうぞ)、潮汐に無自覚に影響されているという点では私もヤマトヌマエビも一緒だ。
 新月の夜は犯罪率が高いという統計は、直接私の犯罪には繋がらない。だが、たとえば脱皮も産卵もしない私が興奮のあまり自殺や他殺を企んでもそれはおかしくない。あるいは川に飛び込んでサカナの群れに混ざろうとしたところで泳げないからどんどん沈んでいく。本当のことを言えば(小説でこんなこと書いていいのか?)、統計云々を知ってる時点で潮汐に無自覚じゃないし、だからヤマトヌマエビはヤマトヌマエビで、私は私だ。月や太陽の運動とか潮汐の変動で私が何かを始めたりはしないし、関わった犯罪はヤマトヌマエビを死なせたくらいだし、それも過失致死で殺害じゃあない。ただ、死んでからも底にいて底物です、っていうのもどうなんだろう、ということで。浮上しないとそれこそ浮かばれない。
 水槽を眺めながら不慣れな一人称で小説なんか書いてると気が滅入ります。ヤマトヌマエビと一緒に気分も沈む。

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