短編から遠く離れているうちにいろいろな騒ぎがあったようですが、あまり空気を読まずに書いてみます。
1 自動筆記 秋好夕霧
本当に自動筆記したのではないかなと思います。手の動くままに書いたという。
そういう試みをしてみたい気持ちは分からんでもないですが、読んでて楽しいものではありませんでした。
2 春に、長い髪の彼女を思う イス川
僕もたまに駄文でハルキ風文体を試みてはわりと苦労するのですが、そう考えるとここまでハルキ臭を出せるのはすごいことなんじゃないかという気もします。が、狙ってやらないと価値がない。
3 手 K
人間べつに手だけで生きているわけではないだろう、と思ってしまうのは、なぜこの人たちにとって手がそれほど重要な意味を持つのか、が分からないからです。そこは書いてほしかったなあ。
4 The Blue Marble さいたま わたる
小説にオチが必要だとはぜんぜん思っていないし、オチのためだけにそれまでの文章が存在するようなショートショートはあんまり好きじゃなかったりもする。それでも、少なくとも落とそうという気配を見せるのであれば、ちゃんと落としてほしいとは思います。
5 サクラ・テレパス 八海宵一
ああ、なんてストレート。そんなん勝手にやっててください、と思ってしまうのは、別に僕がひねくれているからではないと信じます。
6 ケチャ わら
外国映画を見ていると誰が誰やら顔の区別がつかなくなってしまうことがありますが、馴染みのない名前ばかりで誰が誰やらいささか混乱しました。ニョマンにワヤンと呼ばれてプトゥと答えるところがいちばん分かりにくかったかなあ。
好きとまでは言いませんが嫌いでもありません。好感度は高いと思います。
7 血流 笹帽子
冒頭は自分の血を吸ってたということでしょうか。最後は女子高生も吸血鬼だったということでしょうか。ちょっと分かりにくかったです。
しかし吸血鬼の口ってあんま血を吸いやすそうじゃないですよね。だらだらこぼれそう。管を突き刺すようなスタイルのほうが効率がいいです。
8 あの娘になりたい 藤袴
ちゃんと落ちてます。二度目に読んだときもオチを忘れていてちゃんと落とされました。
惜しむらくは(・・・)(・・・。)が顔文字に見えてしまうことでしょうか。
9 水面下に生きる 柊葉一
「あそこから天使がっ降ってくる」はいけません。内容は悪くないと思いますが、「がっ」だけで頭がいっぱいになってしまう。
10 擬装☆少女 千字一時物語28 黒田皐月
なぜ「それならば、今すぐこの日傘を開くのが道理」なのかが分からない。じっくり読んでもやっぱり分からない。その後の意表を突く展開でこのことも腑に落ちたような気にもなったけど、いやいややっぱり分からない。
生理的にあまり好きにはなれないものの、内容はしっかりしてると思います。けど、不安定な文章がそれを邪魔する。
11 綻び bear's Son
どうしても時代劇の癖が抜けない俳優ががんばって現代劇に出てみました、とでもいうような違和感がありました。なんでこんなに仰々しくなるのか、なんで母親の声がロボットみたいなのか。