いつも多くの作品に感想をつけておられる労力に敬意を表して一言。
演劇を使う発想はよいと思う。しかし、題材が活きていないと感じた。
単なる演劇ではなく部活動というところに青さがあるが、その青さも中途半端。
肝心の(素材であろう)女装についても、語り手の意識がはっきりしない。女装についてどこまで意識的なのかがわからない。
どこか一点でも、つきつめたところがないと、面白く読めないと思った。或いは語り手自身の意識というか、立ち位置というか。黒田氏の作品では、それが見えにくいことが多いような気がする。
女装にこだわって作品を書き続けるなら、いろいろな意識段階にある語り手、登場人物を書き分けられなければ、読者をひきつけることはできないだろう。私は黒田作品に魅力を感じることができない。
第二ブロック(というのか中間部)は意味がよくわからなかった。
「真逆」を文章で読むと違和感を感じるのは年の所為か。
何か全体に違和感を感じるのは、冒頭部だけ三人称っぽいからだろう。少ない字数なので、語りは統一してもよいのではないか。散漫な印象を与えてしまう。
部長の批評眼は見事だった。