仮掲示板

第200期 全感想

 ご無沙汰しております。八海です。久しぶりに全感想書きました。
 相変わらず、誤読乱読、誤字脱字あると思いますが、そこのところは、どうか寛大な心でご対応お願いします(★はお気に入りです)。

#1 200(八海宵一)
 自作。短編200期を祝して作りました。北村様、おめでとうございます! そして、貴重な発表の場を運営していただき、ありがとうございます!
「短編」がギネス記録だったら、すいません。まぎらわしい作品を投稿してしまいました。一応、静岡の小学校の大縄跳びを参考にしていますが、忠実ではありません。どんな飛び方でギネスに挑んだかは、みなさんのご想像にお任せします。

#2 鮎(わらさん)
 鮎の塩焼きが食べたくなりました。露店で串に刺して焼いてるやつ。皮パリパリのうまいやつ。いいですよね、鮎。ところでお母さんはテレパシー能力の持ち主ですか? 肩に手を置くタイミングから察するにそんな気がしてなりません。

#3 My name is Matt Nelson. I'm from Atlanta, Georgia, USA(テックスローさん)
 いい意味でぶっとんでる作品だなぁと思いました。タイトルからUSAが舞台なのかと思いきや、初詣に行っているので、「あ、日本なんだ」と思ったり、日本なのに日本語が会話に登場しなかったりするところが、おもしろかったです。ただ、賽銭を投げてるのに、拝殿に向き直る描写はしっくりこなかったです。
個人的に、賽銭箱に1ドル札を投げ入れるのが、強烈で印象的でした。

#4 サトゥルヌス(三浦さん)
 川野さんの感想にもありましたが、作品を読んで、はじめて「サトゥルヌス」という言葉を調べました。なるほどです。加えて「ひさぐ(鬻ぐ)」という言葉も調べました。勉強になります。全体的に密度の濃い感じで話が進んでいくので、一番いいところで「終わってしまったー」というのが感想です。父を殺した理由が気になります。

#5 地平線の向こうでとびきり甘いケーキを焼こう(彼岸堂さん)★
 心地よいリズム感のある作品でした。暗めの現実をドライに描きながら、ぶっとんだ現実へと転調していくのが心地よかったです(TVでなにが報道されてたのか、気になります……なんだろう)。
 現実と非現実、そして現実逃避の配分が素敵です。

#6 そこまでドライブ(ウワノソラさん)
 自然な感じで読みやすかったです。日常風景の断片をきれいに切り取った感じがしました。ただ、同時に断片なので、その状況がどういう状況なのか、もう少し知りたいと思いました。「私」が誰なのか。どこへ行くのか、とか。でも、あえて書かずに余韻を残すのもいいなと思いました。

#7 沼(志菩龍彦さん)★
 おもしろかったです。淡々と書くことで沼の異様さ、存在感が一層引き立っている気がしました。なんだか、考えさせられる感じの展開好きです。冒頭の文章で、昔、山中に転がっていた異様なタケノコのことを思い出しました(強烈に気味の悪いタケノコが足元に転がっていたのです)。それはさておき、なるほど、そういう方向で落としますか。いいですね。

#8 だから一緒に(わがまま娘さん)
 いろいろと揺れ動く人間心理がくすぐったかったです。若いころあるある。そういえば、昔、FFは「Aボタンを押すだけのゲーム」みたいなこと言われてたなぁと、思い出しました。プレイしているのではなく、させられているんだという話。
 脱線しましたが、一つだけ気になった点をあげると、いくら操作が苦手でも、RPGはできるんじゃないかなぁと思いました。個人的にはアクションや格ゲーなら納得です。

#9 海から海へ(川野さん)★
 漂泊にあこがれ、遠くへと思いを巡らすも、最後は子どもたちの待つ家に帰るラストが大人な感じでいいですね。気持ちよさそうな遠浅の風景から、遠くアメリカ西海岸へと飛び、ホンビノス貝になり、人になり、悩みを吐露し、我に返る。千字のなかに凝縮されていて驚きです。こういう作品、いいなぁ。

#10 迷いネコみるきー(euRekaさん)
 みるきーかわいそう。その一言に尽きる作品でした。なんというか独特の世界観なので、正直、よくわからないところが多かったです。みるきーについても謎が多いし、私についても謎が多いので、読んだ後も「?」が残りました。切り取っているシーンとしては、かなりインパクトがあるので、おもしろいところなのでしょうが、かえって消化不良な感じがしました。勿体ないと思います。

#11 C'est tout(とむOKさん)
 わー、おひさしぶりです。とむOKさんだ。「荒物屋の怪」大好きです。閑話休題。
 タイトルのフランス語、カッコいいです。読めませんでした。。。閑話休題。
 それぞれが、それぞれに濃密な時間を送っているのが伝わってくる作品。「夢のような、好き」の表現、素敵です。そうですよね、そうですよね。
「頑な背中に、指先が触れた」……はじまりの予感を残して終わるのが、またいいですね。

#12 急いでる(ハギワラシンジさん)
 よくある風景のような、そうでないような、不思議な作品でした。残念ながら意味はよくわからなかったです。なぜ会話が噛み合わないのか、それがわかれば、おもしろいのだろうなと思いました。もう少し書いてほしい。

#13 スキップ、スキップ(たなかなつみさん)
 なんだか神話の冒頭を読んでいるような感じでした。おまえ(もの)と影と、そして光の関係が、なんだか世界のはじまりを暗示しているような、そうでないような、そんな感じです。そうした状況をスキップに重ねる視点は、独特で素敵だなと思いました。真似できないです。

#14 君の記憶を見せて(塩むすびさん)
 犬がかわいそう。蹴るぐらいに愛情ないのに、結局、祖母が現れるのではなく、その犬が現れるのか、と思いました。同時に、祖母への思いは犬よりも軽いものであることが証明されたような気がします。「星屑が墓と首輪に降り注ぎ、そこから女の子が生えてきた」という一文は、かなり強烈でした。墓(と首輪)から生えてくる……なんか凄いです。
あとは、犬の名前が出てこないのも、少し違和感がありました。仲いいのかわるいのか、愛情あるのかないのか、よくわかりませんでした。

#15 唾とばしちゅる(qbcさん)
 近い未来にありそうだなと思うショート・ショートでした。実際、カップリングツアーを始めている自治体もありますし、その延長で、気づいたら始めてそうです。でも、そう考えると、お見合いも似たようなものだなと思いました。世話好きおばちゃんの勘ピューター(死語)……いえ、なんでもありません。

#16 そこに怪物はいる(世論以明日文句さん)
 令和小説だ! そして、時代に警鐘をならす風刺小説だ。確かに、こういう作品が世に出せる間は安泰ですが、出せなくなる、出しづらくなくと危険ですね。出さないほうが無難とか考え出すと、だんだん出しづらくなりますし、ついつい忖度しちゃうし……。
ちなみに、「脳をNoと言わせずに乗っ盗った」の部分だけラップっぽくて、少し浮いているような気がしました。筆がのっていますね。わかります、わかりますよ。

 以上、16作品の感想でした。
 相変わらず、自作をのぞいて、密度の高い作品が多いなと感じました。
長文、大変失礼いたしました。(八海宵一)

感想御礼

 なつかしい方々に感想をいただいて、にやにやしながら読んでいました。なんだか同窓会のようです。

200 八海宵一さん

 これが今期のトップだったのが嬉しいですね。たとえお約束だとしても、こういうモニュメント的作品があっていいと思う短編200期。古い古い大縄跳びの記憶を掘り起こしてみると、50回を超えると「すげえ」、100回を超えると「超すげえ」と思ったような気がします。200回、超々すげえ。
 八海さんお久しぶりです。私は何といっても「冬が溶けるとき」がツボで、もう、今でも忘れられません。

 "C'est tout"
 読み方は「セ・トゥ」、意味は"That's all"「以上、それだけ」
 まあ、それだけです。


海から海へ 川野さん

 川野さんの脳内(?)散歩が好きで好きで。いつもは川ぞいの散歩だけれど、今度は海を渡るのか、と。日常に戻っていくラストも旨い。マリネ、殻焼き、ワイン蒸し。まとめすぎのようにも感じますが、軽く結ぶ終わり方にも遊び心がほの見えて、読んでいて気持ちがほっと弛みました。
 拙作の情景描写を細密と評していただきましたが、私こそ、川野さんが心象と思考を追う丁寧な語りが羨ましいです。


改めまして、北村様、短編200期おめでとうございます。

(とむOK)

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