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qbcさん 金武さん(?)への返信

1002です。

○qbcさん 金武さん(?)への返信

こんなピンポイントの提言は金武さん以外にいないだろう――ということで、かってに金武さんんと決め付けていますが、とても刺戟を受けたのでqbcさんに返信するかたちで併せてコメントさせてもらいます。

私は率直にいうと、文学賞がほしいんです。ほしいですよ。太宰治が、どうしても芥川賞がほしくて、川端康成に手紙まで書いた……そんなエピソードがあったと思うんですが、昔の私はその話をきいて、はげしく太宰治を嫌ったものです。

でも、いざ自分が年をとるにつれて、賞に付随する賞金や名誉云々よりも、ひとまず「小説家」としての存在証明のようなものがほしい、書き手としてうまい云々より、書き手と名乗れるように、認められたい、という気持ちが強くなりました。そういう自分を情けなくも感じています。

「職業は寺山修司やってます」

くらいに言ってみたかった。昔の自分はどこかへ消えてしまったみたいです。真の無名で終ることへの凄まじい恐怖がある。

……そういう自分です。なので目標はあくまでも文学賞にあって、「短編」はそのためのスキルを磨くための練習の場として(自分には)存在しています。ここで3票4票もらったからどうだ、優勝したからどうだ、というのは、心の底から興味がない。作品を読んで感想を書くのも、それがトレーニングになるからです。たった千字のなかにひとつの世界をつくりだす1000字小説は、読むのもすぐ読めるし書くのもすぐ書けるのに奥が深い。他の同時代人の書いた200枚の小説を、それが玉か石かわからないのに読むのは勇気がいりますが、1000字ならば、仮に石にぶつかっても、ロスにならない。それに反して今回の金武さんの作品のようなプリントアウトして保存しておく傑作を見つけることができる。最近の高橋さんの作品も私には驚きだった。

そういうスタンスなので「短編」内で友達になって、友達だから緊張感がなくなって、大学のサークルのごとく、話すのは楽しいけれども、作品感想はなんとなくツマランとはいいづらくて適当にホメておく――こういう流れになることが私は嫌だ。

qbcさんの言動などをみていると、幹事にむいているというか、人と集まって話すことが好きなんだろうという印象を持つ。社会人としてもきっちりしていて仕事ができるんだろうなあ、と思う。だけど、文学について私とは全く考えが違う。その点を私はここで話しあうつもりはないし、qbcさんを私の考え方に染めるつもりもない。そのかわりに、qbcさんの文学観を素直に聞くつもりもない。たとえばqbcさんが荒川洋治あたりの考え方を完全におさえていて、荒川洋治が「短編小説は短編ではない。短編は作家の思いだけでできている」と書いていたけど、それについて……というふうに、ある文士の話をもとに話すならともかく、「俺はこう思う」「私はこう思う」的な意見は、少なくとも今の私は興味がありません。それに、やはり本格的な文学観を語るならば、1000字というのは短い。qbcさんが目指しているのが長編なのか、あるいは短編なのかは知りませんが。

逆に金武さんの意見は、私には正論すぎて痛すぎる。金武さんのような、理論の看板にまったくたよらず、在野で生き抜いてきたような人は、それだからこそもくもくと作品をつくるべきだ――とも思います。

金武さんがえぬじぃさんの作品感想に

「組長なら、アムロの気持ちわかると思うよ」

と書いてましたが、あれは、思い出しただけで泣けてきます。

……そういうわけで、qbcさんの返信になっているのかはわかりませんが、なんとなく前回も今回も、私のqbcさんへの作品感想がqbcさんにはイラッときたのかもしれないな、と思ってます。悪意というのは言葉が悪いね。反省します。

なので、次回から、qbcさんの作品を読んで、いいなと思わなかったときは感想を書くのは控えようかと思います。私は求められた作品感想には原則として思ったままを書くつもりでいるし、お世辞を使いたくありません。ですが、私の感想が書き手をイラッとさせることから生じる平行線になるような議論は、むしろ私も望んでません。「答えをひとつに搾らない人は退屈」ということですが、私はひとつに搾らないということをむしろ選択する考えなのですよ。そういうわけでqbcさんにとっても退屈になると思います。

よろしくお願いします。

それでは、掲示板にだいぶ書き込んでしまいましたんで(それはポリシーでもないので)私からの書き込みは来月までありません。金武さんの今期の作品は傑作すぎて陳腐な感想をかけませんでした。みなさんの86期の作品を楽しみにしています。


〉〉答えをひとつに絞る必要はありますか?
〉ありますよ。
〉小説に限らず、答えをひとつに絞っておかないと、あれもいいこれもいいで、のれんに腕押しになります。主張の無い人、意見の無い人と話すのは私には退屈です。

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