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はじめまして。皆さんの作品の感想や見解、とても楽しく拝見させて頂いております。特に今回の決勝作品は賛否両論がばっつり分かれていて、個人的には刺激に感じて面白かったです。
なので、というと少しおかしいかもしれませんが、この刺激を自分の中で何らかの肥やしにしたいと思い、決勝作品の自分なりの感想を述べてみることにしました。拙い自分本位の感想だと思うので、不快に思われる方はお読みにならないで頂けたら幸いです。また、一応読んでみて不快に思われた方には、大変申し訳ございません。



・総合的に見て
決して明るく痛快で楽しい話では無いけれど、何かしらの苦痛から脱却しようと静かに或いは盛大に足掻く主人公達が好感の持てる三作品だと感じました。大まかな感情の起伏に似た印象を受けます。なので今回の場合、どれが自分は好きか、という単純で難しい理由で評価されているのではないかと私は思います。だからこそ今回の皆さんの感想を面白く感じたのかもしれません。




13、奴隷日記 のいさん

賛否で云えば、私は賛でした。奴隷なのに字が書け、それなりの学がある、という矛盾はこの作品を肯定的に受け止めている人から見れば、プラスに働いたのではないかと。
奴隷ですから、流石にあまり身近に感じ辛い題材です。ですが字が書け、それなりの学がある主人公の文体は、奴隷の立場と読み手との距離を近づけてくれるものに思いました。ここで失礼ながら1002さんの「奴隷日記」への感想を持ち出しますと、腑分けという強烈なシーンを普通のことのように読める、と。これはやはり主人公との距離を近く感じられるからなのではないでしょうか。1002さん、全く見当違いでしたらお許しください。
最後の三人称の一文で、突き放された印象は受けましたが、面白いと感じたのは三作品の中で一番でした。次回作楽しみにしています。





16、不惑 黒田皐月さん

四十路って案外若いんだよねーという切ない笑いが起こりそうで、好きです。
頭の表面では自分を奮い立たせているけれど、奥底では不安いっぱい。一人の誕生日会という舞台が、主人公を可愛いと思わせてくれます。親父萌、という奴でしょうか。
しかし主人公以外の登場人物の欠如が、些か物足りなくも感じます。自分以外に嘲る人、憐れむ人がいれば悲壮感と好感が上がって楽しいかも、と偉そうに。まあ主人公に好感が持てればそれでいいっていうスタンスは幼稚ですが、この作品の場合はそうであってもいいかも、という印象を受けました。





27、おじいちゃんの呪い 高橋唯さん

勿論気持ちのいいものではありませんでしたが、それはきっと狙いなのだろうなと短絡的に判断して読みました。もしそうならば、異常な執着心を持つ人物を、老人にした選択は気持ちの悪さを倍増させて良かったのではないかと。
老人が死んだ後の描写が好きでした。淡々とした文に複雑な感情が洩れ出している気がして、読み進めるのが怖くなりました。文章として良くできていると思います。
新潮の新人賞受賞作家の作品を読んでいる錯覚に陥りました。手放しで好き!とは言えないけれど、何かじわじわと来るものが。これだけ強烈なのに、不快感だけが残るわけではないところに素直にすごいな、と思います。





あくまで私個人の妄想的な感想ですから、ああ幼稚な奴はこう受け取るのね、ぐらいに思ってくれたら助かります。気持ちが。

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