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かつてない盛り上がりに驚いております。
おでんは卒業。春だし。

15 マイソフィスト 壱倉柊さん 1000
 ソフィストというほどソフィストではないような気がするのは、私がソフィストを正確に知らないからか、もっとソフィスティケートされたソフィスト? が二作品前にいたからか、とか思った。
 しかし、ソフィストというのは友人の感覚の中のものであるわけだし、友人への微妙な敬意と友情を「ソフィスト」という二面性のある言葉に結晶させる語りのプロセスがとてもよかった。

16 僕の天秤 櫻 愛美さん 875
 第二の人生のはじまりとでもいえる物語。正直なところ、事故死した青年の幽霊を登場人物に選んだことは、単に生きた人間を登場させるより面白そうだから、という程度に使っているとしか思えなかった。けれど、死んだ者の天秤が希望に傾いた後どういうことになるのか、というのはとても気になる。

17 タイム・ワープ fengshuangさん 962
 小学生くらいの子って案外突発的な変化への順応力がない。
 ところでタイム・ワープって未来の自分に同化することだったっけ。

18 横断者 笹帽子さん 1000
 なるほど、横断者。
 「待つ」から「横断する」へ、そしてまた「待つ」へ収束する。「待ち時間」で人生語った後に、「停止者」でなく「横断者」と交代することによって人生観はどうなるんだ? というところの気になるサゲであった。停止者と横断者で交代のしかたが違うだろうところも気になる。停止者が動けないということと、横断者が交差点に閉じ込められるということをほぼ同義として取り扱っているようだが、ここをもっと掘り下げてみるのが面白いだろう。

19 桜の樹の上には 三浦さん 992
 感想は一度掲示板に出しておりますので簡単に。前作と似た造形・造詣の物語で、三浦さんご自身が詳しく解説されていたようにかなりの内容が凝縮されており、おなかいっぱいという感じでした。

20 猿の証明「2+2=5」 宇加谷 研一郎さん 1000
 宇加谷さんらしい、論理的構造のある突き放した物語。こういう風に人間関係を数学的に弄ぶような物語は、苦手。数学が苦手であるということもあるけれど。
 勝手に考えた後日談「1+1=3」
 一発やった二人が三人になるという計算は、種族差により不成立と判明。

21 子犬のワルツ 長月夕子さん 997
 語りのリズムが素直で、読ませ方を心得ていると思う。
「あきらめてるわけじゃないから」
 ここで物語が引き締まる。専門家になるということは簡単ではなく、今の自分の能力を見据え、それでも諦めず研鑽していく姿勢が必要なのである。作者の生きる姿勢が余分な気負いや衒いなく語りに現れる。スタンスに共感した。
 その一方、物足りなさが残る。二人の人物の距離感が、もう少し濃く描かれてもよいと感じた。女教師と男子生徒っていう麗しい設定なのにもったいないなあとか思ってしまった。

22 せぶんてぃ〜ん qbcさん 1000
 だから何なのだと思うのだけれど、言葉巧みで、自然におもしろい文章というのはこういうものだ。ここまで読んで一番良かった。

23 餅を焼く わたなべ かおるさん 734
 餅を食べるただそれだけのためにわざわざ炭を熾すのか、自分にはよくわからない。火鉢など暖をとるために熾してある火に、ついでにかけるものだと思っていた。
 思うと語るとのバランスについては村上春樹の初期作品に印象深いものが幾つかあり、確かその中の一つに、思っていることの半分だけを語っているうちに、半分だけしか語れない人間になっていたとか、そういうことを書いてあった気がする。引用が違っていたらごめんなさいと先に謝ってしまうけれど、言いたかったことは、思うと語るのバランスを取るとは、思っていることを全部しゃべるのが良いかどうかという意味合いではなく、語るべき内容を過不足無く用意し、語る、という姿勢の鍛錬であろうかと思う。

24 未来の乗りかた わらがや たかひろさん 1000
 作品としては完全に途中。未来体感シュミレーションゲームという設定はこれまでも数多の作品に見られたし、この説明書きで興味を引かれて乗るかといわれると、残念ながらそうでもない。文章は読みやすいので、書いたあとでもいいから、1000字というスタイルで何を伝えるかについて、考えてみて欲しいと思った。

25 幸福を促進できる? 崎村さん 999
 主人公の性別が文章からわからないので男性として読んでみた。凄い世界が広がった。そしてオチ。部屋に上がりこんだ男、いきなり死んでる。今まで気づかなかったのかとかはともかく、幽霊捕まえて離さない能力があれば霊媒師になれるかと思う。誰かの見えない肩の荷をおろすくらいには幸福が促進できそうである。グッドラック。

26 泥鰌 川野佑己さん 1000
 語りのすばらしさは変わらず、特にウドンのくだりは大好きだが、前作と比較して、少し大雑把に素材を寄せ集めた感があった。

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