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本文: 〉 感想を短くしか書けない私には、初めての経験だ。 〉 春爛漫、作品数最多、感想の挙がり具合は如何に。 〉 〉#22 最期の散歩 〉 主題と展開は悪くないと思う。しかし、使っている言葉がわからなかったり、不適切ではないかと思ったりした部分がいくつもあった。「心を留める」ことと「心を止める」ことの相違は、心を置く位置と心の活動ということなのだろうと私は思った。心を殺さないために、それをどこに置くのか、あるいはどこにも置かないのかという考え方は、興味深いものである。この主題から、最後の「彼の言いたいことが痛いほどわかった」にどのようにつながるのかがわかれば、良かったのだろうと思う。私には「彼の言いたいこと」はわからなかった。 〉 「当たり前のことから逃げた私は〜周りに当り散らして勝手に壊れた」とされているが、この人物が周りに当り散らしていた様子は見えなかった。内向的な人物ではなかったのだろうか。それから、「棺の入った鉄板をボウリングの球を投げるように、炉に押し込んだ」の部分は比喩を用いる必要はなかったと思う。無用な横文字に見えた。 〉 〉#23 セザンヌ 〉 弟家族と一緒に暮らしているのが誰かわからなかったり会話に参加しているのが何人だったかわからなかったりしたのは、読み込みが足りないせいかもしれない。 〉 大変失礼な感想を申せば、qbc風味とるるるぶ☆どっくちゃん風味を足して二くらいで割ったような良さ。行動や人物の描き方や変則的な展開のさせ方から、そんな気がした。 〉 〉#24 タイムバタフライ 〉 あれだけ装置から光と音を発しておいて決行は三日後という肩透かしは奇抜といって良いのかもしれない。そして、シンプルな表現、描写の中で伝えたいことがしっかり伝わってくる作品のように思えた。 〉 それに対して私は、生きていて、何かをなさなければならないのだろうかと思った。これは純然たる感想である。 〉 〉#25 なぜ俺は殺人を犯したか 〉 主人公は労厚大臣と談合をしていた当事者と公園にいた浮浪者の一人二役で、その主人公が談合の発覚を機に大臣運転手を殺害した、という理解で良いのだろうか。しかし、主人公は何のために、記憶喪失やマイクロテープの埋没、証言者殺害といった行動を取ったのだろうか。特にマイクロテープは残したかったのか失くしたかったのかがわからない。 〉 さらに疑問点を挙げると、なぜ大臣運転手の居場所を早々に突き止められたかということと、死体遺棄に四十センチ程度の穴で良いのかということがある。 〉 〉#26 JBショー 〉 久々に異言語人による理解不能な言動を読んだように思った。前に読んだのは、同じ5or6氏の『B&B』だったのかもしれない。 〉 導入が青年の視点だったのにも関わらず結末が第三者視点になっているのは良くないと思った。それ以外は、意味わかんねぇ、と言う他にない。 〉 〉#27 『麗を弔う宴』 〉 登場人物の命名と動かし方はうまいと思う。しかし、この世界観が良いとは思えなかった。麗が人魚らしい存在で他の登場人物がそれ以外の海の生き物であるのに「麗は〜母であり姉であり、妹であり、恋人だった」とされてしまう根拠はどこにあるのかということが理由のひとつであり、もうひとつは「彼女に恋をし、海に棲むものが一晩だけ、人間になれた」ことの必要性が感じられなかったことである。後者の前提があっての物語なのだが、そう思ってしまうと楽しめない。 〉 ただし、書き方は良い。 〉 〉#28 アカシック・レコードをめぐる物語 研究編 〉 K氏の『傾斜』を代わりにここに差しこんでおくとイイ感じ。 〉 〉#29 からから 〉 この作品を読むに当たって、考えてはいけないことがいくつかある。ひとつ、この主人公にはまだまだ余裕があること、ひとつ、商品の魅力に優劣がないということは店の特徴がないのではないかということ、ひとつ、2πrの二乗が何なのかということ。これは私の反省なのだが、実はそれを書いて示してしまうことが最大の間違いだったりする。ではなぜ書いてしまったのかと言うと、他にさして書くこともなかったからである。 〉 強いて言えば、なぜ客の能力が試されることになるのかがわからなかったことがある。 〉 〉#30 前借り 〉 うまくできているかと思ったのだが、実は「相手は〜信頼を感じさせる人物だった」や「受け入れる覚悟は〜揺らぐことはなかった」と二人を殺したことに不一致がある。 〉 契約によって病気になる前にビョーキだったという話や無関係の人物に顛末を語らせた展開は良いのだと思う。 〉 〉#31 春 〉 何からしいというだけで、何かになってはいないのではないだろうか。千字小説に起承転結を求める必要がないのであれば別のことだが。 〉 〉#32 さて、続きを話そうか 〉 登場人物は、主人公の女と、女を執拗に追いかけて車ではねた運転手と、女からハンドバッグを盗んだスリの三人で、女は死に、女に監禁された、おそらく運転手であろう、その一人も死ぬ。もう一人にまったく話題が向かないところが、バランスが悪いと思う。 〉 始まりが一週間前とされておきながら、女が監禁を開始したのが事件の三日後で、監禁を受けた者が死んだのがその十時間後であることは、間違いではないだろうか。それから、これは監禁されたのがスリであった場合には間違いとなるが、女に声をかけられたときに面識がないかのように「なにか、ご用ですか?」と応じたのはおかしいと思う。 〉 〉#33 ひとり 〉 たくさんの影が遊んでいたのは兵隊ごっこだったのか、なぜ兵隊ごっこである必要があるのかと思ったのだが、おそらく桜の影の子を不安にさせるためなのだろう。しかし、影の彼がなぜ影でもない木に吊られた体を父と思ったのだろうかということはわからなかった。 〉 寂しい気持ちはわかったような気がしたが、しかし「誰かがまた遊びに来るのをじっと待っていよう」と言ったところで誰かが遊びに来てくれたことはなかったのだった。それでも、桜の影の子は受動的であるような気がする。 〉 〉#34 桜散る頃に 〉 途中から回想に入ってそのまま現在の時間に戻ってこない作品はこれが初めてではないのだが、そのような構成で良いのだろうか。 〉 ふたりの関係の話なのに語られていることのほとんどが主人公の主観であることが、作中の花びらの使い方とあわせて、感情的で良いと思う。「彼女は僕を愛していた」の部分がなければもっと良かったように思った。 〉 〉#35 野球篇 〉 なにがまずかったかといえば、「そうゆうののつみかさねが戦争なんよとかなんとかその方向で書こうと思った」ことなのだと思う。「まちがえた言葉でやってるとどうも調子がくるう」と来たのだからそれで進めれば良く、戦争などといった方向で書くのであれば別の描き方にすべきではないだろうか。 〉 「めばえかけたときめきはいったんリセット」とされているが、「めばえかけたときめき」は「言葉でやってる」から起こったようなことであり、現実には起こっていないのだから「リセット」とはならないのではないかと思ってはいけないだろか。 〉 〉#36 春と紅茶 〉 作中で何かが起こる作品ではないが、映像が想像できる作品だと思う。映像が想像できるので、プリマヴェーラが投げた紅茶缶が下にいるインヴェルノの顎に当たるとは渡すような投げ方ではないとまで思ってしまった。 〉 春だから何でも希望的に考えられる、という雰囲気になっているところは良いと思う。 〉 〉#37 迎撃 〉 ロケットは損害を出さず迎撃ミサイルの誤射でナサのレーダーのアンテナが破壊された、という理解で良いのだろうか。何にせよ、数十秒では早すぎるのではなかっただろうか。 〉 ところで、「他人様の頭上へロケットを飛ばすなんざ、ふてえ野郎だ」という意見、これは地理的条件の良い国しかロケットを飛ばしてはならないという意味なのだろうか。世論調査で問うてみたいという、純然たる私の感想。 〉 〉#38 陽焼け畳の上で 〉 「女は俺の嫁」の次は「俺がみんなの嫁」と来た。会話はなかなか面白い。なかなか考えたものだと思う。が、「〇〇は俺の嫁」ってなぁ。何人わかっているのだろうか。 〉 〉#39 卓上小説 〉 宇加谷氏が落ちを付けに行くとこうなるのか、と思った。 〉 夢時間についての考察が、わかったようなわからないような気がしたが良いものではないかと思った。それと、五千万円という数字が突飛なものに思えた。冗談抜きで五千円、では高すぎる。 〉 〉#40 人影 〉 主人公の心境をどう読むのも読者の自由なのだが、本当にどう読んでも良いという作品はすごいものだと思う。どう読んでも良いということは、情報が不足しているということとは違う。 〉 〉#41 狂った男と妊婦 〉 またしてもeuReka氏の作品に感想が書けそうにないのだが、現実味のない不安感、と言えば良いのだろうか。
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