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本文: 〉 好きな作品を見つける読み方は、この感想を書いたときの読み方とは違うのだろうと思う。 〉 〉#1 バリア 〉 「私に似た女の子」の存在が何を意味しているものかがわからなかった。それに、「私に似た」であって、同じ顔をした、というものではないことも、この主人公はどのような感性をもっているのかと疑問を持った。 〉 主人公の声が出なくなる必要はなく、他人に声が届かないだけで十分だと思う。声が出なくなるとしてもその説明が遅すぎる。この主人公は説明の前に何度も叫んでいる。それから、この状況下で十分も冷静さを保つことができるのはすごいことだと思った。 〉 〉#2 水分茶屋 中川口物語−塩舐め地蔵 〉 店主、籐衛門はひとを丸め込むのが趣味で、このシリーズはそういう物語なのかと思った。しかし、今回は一本取られているのだろうか。この書き方であれば、最後に籐衛門の反応がほしいように思った。 〉 癇の強い年寄りが描けていると思った。 〉 〉#3 逆時計 〉 最初に読んだときは、主人公は彼女の気持ちがわかっていないと思った。それは、どのようにわかったのか抽象的にしか書かれていないからなのだが、実はそれが良いのだろうと今は思っている。書かないことで描くことも、あるのだろう。 〉 うまくまとまっているのではないかと思った。 〉 〉#4 ロマンチスト 〉 なぜそういう結論になるのかがわからなかった。最初の段が悪いのではなく、最後の一文は良いのだろうから、その間の四文が決定的に間違っているのだと思う。 〉 「私は、夫の知らないところはまだまだたくさんあると思っている」は、その次の一文との関係から、「夫の知らない私は、まだまだたくさんあるだろう」あたりが良いのではないかと思った。 〉 〉#5 炎壁 〉 これだけ執拗なストーカー行為に二ヶ月も耐えられること、パソコン画面に見慣れない文面が出ても気にせずにいられること、そしてこの状況下で普通に友人との交友があること、そういったことにこの主人公はどんな人物なのだろうかという疑問を持った。 〉 つきまとっていた影は、自滅したということなのだろうか。それに、実在していた存在なのだろうか、それとも仮想空間のものだったのだろうか。 〉 〉#6 猫と労働者 〉 いい話のようなのだが、猫の行動に勝手に台詞を付けるな、という『スケッチブック』(久々の漫画ネタ)の言葉が当てはまる。猫にこれだけのことを言わせるのには、『吾輩は猫である』か何かのような、それなりの前提が必要なのだと思う。作中でもっともそぐわない説明は、「僕の死体が〜悔やむだろう」ではないだろうか。 〉 一週間何も食べずにいてこれだけの行動が取れるのか、私にはわからない。 〉 〉#7 Visitor 〉 定石はきちんと踏まえた作品だとは思うが、強烈さは足りないと思う。必要なのは、岡田母子の恐怖におびえる姿の拡充と、小澤母子の最後の台詞の後のひと動作ではないだろうか。 〉 〉#8 春と食欲 〉 サヤカの人物はよく描かれていると思うのだが、何だろうこの家庭は、というこの作品に対して持って良いものかわからない疑問を持ってしまった。 〉 勤め先でコーヒーを飲むバイトのお手伝いさん、しかも男性らしい。何者だろう。そのお手伝いさんが「食欲が満たされていて食べ物のことを考えられない」という勤務態度で良いのだろうか。 〉 〉#9 真夏の雪 〉 これは小説で読みたいほどに珍しい感情ではないと思う。私など、年中、と言うほどではないが、いつだってそう思っている。ではなぜこの題材で書いたことがなかったのかと言うと……理由はない(『擬装☆少女』で使えないからという一因もあったかもしれない)。来月書くかもしれない。 〉 「人生で最後のジャンプは〜勇気をもくれた」がわからなかった。ジャンプが躊躇と勇気をくれたとはどういうことなのだろうか、またその躊躇と勇気によってジャンプの後に何か成しえたことがあったのだろうか。 〉 〉#10 準備中 〉 童話のブラックコメディ化として上出来だと思う。しかし、「僕が盗人になる度胸があれば……」は浮いているのではないだろうか。 〉 この作品とはあまり関係のないことかもしれないが、キリギリスは肉食である。 〉 〉#11 寂しがり屋 〉 登場人物が何者なのかわからないと、言っていることがひとつのお話でなく作者の主張に聞こえてくる。なるほど、『忘れるを知る』へのqbc感想はそういうことだったのか。 〉 「数十年の後に〜完成された瞬間に絶望するだろう。なぜならそれはもう現実と変わらないからだ」と主張者は述べているのだが、この場合、そう言えるほどに不連続な変化となるのだろうか。仮想世界が現実世界に近づいてきて、仮想世界とされていたものが現実世界の一部となることで、仮装ではなくなってしまうことによる絶望が起こるのではないのだろうか。 〉 〉#12 青い月 〉 いい話のようなのだが、これが子を持つ親の心境なのだろうかと思った。「あの子」と自分の子供を引き合わせて子供に信じることを教えるような、そんな展開でも良いだろうかと思った。 〉 「それが男の子か女の子かだったなんてどうでもいい」という部分が、作中にあってはどうでも良いことなのかもしれないが、好きだと思った。それから、「ムキになりすぎた自分が恥ずかしい」は過去形にすべきだと思った。 〉 〉#13 極意 〉 コントの起承転の部分のように見える。これで落ちがついたようには思えない。 〉 〉#14 受賞者 〉 二段落ちは良いと思う。研究者がノーベル賞を欲する姿勢は悪いと思う。そして、これは作中で語られるべきことではないのだろうが、全世界が平和になることとの定義を教えてほしいと私は思った。 〉 いかんネタ被りだと思ったところで、そういったものは危険であると思っていたことを思い出した。『アカシック・レコードをめぐる物語 研究編』はそういう話、という宣伝。 〉 〉#15 鈍感 〉 「君」と主人公の妻が同一人物なのか、それとも「君」は単身赴任先での不倫相手か何かなのか、わからなかった。以下は前者と仮定しての感想である。 〉 単身赴任の夫がどれくらいぶりかに妻のところに帰ってきて妻がやらないガーデニング用品を新調してくる、それが鈍感だという表側と、できちゃった結婚をしたのに終わりにするに当たって子供のことを何ひとつ考えていない、それが鈍感だという裏側を持った作品、ということで良いのだろうか。意味がわからないことは想像を持って読ませてくれることの裏返しということなのだろうか。 〉 〉#16 Daydreamer 〉 「冬の寒さに耐え〜気は確かだったはずだ」の部分が何のために存在しているのかわからなかった。導入部分なのでこれが主人公にとっての現実なのかと思ったのだが、それは最後の部分であり、そうするとこれはいったい何なのだろうという疑問が残る。 〉 それを現実でないと仮定すると、主人公は引きこもりのギャルゲー狂いと言って片付けられるだろう。物語の薄っぺらさが主人公の人物に合っていて、それはそれで良いのかもしれない。 〉 〉#17 いかさま 〉 キャスターの最後の一言は、地球の危機を回避するために、人類が、神からもたらされた、と言っている。何だそれは。神はダイスを振らずに玉を放つ。このゲームのルール、勝利条件は何なのだろうか。 〉 〉#18 冬が来る 〉 日常の一こまを切り出したものなのだが、私にはそういった作品の価値がわからない。 〉 なお、会話文の中に「つ」と「っ」が混在している、「本物のような」と「見てみませう」が混在しているなど、文体の不一致が散見される。 〉 〉#19 モーニン 〉 まず、主題は好き。 〉 「何たる弱さか」、「あたしが女だからなのか?」と来て、「男の子を好きになっちゃったからなのか?」と来る。もうわけわかんない。弱さの原因を問うていたのではなかったのか、男の子を好きになったのは原因ではなく結果ではなかったのか。そんな混濁もまた、主人公の混乱を示しているものなのだろう。 〉 「たまにウインクなんかしてたり」は夢というよりも現実的なアピールではなかったのか、「おめめのキラキラを誰よりも細かく書き込める」は絵を描くことであって自分の化粧などではないのではないかといった疑問も持った。実は後者のことから漫画家の話ではないかと、読んでいる最中の私は思ったのだったが、違っていた。 〉 〉#20 誘惑 〉 この主人公は天罰の前に処罰されているはずであり、そう思うともう評価などできない。 〉 また、この作品とは関係ないことなのだが、放射能に汚染された水や空気の浄化はどのようになされるものだったのだろうか。 〉 〉#21 オタマジャクシ 〉 恐ろしさ、おぞましさと言って良いのかもしれないものが、伝わってきた。
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