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22 蒸しまんと粥 クマの子 1000
シノワ臭が良かった。
あるエピソードとあるアピソード、アピソードとはエピソードの打ち舞い違いだが、打ち舞い違いとは打ち間違いの打ち間違いだが、仕事を辞めるということと女が消えるということになんら合理的な結びつきはないと考えるのだけど、それに関連性を見出してしまうというのは人間の錯覚の嫌なところで、それぞれのエピソードがそれぞれのエピソードに対して対補の関係になっているんではないかと催させるのは、正直1000文字で出来ることのひとつのきっと上策。
事象が絡み合うことでその関係性はなんなんだろうかという好奇心がもたらされて、例えば二回もこの感想で打ち間違いをするというのはなにか心理的な要因があるのではないだろうか、いやあるかもしれない、そうであるに違いないといった、この縒り糸を一本一本解いてゆく快楽はそもそも読書の快楽というか観察のというか生きている人間の楽しみのひとつ。ただ解いたところで何が見つかるわけでもないという幻滅はあるし、それを知らない人もいるかもしれないし、ただ疑いは疑い続けられるだけ、みたいな。
私は長いこと翻訳小説ばかり読んでいて、そもそも日本人が書いたものを読む理由が意味不明だったのだけど、それはなんで同時代の同じ国に住む人が書いたものをわざわざ読む必要があるのかといったところなんだけど、最近は日本人が書いたものもなるほどここが好まれているんだなとか思ったりもしたりしてるんだけど、「こそばゆい」とかこういう言葉に惹かれるからなのかなあと思ったりしているんだけど、ただ、こういうところに執着して書かれているものというのはたいてい構成というか美観が建築的でないというか、現実に対してひどくもろいというか、物理的には存在できそうもない世界を感じて、どうもそのあたりが苦手なんだなあ。体臭があるのが好きかどうかということなんだと思う。

23 梅に猿 宇加谷 研一郎 1000
レオナール藤田展? 人形は恋月姫がいちばん好きです。人形が出てきてすごくうれしかったです。好きな言葉は人形作家です。
ばらばらとしたイメージがイメージがちらばっていていろいろとこちら側の記憶を思い起こさせるのだけれども、思い起こったイメージが本文に引っ張られてどこかへ連れて行かれるということもないのがなんか残念。人ごみを、雑踏を、ぼんやりと眺めている気分みたいになった。

24 変態 シミズヒカリ 999
言葉が滑っていく。で、これにまた何を足し算するかということを考えたらもっと面白いんじゃないのかなと思った。言葉の滑らし方だと、もっと上手い人がこのサイトには居たし、そもそも滑らしていくという手法そのものではあんまりだし、その手法がいわゆる現代における諸問題の何を照射しているんだろうかというのがないとなんかあんまり情熱的を感じられないなあと思った。なんだか勝手なことばかり言っても申し訳ないです。

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