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本文: 〉 本文を書いてから題名を考えたのは今回で三度目の黒田皐月です。本記事を書くことで題名はどのようにつければ良いのだろうかと考えてみましたが、答えは得られませんでした。他の方の作品に対しては定石だろうなどと思うのですが、自分の作品に対しての定石とはどのようなものになるのか、未だわからずにいます。 〉 〉#1 ラン・ホース・ライト 〉 「ライト」が走馬灯と一筋の光明のふたつを併せて指すように考えてつけているものと思われる。 〉 〉#2 人間観察 〉 直接的な題名のつけ方でありながら内容は題名から想像できないものになっているという、読後の楽しみを持った題名だと思う。 〉 〉#3 一滴の救い 〉 作中には「逃げ道」と言葉があるのだが、この作品には本当に「救い」があるのだろうかと私は疑問を持った。「滴」は、内容から題名の方向で考えれば納得ができるので、良い選択だと思う。 〉 〉#4 『時を忘れた時計屋の話』 〉 「時計」が「時を忘れる」という相反するふたつを題名に盛り込むことで興味を持たせる題名になったと思う。 〉 〉#5 明るい 〉 作中には天気の描写がないが、題名がそれを補っているのだろう。 〉 〉#6 Bライン 〉 虹、蟻の列、おじさんに共通する何かを指しているのかもしれないが、知識不足のせいであろう、私にはわからなかった。 〉 〉#7 紺色のマフラー 〉 直接的な題名のつけ方で、短文の題名の定石と言えるものであると思う。 〉 〉#8 水分茶屋 中川口物語-暮六つ 〉 中川口の水分茶屋での暮六つ時分の話なので、題名で舞台を示すやり方に違いないのだが、この並べ方が焦点をぼやけさせているような気がする。「中川口水分茶屋物語-暮六つ」ではいけないのだろうか。 〉 〉#9 道 〉 これも直接的な題名のつけ方。ごく短い文に対しては題名で余計な制限を加えるべきではなく、この題名はその禁を避けている。 〉 〉#10 尋問 〉 これも定石の題名のつけ方であると思う。 〉 〉#11 ある雨の日 〉 これも直接的かつ短い題名で、定石に従ったものであると思う。 〉 〉#12 観光地異聞 〉 題名で話の枠を示すやり方。その枠を広げすぎず、絞りすぎずということは、意外と難しいのではないだろうか。この題名は適切であると思う。 〉 〉#13 お茶っ葉な女の子 〉 この軽さ加減の醸し出す親しみやすさが、創作短編の可能性のひとつであると私は思う。 〉 〉#14 ひとり暮らし(She is a university student) 〉 英語を混ぜ込むところが腹心氏のセンスなのであろう。そのポップさが内容と一致しているところが良いのだと思われる。 〉 〉#15 若き兵器の悩み 〉 直接的かつ「兵器」と「悩み」という相反するふたつを盛り込んだ題名で、かつ不必要に押しの強い題名にはなっていない良さがあると私は思った。 〉 〉#16 続く 〉 題名が本文の最後につくようになっているやり方。そのような話を作ることにはセンスが必要だと思う。 〉 〉#17 叶わない願い 〉 内容を読んで、この題名で良しとしてもらえるのだろうか。 〉 〉#18 サードラブ 〉 定石なのだが、私は直接的過ぎるように思った。 〉 〉#19 傾斜 〉 題名が作品の主題、テーマになっているやり方。このやり方は作品の主題が本当にそれであると思わせなければならないが、本作がそれを満たしているかは私はまだ判断できておらず、再読しなければならない。 〉 〉#20 セクシャルバイオレットNo.1 〉 「セクシャル」な話で「バイオレット」のものが登場し、目に入れても痛くないということは「No.1」には違いないが、それをつなげただけで良かったのだろうかと私は疑問を持った。ただし、馬鹿話には馬鹿題名がふさわしいと見ることもできる。 〉 〉#21 二世帯住宅 〉 コントの題名のような題名が、内容に合っていて良いと思う。題名の感想から離れるが、本文中に改めて題名を書いたことに意味はあるのだろうか。 〉 〉#22 蒸しまんと粥 〉 作中に登場するものを題名にするやり方。このやり方は題名にしたものが作品において重要な意味を持っていなければならないが、本作はそれを満たしている。かつ「蒸しまんと粥」には読者を非日常へと引き込む魅力もあるように思えた。 〉 〉#23 梅に猿 〉 私は宇加谷氏の作品を、氏に対する先入観、イメージと切り離して読むことはできないらしい。この題名が宇加谷氏らしいと思うようでは題名の評価などできないので、放棄する。 〉 〉#24 変態 〉 一般的に用いられる「変態」と本来の意味である「変態」を併せて指す、良い題名であると思う。 〉 〉#25 空間 〉 直接的でない題名は、読後に題名が何を示そうとしているのかがわかる必要があり、その距離感が非常に難しいのだと思う。私は本作については題名が何を示そうとしているのかはわからなかった。 〉 〉#26 嫌 〉 作品の心情を直接的に示す題名である。このやり方は、作品のすべてがその心情で塗りつぶされているか作品がその心情でまとめられているかの二通りに使われるが、本作の場合はどちらとも言えそうに思えた。 〉 〉#27 ホーム・ホーム・ホームレス 〉 わかりにくさが読者を引き込み、読後には明快にわかるような題名になっている。これができるセンスは羨ましい。 〉 〉#28 R 〉 これも定石の題名のつけ方であると思う。fengshuang氏の場合は、題名のつけ方について考えるよりもその題材を選ぶセンスを楽しむべきだろう。 〉 〉#29 フォークロア 〉 寡聞にして「フォークロア」を知らなかったのだが、少し調べてみて作品を改めて読んで、なるほどと思った。良い題名だと思う。 〉 〉#30 金子口輪社 〉 これも調べて初めてわかった。さすがqbc氏と思ったところで、題名の評価は放棄する。 〉 〉#31 青空(空白) 〉 「青空」と「空白」は作中に書かれているものであり、かつ心情、主題である。定石の至れる所と言うべきだろうか。 〉 〉#32 とある二月の昼下がり 〉 題名が時を示すことで本文への導入になっているやり方。題名での過剰な情報の提供は控えるべきであり、この題名はそれを満たしている。
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