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感想ありがとうございました。「サーカス」は発達障害ADHDの人の話し方が「まるでサーカスみたいにあっちこっちに話題が飛ぶ」というのをアイディアにしたお話でした。
そのアイィデアを枠にしてあとは自由に書いたので、自分の心象がそのまま文章になった感触があったのですが、ストレスがたまっていそうだったりさみしそうな感じがあったとのことで、自分の人生ってなんなんだろうな、やれんのかこれから、と思ったりしました。


話は変わりまして、1002さんだったら「こう書く」意見ですが、

〉(1)やはりこの疲れてしまっている、元素直な主人公をなんとか救うための伏線をはりたい。それは偽善としての救いではないが、やはり作者は自分の信じる「善」のかたちに主人公を導いていく志のようなものがあるべきだ、と個人的には思っている(昔はこの部分を宗教が担当した)。

どうして1002さんは「作者は自分の信じる「善」のかたちに主人公を導いていく志のようなものがあるべき」と考えるのでしょうか?



〉#29サーカス

〉 後輩の結婚式における主人公「俺」の視点による人物批評の話、だと読みました。

〉 この主人公はちょっとストレスがたまりすぎている気がする。たぶん根はいい奴なのだと思う――主人公は花嫁からの手紙で泣いてしまったり、そんなことを気楽に相談する相手もいれば、話を立ち聞きして加わってくるような友人もいる。

〉 さらに大学時代にさかのぼると、「アルハンブラ宮殿の思い出」(感傷的だが名曲)を弾くために借金をしてまでもギターを手に入れたり、今回の結婚式もその借金相手でもあった後輩に、嫁と娘といっしょに招かれているのである。

〉――こういう設定だけを読むと、この34歳の主人公はとても幸福にさえ思えてくるというのに、話を読むかぎりでは、どうもそう単純ではないらしい。

〉 まず、なぜか主人公は後輩に金を借りてまでギターを習ったことについて、「金を借りてしまった」ということに異常に執着して後悔している。ちゃんと金を返したならいいじゃないか、といいたいが、主人公の論理ではそうではないらしい。

〉 私からすれば、そのおかげでギターもうまくなったのなら、この披露宴で「三島のおかげで俺はギターがひけるようになった、ありがとう。この曲を君たちに捧げます」とでもいえばいいじゃないか、と思うのだが、34歳のこの主人公がこだわるのはあくまでも金である。ここにこの主人公が社会生活で得たものと失ったものを想像することができる。だが、それはなんだかとても現実的でかなしいね。

〉 しかし主人公の金をめぐる思いは「後輩への借金」のこだわりのみならず、出資者が後輩ではなく後輩の父親であったことが、さらに主人公には腹がたつことらしく、その父親をまるで恥をかかされた仇のように見つめていたりする。

〉 冒頭に主人公は友人に囲まれる人気者だ、と書いたけれども、実は主人公自身はこの友人たちのことについても、まったく評価していない。一人は調子のいいおしゃべりものだと判断し、もう一人については話かけてきても無視している。

〉 そして主人公は結婚式の主役でもある後輩夫婦を眺めながら、自分がすでに既婚者であることを忘れて、彼らが夫婦になるということについて、思いをめぐらしている。隣では子供を抱いた妻が、夫の無配慮さに呆れて文句を言うが、主人公にその声は届かず、このまま結婚式をめぐる描写はおわってしまう。

〉……これはちょっとさびしい話だな、と思った。話全体が主人公「俺」の一人称であるので、この小説を評価するには、読み手の私が「俺」の考え方や行動をどう思うか、ということが大きく関わると思うのだが、私はちょっとこの主人公「俺」の考え方は、どこか人間をなにかの枠に一面的に当てはめているように思えた。

〉 もしも私がこの題材を元に話をつくるならば、
〉(1)やはりこの疲れてしまっている、元素直な主人公をなんとか救うための伏線をはりたい。それは偽善としての救いではないが、やはり作者は自分の信じる「善」のかたちに主人公を導いていく志のようなものがあるべきだ、と個人的には思っている(昔はこの部分を宗教が担当した)。

〉(2)友人も三島夫婦もその父親も妻も娘も、でてくる人物すべてが主人公には不愉快に映っているが、それでは彼らの負の一面だけしか描かれておらず、全体のバランスが悪すぎるので、なんらかの彼らの長所を活かしたい。

〉(3)三島の親父はキーポイントだと思うが、活かされていない。たとえば彼がすでにボケてしまっていた、だとか、なぜ三島の父親は気持ちよく金をかしたのか、なにか活かしたい。

〉……ということを思いました。

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