このサイトの参加作品を読んでいると、小説って何なんだろうなあということをよく考えますね。
私は、投票するときの感想で「これは小説じゃない」ということをよく言います。
なので、自分なりの「小説」の定義を紹介すると、
①物語が展開されていること。
②作家性があること。
という2つ条件を満たしたものということになります。
私が「これは小説じゃない」と言う場合は、この2つの条件が満たされていないということです。このサイトの参加作品の場合は、主に①の条件が満たされていないケースが多いと思います。
この定義の中の「物語」とは、時間の流れが語られているもののことです。それを読んでいると時間が共有できるという感覚が重要だと思います。エッセイや詩を読んでも、基本的には、時間を共有することはできません。
そして「作家性」は、個人による視点や解釈、工夫があるということです。例えば昔話や伝説などは自然発生的に生まれたものと考えられるため、特定の個人によって創作されたものとはその性質が違います。
それから、これは条件というより自分の理想になってしまいますが、小説というのは「今を書くこと」じゃないかなあと思います。「今」と言っても、現代社会のことを書くということではなくて、今でなければ書けないことを書く、ということです。「今」を書くためには、自分の中にある言葉や考え方を新しく捉え直さないといけないわけですから、とても大変なことです。でも、それをやらないと、小説を書く意味がないんじゃないかとさえ思っています。
私の今考える小説はこんなところです。
qbcさんとは、ずいぶん前に小説の定義について意見を交わしたことがありましたが、それを思い出しました。