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 今年最初の感想。最後を崩壊させることで、小説をしめくくるのは、変な着地よりもそれっぽいが、崩壊させないと先がないようにも見える。

「思垢」▲
 3を考える。意図的なのか、だとしたら、222kmには意図があるのか。最後の二行は蛇足とも思うが、それよりは、前作でもそうだったが、少し説明不足を感じる。とは思うが、これはこれで良いのではとも思う。何かを誘う感覚は出ている。

「森吉郎は、かく語りき」
 ……。名前の変換は意図的だったのですね。

「役目」
 今までの印象とガラリと違った、悪くない空気が出てきた。最後の崩壊。味のないものを食べている感じ、味わえない感覚から実に美味いものを食べた感覚に変わった。これは評価できる。

「モノを言うコトはあり得るのか」
 五十音の文字が意味を綴るのであれば、ならば、数字はどうなのかと、数字がモノを言うコトはあり得るのか。そんなことを考えて書いた。これを小説と言うのは違うのかも知れない。

「朱花」
 あさはかな感じ。すごく浅はかな感じ。作者はそんなこと微塵も感じていないかも知れないが、読者は少年と少女への侮辱を感じる。
 それと、後半の手を振るという映像が想像できなかった。というか、どうもそのときの感情が掴めなくて引っかかっている。果たして本当に少女は手を振るのであろうか、と。だとしたら、どういった振り方でどういった感情なのだろうか、と。最後の散るとか花になるとか、そんな常套は欲しくない。

「あなたの愛するわたし」
 何か分からない。別に分からなくたっていいし、起承転結の結が崩壊を迎えるのも歓迎する。ただ、そういったこととは別でこの小説は分からない。それをどう説明するかを考えた。分からないから素通りする。ミミズの感情を人間は理解できないので、ミミズをそれ以上の認識とは考えないのと同じ、と、いうような、そこには存在していないから見ることもできない感覚。

「あいの、アイノぅ」
 「いつも大変お世話になっております。」が忘れられない。なんとなくいいとは思うが、票は入れられない。と、いうようなことを毎回考えています。悪くないとは思います。

「塔」●
 いい。今作でループパターンからの脱却が見られた。巨大な塔とは全然関係なく、キスで終わるという崩壊(悪い意味ではなく小説の着地が不条理な表現で終わる様)は作者らしい。

「思い出とは」
 これは日記ではないのか。たびたび出てくる俺といっちゃんは小説なのか、記録なのか。後者ならば小説としては評価できなくなるが、作者は自分への防衛本能なのか、駄作という表現を使ったり投げやり感半端ないが、誰かは読んでいるので創作は続けて欲しいと思う。

「ウイウイウイスキー」
 前回にあった「まとって生きる」を考えて、繕った嘘も自分だし、ほんともうそもない。そんなこと考えて教訓めいた軽薄さは残るが、知識の押しつけもなく、といったところ。タイトルに作者感が強く出ているが、それ以外は特別可も不可もない、面白みのない作品である。

「ガンジー搦め」●
 言葉遊び甚だしく、飛躍? 破綻? いずれにせよ、この飛び方嫌いではない。何かを主張したいとか、そんなの感じ取れないけれど、それはそれでいい。こういうジャンプを書きたいなと思ったりもするが、できないので憧れである。

「妹の手前」●
 「貯金を切り崩して」は妹の言葉と捉えて正解だったのか、とは思ったが、短い言葉は爽快感を誘う。すがすがしい。実に。何かが起こりそうな余韻が残る。作者らしい会話が良く出た作品である。

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