1. 途中で有名な金魚屋がある
不思議で何となく気持ちが悪い。淡々と短い文でつないで、リズムはいい。
2.雨のにおいと高架下
冷めた感じがいい。ライブで無理にテンション上げていたのだとしたら、その高揚感が覚めた時に落ち着くテンションの低さがとてもリアルだ。女が不細工だったらいいなと思った。
3.スターフルーツ
スターフルーツの酸っぱさと薄味で、彼女との少しのすれ違いを表現。まあたぶん年の取り方の違いで、彼女も年相応に食欲だってなくなっていくし、どんまい。
4.完璧に黙示的な気分
視線、香り、暑さ、窓の外、暖炉の火。チャカチャカ五感が刺激される。最初のやり取りは、風邪薬のCMのパロディでしょうか。そうならんんん。
5.森のくまさん
読みやすくてほっとする。最後の一文は、駆られている感じが出ていてとてもいい。ゲーセンも、戦争も、義務感で。
7.だるまさんになる
なんでこんな美人が、というより、そもそも何を。猟奇的な感じもない。作品は完成度高いし読んで面白いけれど、隙がなくて好奇心がついていかなかった。
8.叫んでいいんだよ
暗い力が満ちている。主人公は男? 満たされない感じが出ている。
9.テラリウム
面白かった。よく読めば気になるところもあると思うけど、そう思わせない勢いがあった。物語に勢いがあるのはいいことだと思った。
10.正直者の世界
恐ろしい欲望をもって生きている人は結構多いと思うけど、特に何も望まない人間も多いと思った。欲望を持続させるのはエネルギーがいる。
11.一人暮らし
最後がとても面白い。視野を外に向けることで自分以外のものに色がついていく感覚がとてもよく表現されている。