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「22 オチのない話が書きたい」をなんどか読みかえしているうちに自分なりに話が掴めた気がしてきました。以前に書いた全感想よりは近付いたと思います。

#22 オチのない話が書きたい

オチのある作品を週に三本書いていた短編作家がスランプをきっかけに自分を振り返る。

異臭の漂う海辺で「昔だったらこの臭いにむせていたり、めくれたシートが気になっていた。小説だってそうだった。自分に正直にしか書けなかった。今は違う。俗にまみれた自分の臭いは煙草で紛れる。やはり私はオチのある話を書く作家なのだ」と自分を鼓舞する。
ところが無意識に足取りは図書館に向かい、今では恥ずかしくて書斎にも置いていない昔のデビューきっかけになった自著をくると、さっき整理したはずなのに、昔の、俗に反発していた自分が本の中から蘇り、さっきまでの余裕は失われる。世界でたった独り生き残る主人公が靴紐を結んでるとチャイムが鳴るという昔の文章があまりに作為がなく、その文章は当時の自分の内面のままであったからだ。

書斎に戻り、今度はうまい煙草を吸いながら、作為ばかりに走るわけではなく、またエゴを押し付けるのでもない、自分の中から語るにたりえる話を書こうと、黙って自分の心に耳をすましている。


こういう話だと読みました。感想ていうより感動しました。好きです。朗読して演じるという(笑)長月さんに習って初めて本読みをしてみたおかげです。初読と再読で印象がこれほど変わるものかと驚きました。

ちなみに三浦さんの短編では、かつて美しい髪だった女の話がわすれられません。切ないと書くと海坂さんに無機質と言われそうですが(笑)切なかった。


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