仮掲示板

220期 全作品感想と御礼



kyokoです。
票とコメントをいただいて、それに返したくなったことと、全作品に感想をひとことずつですが述べようと思い、書き込みさせていただきます。
今回は予選のみ投票させていただきました。

最初に全作品の感想です。
私はストーリーより言葉のリズムや描写の美しさに惹かれる傾向があるので、ちょっと的外れかもしれませんが、ひとことずつ。良し悪しではなく、完全に好みです。

・哲学的文学少女
私も学生時代、授業中ほどいろんな考えが頭の中を巡ったなぁ・・・レポート用紙を前にして世界のすべてについて思いを馳せる少女にくすりとなった。すごくよくわかる。

・アサイラム
今日も自分の人生を全うしているのだ、とか侮蔑と羨望、とかミイラ、とか。周りを見下しながら、ギリギリで自分を保って必死で生きている。がんばれ、卒業すればとりあえずそこは終わる。あと、ミイラは大事にしなよと思った。

・マッチョマン微笑
光る筋肉としばらく踊ったのち、にいいな、と思った。筋肉と会話したりとかしそう。筋トレがメンタルを支えるという話は聞いたことがある。でも、その筋肉の支えが彼女だったのも良い。

・敵の敵は味方
たのしいのは良いことですね。

・鳩のはなし
自分に助けを求めるたび、鳩は救われていた。に共感。
忘れることにした、とあるけれど、何度も何度も思い出して、忘れなければ鳩はきっと孤独ではないのではないだろうか、と思った。それがどんなに苦しいことだとしても。

・アップデート
人の想いとは、結局その人自身の中で完結してしまうもので、その対象がどうであろうと関係ないのだなと思った。古いやりとりやそのときの痛い気持ちはどこにいくのだろうという言葉に胸をつかれた。あなたが覚えててくれたらいいの、というのは真実で。でもきっとそれはあらかじめ登録されたセリフをAIは再生しただけ。そうして覚えた胸の痛みもどうしようもないのはわかっていて、それはそのまま、胸の底に沈んでいくのを見ていることしかできない。

・アジの食卓
なんて良い話。ちょっと多めにサービスしておかないとな、に男気と余裕を感じた。外面を優先させることが回り回って家族を守ることになる。こういうことに気づける僕もいい感じだ。でも亭主関白にいらつく奥さんにもごもっとも。外面の良い親父が家では甘えてるだけだとしても。綺麗にまとまってて読みやすかった。

・悪魔と友達になるということ
「胸に手を当てて言葉を探した」
「あなたの笑顔を見て安心したいだけ」
「詐欺でだまされるのは悔しいが、悪魔にだまされるのなら仕方ないと思えるはずだから」
ところどころの言葉が魅力的でするする読めた。

・ふりだしへ戻る
「その坂から落下することが急激に目の前の確かな未来のように感じ始める」
どう考えてもダメなことが、そうするしかないと自分を納得させることで妙な安心感を一瞬持ってしまうことってある。魔が差す、というか。

・出してごらんよ
10代前半の未完成感がよく表れていた。
自分で何かを決めるということがまだできない。
指示待ちの安心感、自分のことは自分が一番よくわかると決めつけることの心地よさ。
でも、それではダメだとどこか気づいていて、その最初の一歩が踏み出せた瞬間の、小さく何かが弾けるような感覚。

・花弁一片
タイトルも文章も美しい。
一つの恋の話。桜吹雪の中、清廉で姿勢の美しい彼女の纏う空気を感じた。
あまりにも過不足ない練られた筆致。そのまま素直に心に落ちた。
そして、私ならこうした方が好みかも・・・と思いきり影響をうけて次期の作品を書きました。それだけ引き込まれたということ。軽率に刺激を受けて書いてしまうのは私には良くあることで。失礼いたしました。この場をかりてご報告いたします。


それではコメントをくださった方への御礼です。
今回投稿した「抗えない魅力をもってそれは」の仮のタイトルは「物語を書く」でした。
私がやや長めの小説を書くときに浮かぶ情景のようなものをドミノに例えた作品です。
そのままのタイトルでは恥ずかしくて、でも多少ひねったくらいじゃきっとバレるだろうな、物語を書く人はきっとみんなこんなもんだろう、と人はみんな自分と同じ、というあまりに未熟な考えの元、ま、いいやと投稿しました。
ですが予想に反して読んでくださった方がさまざまな見方をしていて驚きました。私は普段二次創作の畑にいて、このようなあいまいな情景の物語を書いたのは初めてだったので、感想をいただくたびに自分でも読み返したりしました。物語は公開した時点で読者の物になる、というのを実感した瞬間でした。コメントや票をくださった方、ありがとうございます。

この短編用の話を書いていたときはちょっと行き詰まっていて、その鬱々とした気持ちのまま一気に書いた物でした。なので途中の苦しさや書き終えたときの達成感の描写ばかりを磨いた記憶があります。早くこの苦しみから脱したいと。
ですが、最初にいただいたコメントで、スタートはとんでもなくポジティブな気持ちから始まるのだとあって、涙がにじみそうになりました。私は物語を書くのがものすごく好きなのだなぁと、自分のことなのに驚いて、気づかされた。自分自身で間違いなく最後の一文字まで書いていても、読者の目を通してしか気づかないこともあるのだと。作品は読まれて初めて完成するというどこかで聞いた言葉を思い出しました。
コメントをくださった方、本当にありがとうございます。力をもらいました。御礼申し上げます。

以上です。
ありがとうございました。

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