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本文: 〉あるいは、私の意見は記事1004で述べたので、拒絶と言うほどでもないだろうか。 〉 〉#26 初恋は実らない 〉 後で考えてみたらこれが初恋だった、ということなのだろうか。人それぞれの感性なのだが、私にはこれが初恋だとは思えなかった。 〉 音楽がうまくまとまっていない状態が良く表現されていると思った。一方、作中に先生は何人いるのだろうか。玲子先生の名前が一度だけ書かれているが、出すなら使う、出さないならば出さない方が良いのではないだろうか。玲子先生と担任は異なるのか、いきなり名前で言うのはどうなのかという疑問が、私には残った。 〉 〉#27 僕にできること 〉 主題は良いのだが、そのための設定に少々荒削りではないかと思った箇所があると思う。ひとつは主人公の生い立ちが謎であるところで、活かされている部分が思い当たらない。結婚に反対される理由なのかもしれないが、浪人留年変人で十分ではなかっただろうか。もうひとつは「僕らの生活は思っていた以上に上手くいかず」で、いつの間にか同棲していたのかと思ったところである。二人の夢が重ならなかったといったような、端的に上手くいかなかった理由を描いた方が良かったのかもしれない。 〉 最後、「良くない相手だと思った」、「背中を押してやる以外に何ができるというんだ」から「幸せそのものではないか」の間を断絶させているのは、時間の経過をも思わせる良い手法であろう。 〉 〉#28 布団の黴 〉 布団カバーを買いなさいな。 〉 相変わらず、日常の中から何かを思索するのが上手いと思った。強いて言えば、それまで布団と肌を対比してきたことから、「買い替えがきく」の前に「布団は肌ではないから」があっても良かったのではないかと思う。 〉 〉#29 彼女にはそれがない 〉 それを彼女に言うという気持ちが私にはわからないので、読めなかった。 〉 千字小説でなければ風景や行動の描写を織り交ぜながら告白から返答保留までの時間の経過を描くものなのだろうが、千字ではこのようにしかならない、できないだろうと思う。 〉 〉#30 ウッドストック 〉 最初から偽りの話だったのか、と感心した。温暖化のあたりではそこが想像なのだろうと思っているうちに、そのおかしな雰囲気に徐々に引き込まれて、本当に主人公と彼女の二人だけになってしまったのかと思ったところで、何だまだイルカはいたのかとつまづいて、虚数だ超光速だと意味不明な方向に流して終わるのかと思いきや、すべて嘘だったと来る。そして叫ぶ。それがそれまでの話とあっていないところも良い。 〉 しかし、そんな評はさておき、嫌い。 〉 〉#31 たったひとつのKiss 〉 これも瑕はないだろう。「みゃあと鳴いてやった」に託しているものがあるところが、最大の特徴だと思う。 〉 しかし、好きにはなれない。甘さ加減が、私には濃すぎる。主人公とカズヨシが、カズヨシが高一のときから六年間ずっと同棲をしてきて、何千回もキスをしているような生活を考えると、いやらしいとかそういうことを考える以前に、ぞっとする。 〉 〉#32 中一 〉 思春期の男子とは至極面倒な生き物だ、ということをきちんと描けていると思う。 〉 〉#33 友 たち 〉 何が言いたいのかわからなかった。その中でも、おそらくいちばんわからなかった単語は、「忠義」。 〉 〉#34 『脳を漬ける』 〉 特に具体的に書かれているのではないが、どんな家族なのかわかるような気になれるというのは、すごいことなのだと思う。読者にとって自然でないことが、ごく当然のこととして違和感なく描かれている、そのことがそう思わせてくれるのだろう。脳がなくても動けるなどと思うことは、野暮なことだと思う。 〉 それにしても、脳が頭にあるかないかは見た目ではわからないということか。 〉 〉#35 アカシック・レコードをめぐる物語 異界編 〉 久々、別の作品を紹介する以外の何かを書いてみよう。 〉 科学的題材を用いるのは五回目であるが、一度も科学的に書けたことがないのが悔しい。 〉 シリーズ批判があるが、連作ではないので可であると思っている。 〉 ところで最近になってなぜか文体に対する評価をもらっているが、何の特徴もないものが評価をもらえるのであれば誰も無理やり特徴を出すことをやめてしまえば良いのではないだろうか。とは言え、なぜか過去二回だけ意図的に文体を変えた作品(9と42)は両方とも決勝に進出しているのだ。意味がわからない。 〉 〉#36 境界の言葉 〉 言葉が世界のすべてを表現できるのかという命題を描いたものだろう。 〉 私は登場人物で言えば老人の思想に近いので、境界の言葉が存在してしまうとそれと別の何かの新たな境界が生ずるものと思ってしまい、無限階層となってしまうことを心配してしまう。しかしこの老人、なぜそう言いながら毎週博物館に来るのだろうか。 〉 〉#37 CP対称性の破れ 〉 5年後、本当のCP対称性の破れを教えてください。嘘。 〉 この口調、言葉遣い、ひとつの空気を生み出すまでに至っているところは評価すべきだろう。それでその相手が二人の姉と言うところがまた、それを無駄使いしていて良い。だから、取り乱した、と自ら萎んでしまうのはどうだろうかと私は思った。ああそうか、キモい例え話に酔っているのは私のことだったのか。今期の投稿作があれでなければ「理系」ではなく「オタク」にしてくれと主張したのだが。 〉 今頃気がついたのだが、コカコーラとペプシコーラでは如何。 〉 〉#38 ロマンティック・ミライ 〉 食事とは何であるかを考えさせられる作品だと思った。『意思→言葉→音→雑音』と共通することだが、宮沢賢治の『ビジテリアン大祭』を私は思い出した。二作品の主題は違っているのだが、食事とはひとつの娯楽である、という点においては一致していると思う。 〉『ごちそうさま』と違ってこのヴァーチャル体験では腹は満たされないようだ。 〉 最後の「カレーカプセル」だが、これは良くないと私は思った。食事がカプセルになってしまった世界であれば、先に述べた娯楽性はすでに失われているはずだろう。牛肉を食べたいと思う動機に疑問が呈されてしまう。 〉 〉#39 ある晴れた夕焼けに 〉 ひとつの場面をきちんと描けているようで、遺留品を持っていってしまうことなどできたのか、そもそも昼寝していたとは言え他の人がいるところで飛び降りなどできるものなのか、といった疑問が浮かんだ。 〉 最後、涙を流した部分は、荒んだ状態からの反転と私は読んだ。そこに余計な行動を書かなかったことは、きっと良いことなのだろうと思う。 〉 〉#40 三島スーツ 〉 以前にも同じ感想を書いた気がするが、「猿」を具体的に描いてしまうのはもったいない、象徴的な存在として利用すべきものではないのだろうかと思う。 〉 千字の割に薄いような気がした理由は、どこにあるのだろうか。 〉 〉#41 柿 〉 なぜ急に隣人の殺意などというものが出てくるのだろうか。しかもそれでも柿が好物だと言う。急に表れて急に消える殺意は、何だったのだろうかと私は疑問に思った。 〉 それはそれとして、「愚鈍」という言葉はなぜか気に入らない。「鈍」は「遅」に通じる。思い続けてなお結論が出せない遅さを表すのであれば「愚鈍」が良い。しかしそれまで何もしていなかったのだから、遅さとは異なる要素ではないだろうか。「愚劣」は少しひどすぎる言葉だろうか。 〉 〉#42 姉の首 〉 意味も必然性もわかったものではない。わからせるつもりはまるでなく、私としてもわかったところで嫌いであることに変わりはない。 〉 最初の「実験台に供物した」という部分で別の実験が過去にあったことが示されており、案外このおとうとにはネクロ趣味に類する何かがあるのかもしれないと思った。 〉 〉#43 伝奇「雷轟万化蛙物語」 〉 カエルになることが必ずしも不幸なこととは限らない、という価値観を見せてもらった。 〉 「徳」とは言ってくれる、自分は課長よりも徳において勝っていると疑念もなく言えるのかと驚いた。その上、いきなりミミズを食ってしまうのかと驚いた。以前の徳があれば、それも構わないことなのか。 〉 それから、言葉と鳴き声を同じ鍵括弧で書くのは良くないのではないかと思った。区別すべきだろう。 〉 〉#44 こどもが読んでも安心な、おとな向けの童話 〉 題名が矛盾を内包しているということは、指摘してはいけないのだろうか。 〉 最後の言葉は何か、自分が親権を主張できる日が来ると思っているのか。これもまた矛盾ではないだろうか。 〉 〉#45 北へ 〉 「忘れていた。彼女は俺と違うのだ」の部分で、それは最初からわかっていて話をしているのではなかったのかと疑問に思った。その後の会話で、「頑張れよ」と持田が何か言いたげなところを押さえ込んでしまう気遣いができる主人公なので、余計にそう思ってしまった。それから、結露した窓ガラスに描いた絵で繊細かつ大胆と言えるほどのものが描けるだろうかとも疑問に思った。 〉 主人公が持田のことをどう思っていたのか、読者に考える余地を上手く持たせている作品なのだと私は思った。 〉 〉#46 アイスクリーム 〉 長期休暇で帰省できるのならば盆暮れには会っていそうなものだと思ったことと、かき氷ではないので冬に食べても別段おかしくはないのではないかと思ったことがあった。それから書き方としては、「アイス」と略した言葉を使うのであれば、「アイスクリーム」とするのは必要な箇所だけにすべきであり、第一段の最後の用法は適当ではないことが挙げられる。 〉 この作品こそが、漫画やアニメの中のようだと思った。 〉 〉#47 チェリー 〉 「同寮」ということは寮住まいということなのだが、この二人が仕事以外の時間でも一緒にいる気配は感じられなかった。「同僚」で十分ではなかっただろうか。 〉 まとまっているとも思うのだが、何か伝わってくるような強さを私はこの作品に感じることができなかった。
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