1	夏の動物	森 綾乃	991
 けっこうおもしろかった。途中を切り取るのがとてもうまいと思う。ほとんどの投稿者が途中を切り取ることで字数を減らしてるけど、中でもこれはうまいはず。よし、じゃあ、次回もこのちょうしで行こうか。
2	世界一短い推理小説(千字ver)	Et.was	1000
 第一印象○だった。アイデアがすごくおもしろい。ここをこうすればもっとおもしろくなる。が、よってたかっていくらでも言える。
「その日の午後二時、T.Nは何故あのように殺されたのだろうか。」
 これはもったいない。ストレートに情報を与え過ぎているし、なにより平凡すぎる。何度も読み返してもらえる最高の場所に、こんな平凡な文章を置いてしまうなんて、ミスだと思う。
3	淑女渇望	柊葉一	943
 けっこうおもしろかった。短編投稿者は、『欲しがりすぎ』※1というミスをよく犯していると思っているけど、これはそんなことなかった。最後のセリフがしっかり聞きとれた。
4	追い風	ハコ	1000
 おもしろかった。ただひとつのことを書いているからいい。節目、節目に必ず”――”を置くというパッと見でわかるルールがあるところは、ちょっとあざといかもしれないけどおれはいいと思った。読みやすいから。『ごきげんよう』※2と同じくらいわかりやすい。千字小説のためだけの手法を編み出すことは、読むに耐えるものを書く近道だと思う。
5	ナレーション	K	1000
 べしゃりがうまい。なにかを見た。でも全体的には、まあまあ、くらいだった。最後どうなるか期待してしまったからだと思う。べしゃりに命賭けてるから、オチはどうでもいいと思ったのかもしれないけど、やっぱりオチに期待してしまう。この設計でいくと、オチの重要度80%、その他20%という計算をおれのそろばんが弾きだす。『問題の80%までを解決する方法を探せ理論』でいくと、オチを先に作るか、オチへとつながる要素を事前にもっと考えておくべきだったと思う。
※1『欲しがりすぎ』有名なお笑い用語のひとつ。フリがないのに荒唐無稽なことを言ってすべること。または荒唐無稽を連発しすぎて、本当に決めるべきところが平凡に感じられてしまう現象の意。
※2『ごきげんよう』時間が押してるのに、話題が変わるたびにわざわざサイコロを振ること。