18 混沌の神の創り方
 人生の中で棄ててきた様々な“もの”たちは、今どうしているのだろうかと考えてしまった。
 あるいは自分も、逆に誰かによって「穴」に放られ、棄てられた“もの”の一つなのかもしれないと思うと、切なくもあり、なぜか安らかな気持ちにもなれる。
 不思議です。
19 あいつ殺そう計画
 現実の学校では、もっとひどいことが行われているのだろう。
 気付かないうちに自分がいじめの標的になっている、という恐怖を不思議と感じさせないまま、自殺の事実だけが最後に知らされる。
 現実のいじめというのも、端から見ればこのような感じに見えるのかもしれない。
20 成せばなる
 こういうどこまでも楽天的な考え方が出来れば、人生楽しいだろうなと思う。
 トイレの紙が切れているとき、みんなどうやって難をしのいでいるんだろうかと思わず想像してしまった。
 素直に笑える小説です。
21 センチメンタル・スモーキング
 日常の平凡な感情を、平凡なまま切り取ったスナップショットのような小説。ほどよい感じで抑制の利いた、趣味の良い作風だと思う。
 小市民とダンディズムのちょうど中間くらいの雰囲気が妙に心地良い。
22 児っぽwriter
 全く希望の見出だせない絶望的な状況に閉じ込められたとき、人は何を考え、どう行動するのかを考えさせられる。
 絶望を終わらせるには、やはり絶望的な方法しかないのだろうか……。
「監禁」という行為も、考えてみると不思議な行為だ。
23 分母の現実、分子のキリン
 読者をくすぐるような軽い社会風刺。
 全国民に配付された「対話型の心療機械」を通して、“社会と個人の乖離”がさりげなく表現されている。これこそが現代のドラえもんかもしれない。
 とてもよく出来た小説だと思う。
※14 おばけ
  以前の感想ではあんまりだと思いましたので、感想の追加をさせていただくことにしました。
 ドタバタした話なのに、不思議と静けさが漂う気がします。なつかしさやおばけのキャラクターを特に押しつけることなく、文章もストーリーもシンプル。するりと読ませてくれる熟練した小説だと思います。
 それから「うらめしや〜」という決まり文句が、おばけのものか幽霊のものかというのは、当然ながらどうでもよい話です(笑)。