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#1 犯罪者の氣持
時刻を並べて書くことと、歴史的仮名遣いの文章にすることを試しているが、結局何をやりたいのかよく分からない。実験的なことを無駄にやり過ぎている印象。
内容については、性欲がないのに相手を誘おうとする部分が気になったし、そこに何か物語があるような気がしたのだが、大した展開もなく終わってしまったように思える。
#2 僕という作品。
「画家として死んだ」画家が抱いている気持ちの描写がありきたりだと思う。そして、自分を憐れんでばかりいるような主人公の姿勢にも共感できない。
物語として書くのであれば、例えば、画家としてダメになった後、どうやって自分を取り戻したのかといったことを書くべきだと思う。
#3 人生がもしゲームだったら
これは小説というより詩。自分の気持ちや考えを書くだけでは小説にはならないと思う。
しかし、「人生がもしゲームだったら、僕は僕になれなかった」という部分はいいと思うし、その部分をもっと広げて物語にするといいような気がする。
#4 宝島
(予選と同じ感想です)
エロ本をめぐる話は面白かったが、最後の終わり方が、物語が小さく閉じていくような感じがしていまいちだった。せっかくエロ本で話を広げていったのだから、その方向で終わらせたほうがよかったのではないかと思う。
#5 ここは平和
言い争っている二人と、それを見ている主人公がいるということは分かるが、全体の状況がよく分からない。話の構成に問題があるような気がする。
そしてこの作品で一番言いたいのは、「誰かと何かを言い争うなんて、もう自分にはない。その自由な感じが羨ましいと思った。」という部分だと思うのだが、そうであれば、物語の中でもっとそのことをしっかり表現すべきだったのではないかと思う。
#6 あ
話そのものには面白い部分がある。公共の場で何か問題が発生した場合の人々の様子というのは、たしかにそんなものかもしれないと思える描写はいいと思う。
しかし最後の「物事を突きつめた極端な考えにおちいってしまうと、例えば宗教みたいに過激になって、絶対に誰かに迷惑をかける」という部分が引っ掛かった。こういう考え方自体も、ある意味で極端だと思うし、ちょっと頑なな感じがする。
#8 箱庭の塔
(予選と同じ感想です)
ようするに、嘘に嘘を重ねていくと、それが積もり積もって大きな罪になっていくということだろうか。話自体はカフカっぽくて面白いのだが、最後に教訓めいたところが見えてしまい、物語が冷めてしまう。なので、もっと別の終わり方はなかったのだろうかと思う。
#9 皮膚と粘膜
(予選と同じ感想です)
友人というのは男で、同性愛者ということか? 前半は、状況が分かりにくい。
そして後半は、主人公が見ている夢の中のイメージや、心の中のイメージが描かれており、そのイメージの描き方に少し魅力を感じる。
しかし全体的にみると、文章を書きなぐっただけという気もするし、完成度はいまいちだと思う。