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 本年最後の感想です。なんとなく対戦形式で。
 作者の並びに少し違うパターンが見えて、やはり、想像なのですが、意図的に投稿を遅らせたりというのが微笑ましい。

「かたち」対「まとって生きる」
 振り払えないもの。
「かたち」
 作者らしさ、が(「存続の条件」のように)上手く表現された作品だと思います。詩的なひとりごと、主人公の中でのみ昇華された感が強いので、そこを好きとするかで評価は分かれます。が、この詩的さが、つかみどころのないものを強調しており、それが、取っ付きにくさというか、読者を腑に落ちさせない効果をはらんでいます。だから、後味はあまり良くない。
「まとって生きる」
 今の自分は本当の自分ではないんだ。みたいな書き方ってたまに目にしますが、いつも思うのは、それも含めて自分だってことです。主人公に言わせてはいますが、作者に秘められている、逃げ、なのだと思います。だから、昇華されていない。誰だってここまでは書ける。放棄しないでその先のことまで表現できていれば、評価は違っていたかも知れない。

「待ち合わせ」対「曇りのち雨」
 何の繋がりだったのか忘れた。
「待ち合わせ」○
 男・男だとの認識で読み進めていった。君・恋人だとわかった。良く練られている作品だと感心しました。一筋縄で理解させないあたりは「卓くんとの再会」などを彷彿とさせます。ただ、票を入れたいかと言うと迷うところなのです。良い作品なだけにタイトルがつまらないのは残念です。
「曇りのち雨」
 真面目に書かれてあるけど、面白いと思えないのは何故なんでしょう。これは「ラスボス」「みずうみ」「信仰」などにも共通しています。説明的過ぎるのかなとも思いましたが、どうも作者のツボに私は入れないようなのです。例えれば、味のないものを食べている感じ。咀嚼するが、味わえない感覚。

「イエロー・ゴッド」
 ちょっと尖り過ぎてはないかと投稿する際に思ってはいたが、他作品と通して読むと埋もれ過ぎずといったところになった。

「阿部マリオの冒険」
 やはり、小説ではないな。小説ではないから「安倍」と書いた方が素直だと思った。何故、人はリーダーとなった人を否定するのだろうか。

「冷蔵庫」○
 前作からの変容。で、どうなることかと思ったが、軌道は安定してきているようである。最初に思ったのは、読むよりも言葉に出した方が作品が生きるということ。wisの声で聞きたい。
 軽やかな作品で、評価どうのこうのはナンセンスでもある。だから、難しい。一定の評価は付けるが、これが絶対という、確固たる評価は見出だせない。入れる。入れない。花ビラ占いで決める。

「志し」
 決意のようなものかな。次作、生きた文字を期待します。
「奇妙に装飾された」からの「何にも包まれていない生まれたての姿をした手紙」には違和感を覚えます。この段階でツマズイタ違和感を最後まで引きずりました。もっとシンプルに書いた(この手紙の最終段落であったであろう〜〜の一文などは読めば読むほど分からなくなる)方が読みやすいです。

「夜のむこう側へ」対「ドア」
 井戸、繋がりで。
「夜のむこう側へ」◎
 作品の質が問われるのはもちろんであるが、コンスタントに作品を発表していることは評価できる。破壊的な作品が一段落して作者の良さが、やっと、垣間みれた気がしている。これ、結構、いいのでは、と考えている。
「ドア」○
 ループという作者最近の傾向。「山脈」とダブる部分あり。ちょっと飽きるが悪い評価ではない。悪い評価ではないが、マンネリは隠せない。パターン化する前に別の展開を見せて欲しかったが、次回にそのことは期待しよう。

「12月の恋人たち」対「ではこれで」
 あのはなし繋がりで。
「12月の恋人たち」
 中身を見出だせなかった。と思い、インテリ臭で嫌悪している自分がいた。食わず嫌いは良くないな。反省。
 で、あのはなし、と、それに似た主人公の体験。前半は、あのはなし、で埋められ、それを追って主人公の体験が綴られるから、同じはなしを二度、読んでいる印象が強く出て、それが真新しくないから、中身を見出だせないことに繋がる。
「ではこれで」
 今年最後、を締めくくるタイトルとしては秀逸である。
 この作者の作品を読むと、やっぱり「いつも大変お世話になっております。」が一番だなと、つくづく思わされる。私にはそれがひとつの基準になる。「いつも大変お世話になっております。」を越えなければ、票を入れようとはならない。悪いとは思わないが、良いとも思えない。ではこれで。

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