仮掲示板

172期 全感想

遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。



#1 思垢

終末時計に象徴される「世界の時間」と、われわれ一人ひとりの持つ「個人の時間」は違うということを書きたいのだろうか。そうだとするなら、まあそれはそうだなと思うが、ただそのことを書くけでは物足りない。世界との隔絶だけでなく、世界とどう向き合うかという部分も書かないと作品として不十分ではないのか。


#2 森吉郎は、かく語りき

小説というよりブログ記事。個人の意見をただ書くだけの文章は小説ではない。「小説投稿サイト」に参加する以上、小説と向き合うべきだと思う。


#3 役目

「まいこ」がステージへ飛んでいく場面にはハッとさせられたが、結局はそれだけの話でしかないように思える。あと、1段落目と2段落目の文章は、ほとんど不要ではないのか。


#4 モノを言うコトはあり得るのか

震度5弱以上の地震が起こった日を順番に並べた、ということか? まあ、これも物語と言えば物語かもしれないが、小説というより現代詩といったところ。
次回はちゃんと書いてくれるでしょう。


#5 朱花

少女と少年のとりとめのないやり取りばかりで、物語がなかなか見えてこないし、展開もほとんどない。作者の中には何かの物語が流れているのかもしれないが、この書き方ではその物語は伝わらない。読んだ人にどう伝わるかを考えながら書くべき。


#6 あなたの愛するわたし

これは小説というより詩。あるいは、もともと詩だったものを小説っぽく作り変えただけのものという感じ。わざわざ小説投稿サイトに参加するなら、もっと小説にこだわって欲しいと思う。
内容は、恋人が自分に対して抱く愛とは結局何だったのかということを問うもので、見当外れの行為をする恋人と、それを眺めている自分とのズレのようなものが表現されており、その点は面白いと思う。しかし、ただ状況を眺めているだけでは作品として物足りない気がする。


#7 あいの、アイノぅ

天使ということだけで、一方的に相手に要求するという図々しさが面白い。しかし、途中で話が少し分かり辛い箇所があったので改善が必要だと思う。


#9 思い出とは

(予選投票の感想と同じです)
たしかに、引っ越してきた初日の新居には、「ひんやり」しているような「歓迎してない」ような空気があるなと思う。結婚相手?の地元へ引っ越すことへの不安を直接表現するのではなく、新居の冷たい「空気」に置き換えて表現することで、物語にちょっとした深みを与えている。
ただし、最後の終わり方はもう少し工夫が必要だろう。物語の解決の仕方が安易すぎる。


#10 ウイウイウイスキー

仮面の自分と本当の自分というのはよくあるテーマだが、書きようによっては面白くなったり、または新しい発見ができたりすることもあるだろう。この作品に関しては、「ウイ」という言葉をうまく使うことでユーモアを出すことには成功していると思う。
しかし、終盤の話の展開がいまいちであり、#9と同じように物語の解決が安易。


#11 ガンジー搦め

(予選投票の感想と同じです)
人物のイメージや、脱線や蛇足だけでよく書けるなあと感心する。それに、失速せず最後まで走りきっているのがいい。


#12 妹の手前

(予選投票の感想と同じです)
今回の参加作品の中では一番出来がいい。妹との関係の中にうまく物語が展開されていると思う。
でも、新しさや進歩はあまりないなという気もする。それと、両親の設定が無理やりだし、刺激的な言葉で興味を引こうという下心が見えてしまう。

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